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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

ナカミチ PA-302S メンテナンス 2021 01 整備録

方チャネルの音が小さくなるPA-302Sが流れ着きました。さっそく内部を確認したところ、こだわりが随所に。オペアンプには、OPA637を装備する徹底ぶりです。
さて、音の小さくなる原因や、OPA637をきちんと動作させる環境になっているか調べてみたいと思います。

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 はじめに

さっそく、内部の状態をみてみましょう。

基板状態

高負荷のコンデンサはオーディオ用に交換されています。

歴史のあるアンプは、やはりコンデンサ交換は、効果的です。液漏れで基板にダメージがないことは、とても重要です。

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OPA637

シングルOpAmpのOPA637をデュアル化基板を用いて、とりつけてありました。

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サイズが大きいので、カップリングコンデンサの実装に苦労の痕跡が見られます。

電流値が大きいので、電圧がドロップしていないかが心配です。後で、電圧を調べてみたいと思います。

ハンダ面状態

ハンダ面の状態もよく、劣化はありません。

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GNDのパターンが強化されています。銀入ハンダを使っているようです。

フラックスが残っていますので、洗浄しておいたほうが良さそうです。

初期メンテナンス

ターミナルの清掃からはじめます。

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状態がよく、すぐに完了です。

電源メンテナンス

毎回同じブロック図になり、恐縮です。

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基本的な、プッシュプルのスイッチング電源です。

入力ノイズ

入力のノイズを確認してみました。標準的な状態ですね。

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いつもの手法(高分子コンデンサ)等で観測限界になります。

一次側ノイズ

一次側は、一般的に大きめです。標準的な状態です。

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あまり気づかないコンデンサを、高分子交換。さらにセラコンを追加し、効果的に抑制します。3.5Vの P-Pが、1/7の0.5V程度になります。

これで安心して次のステップへ進めます。

二次(電力用)

 電力用は、フィルタが装着されているので良好です。

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100V耐圧のコンデンサが装着されており、高周波特性も良さそうです。

この部分は、そのままで、AMP側のコンデンサの変更みで対応可能そうです。

二次(アンプ側電力)

アンプ基板にも平滑コンデンサが1000uFx4 装着されているのが標準です。
これがPA-302の特徴でもあり、力強さ、低歪の源です。

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状態は良好ですが、もう少し容量をアップしておきます。

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1000uF x4から、1000uFx2 +2200uFx2としました。リップルがわずかに改善しています。

二次側(電圧)

二次側は、スパイクが大きいので、少しだけ高調波対策を施します。

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高分子のコンデンサに交換することで、リップルがかなり低減します。その上にセラコンを追加で、高調波を抑制します。

OpAmp電源

まずオペアンプの電源を測定してみました。

OpAmp電圧: 36.5V

36Vが絶対最大電圧のOpAmpのスペックを少しオーバしています。

 

電流がOPA637を2つ装着すると増え、電圧がドロップしてしまうと懸念していましたが、老婆心でした。

OPA637の消費電流は、7mA/個、2個使用なので、14mA必要です。

一方標準の4570Cは5mAです。約3倍です。

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概略回路で分かるのですが、電圧を少し落としてあげると電流値のマージンが増えます。

 ダイオードの制限があり、ほんの少し下げることが難しいのですが、33V程度にするのが良さそうです。

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そのまま最大36VのOpAmpを使うのは、注意が必要です。

 

今回は、ダイオード、抵抗、及びトランジスタを容量アップしています。

OpAmp電源ノイズ

標準では、高調波が確認できます。パスコンを追加すると

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測定限界になりました。これで安心です。

カップリングコンデンサ実装改善

苦労されて実装されていたカップリングコンデンサを、少し工夫してみました。

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並列のフィルムコンデンサと場所を交換しただけですが、スッキリしました。

片チャネルの不具合

再現性がとぼしかったのですが、どうやら出力保護リレーの接触不良の可能性が高そうでした。リレーを交換で、エージング等で確認することにしました。

実装仕様

さて、メンテナンスは、どの様に仕上がったでしょうか。

  • 電源カスタム
    高調波対策の経験を元に合理的にノイズを低減
  • リレー交換
  • OpAmp電源電圧補正、強化
  • ボリューム交換
  • カップリング実装改善

OpAmpのダブルソケットは少し目立ちますが、とてもシンプルにまとまりました。

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これで末永く、OPA637の能力を発揮でるようになりました。

まとめ

今回、片チャネルの音が安定しないとのことで、半固定や、アンプの出力段を疑いしましたが、何度かOn/Offやヒヤリングを繰り返しても再現しなくなりました。

PA-302で時折発生するリレーの接触不良で落ち着きました。

また、PA-302は、OpAmpの電源に余裕があることが分かり比較的大きなOpAmpでも駆動できそうです。ただし、実際の信号を加えると電流が増えますので、やはりもう少しマージンはほしいところです。

もう少し消費電流が小さいものへの交換の検討余地は、残されていると思います。

 

PA-302 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

ヤフオク!

 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

OWON ハイコストパフォーマンスデジタルオシロスコープ 1Gs/s 100MHz帯域 薄型軽量 SDS1102

 

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ナカミチ クロスオーバ EC-302 整備録 2021-01

当方のEC-204をお使いになっている方より、EC-302のメンテナンスのご依頼です。
周波数切り替えをボリュームではなく、スイッチにて行う、とても音に拘ったEC-402

電源の低ノイズ化と低歪のOpAmpの改装で、1ランクうえの音を目指します。


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 はじめに

前回もご紹介しましたが、EC-304のスペックを簡単に。

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18dB/octのスロープ特性です。このOctは、オクターブの略で、周波数が倍になると18dB減衰する、カットオフ特性のネットワークです。

その他実測での結果ですが

  • 最大ゲイン +6dB
  • 周波数特性 10~100kHz (±1dBV)

の実力で有ることが分かっています。

内部状態

スライドスイッチに隠れいて、見にくいのですが

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  • OpAmp 5532 x3 5538 x4
  • ネットワークコンデンサ:メタライズドフィルム(に見受けられます)
  • 電源 DC/ACコンバータ(その後整流して、DCへ)

電源状態

このネットワークの電源には、きちんとフィルタが入っています。

一次側電源状態

一次側を測定すると50mVととても優秀です。(測定は、大きく拡大しています)

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二次側

DCをスイッチングして、ACを生成しています。

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ダイオードで整流しており、緩やかな波が確認できます。

後段のフィルタ後は、この波は、ほとんど確認できない状態ですので、素晴らしい性能です。

カスタム

カスタム・メンテナンスの仕様は

  • 電源のメンテナンス
  • 高調波対策
  • OpAmpの交換

になります。

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OpAmpの交換、ソケット化の為に、シールド板を加工しています。

同時にシールド板を、磨き上げます。

電源(一次側)

コンデンサを高分子とセラコンの組み合わせで、高調波を抑制します。

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電源(二次側)

十分高調波のない状態でしたが

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さらに良くなり、ほとんどフレが確認できない状態になりました。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、反射の影響が観測できるので、

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ラジアルリードのセラコンで、きっちり対策します。

微小信号

さて、カスタムの効果と、動作確認も兼ねて、出力波形を観測します。

もともと、ほとんどノイズが確認できない優秀なネットワークですが

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高域帯域の出力は、僅かですが、改善が見られました。

中域帯域出力

中域は、最高のカットオフ周波数15kHzにて測定しています。

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カスタム後も、良好な状態です。

低域帯域

周波数を100Hzにて測定しています。

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標準と同等の良好な状態です。

周波数特性

最後に周波数特性を確認します。

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ハイは100kHzまで伸び、素晴らしい特性です。

(グラフに少しうねりがありますが、測定誤差の範囲です。)

まとめ

もともと、優秀な、ネットワークですので、カスタム及び、測定は、とても楽しく行うことができました。ノイズも、測定が難しかったですが、確実に改善していることがわかりました。

 

ボリュームと利得

このネットワークは、約6dBほど最大の利得があります。

調整が行いやすいように、0dB付近に印を付けてみました。

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最初、当方も適当に行っていましたが、これで、スピーカやパワーアンプのゲイン調整も楽になります。

パワーアンプは、スピーカの能率の分、それぞれのスピーカに合わせることで、

このボリュームでどこをブーストしているのか、下げているのかが分かります。

スピーカは、一番能率の高いのを基準に、パワーアンプのゲインを少し絞り気味にするのがおすすめです。(絞りすぎると、元気がなくなりますので、そこは、トレードオフで)

 

備考

 

廉価版のデジタルオシロスコープがあれば、どなたでにもきますので、ぜひ興味のある方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。

もちろん、当方にメンテナンスのご依頼も大歓迎です。

(おまたせしてしまうかもしれませんが、ヤフオクを通じてオーダ可能です。)

 

EC-302のカスタム記事が下記よりご覧になれます。

EC-302 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

 

続編としてEC-204のカスタマイズもつづってみました。

ナカミチ クロスオーバ EC-204 整備録 - pp audio blog

 

カスタムナカミチアンプ

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使用した測定器

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奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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RockFord punch 250m2 整備録②

ロックフォードのパワーアンプ・メンテナンスの二回目です。
電源の基本メンテナンスが終わりましたが、さて、出力のノイズに改善効果はあらわれているでしょうか。さらなる改善余地はあるでしょうか。

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 はじめに

 前回、電源の基本的なメンテナンスを行い、リップルノイズの低減効果は確認できました。早速、出力の状態を確認してみたいと思います。

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多少の効果はある模様ですが、相変わらずスパイクノイズが左右でことなり、左側が大きいのは、修復できていません。調査、対策が必要ですね。

出力フィルタ

アンプの出力には、スナバ回路が装着されています。

確認すると、0.1uFのセラコンがついているようですが、左右の容量が違うようです。

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高分子フィルム(コガネムシ色)に念の為交換。

しかしながら、出力状態には、劇的な変化はありませんでした。

電源対策

電源回路見直し

もう一度電源を見直すと、どうやら、このアンプも電力と電圧の2系統ありました。

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二次電源(電圧用)

状態を確認してみると。

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0.6V程度の尖塔電圧があります。

電解コンデンサを交換しても、効果がありませんでした。セラコン追加も、意味がなく

OSコンの追加で、

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大きな起伏は、なくなり、高調波だけ残りました。

ここまでくれば、後は、セラコン追加で対応で

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当初の1/5の100mV程度になりました。

出力波形確認(電圧用電源対策効果)

出力電圧には、効果が現れるでしょうか。

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かなり改善してきました。でもヒゲノイズは、相変わらず残っています。

OpAmp電源

中央のコンデンサは、容量が小さい(10uF)だったので、カップリングかと思ったのですが、これがOpAmpの電源でした。

 

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あまり、大きなノイズは無いのですが、OSコンに変更すると。。

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だいぶ良くなってきました。ただし、電源の接続が細めで、OpAmpの電源端子そのものは、左右で大きく違っています。

つづく

どうやら、左側のOpAmpの一つがおかしそうです。電源元リップルではなくて、OpAmpが発振気味になっていそうです。電源にパスコンを追加しても、リップルが100mV程度あり、大きすぎます。

現在、二次側の大きなコンデンサの入荷待ちですので、その交換と、代替品のOpAmpに交換して、確認して、メンテナンスを仕上げたいと思います。

一週間後、再開予定ですので、また、お尋ねください。

 

前回の整備録は、下記まで

RockFord punch 250m2 整備録① - pp audio blog

 

同じロックフォードの100aのレポートは、下記リンクよりご覧いただけます。

RockFord punch 100a II メンテナンス 整備録 - pp audio blog

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RockFord punch 250m2 整備録①

ロックフォード 250の整備の機会に恵まれました。動作が不安定とのお話でしたが、さて、修理できるでしょうか。

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 はじめに

基本性能

リアパネルにスペックが記載されています。

このロックフォードの250m2は、125W x2(ブリッジで250W)のパワーアンプです。

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ネットワーク機能

ハイパスやローパスの機能も有しており、ユニークなのは、そのフィルタ特性を小さな基板を付け替えることで行えます。

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また、この基板の差し込む方向でローパスとハイパスの切り替えを行います。

面白い工夫ですね。

 

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その他に、ブリッジ切り替えや、スルー出力も備わっています。

内部状態

底板を外すと、基板が確認できます。

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左右シンメトリの基板構成になっており、電源も二次側が左右独立になっています。

こだわりが、伺えます。

事前準備

10年間、大事にしまわれていたのですが、清掃が必要です。

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端子のカバーは、イモネジを取り外すと簡単に取り外せます。

端子部は、腐食は進んでおらず、簡単な清掃できれいになりました。

RCAもいつものように清掃して、測定準備完了です。

不安定原因?

動作が不安定とのお話がありましたが、基板を確認していたところ、リモートのファストン端子のはんだ付けが、グラグラ。

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幸いにもパターンは剥がれていませんでしたので、ハンダを一度吸取り、修理完了。

電源を投入して、動作が確認ができました。

 

初期状態確認

電源は、とてもシンプルな構成です。

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二次側が左右独立になっています。

一次側

いつものように、一次側を測定してみました。

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0.5V程度で、フィルタがついていないのですが、優秀です。

二次側

二次側は、±40Vが2系統。電圧差が80Vなので、うかつに触るとしびれる電圧です。

 

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Rのマイナス側のスパイクが少し大きめでしょうか。それでも、100mV以下ですので優秀です。

 

出力波形

出力波形を確認します。海外のアンプは、多少ノイズが確認できますが、パワーがありますから、致し方ないところでしょう。

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左側の方がノイズが大きいのは、電源の状態とは、異なるようです。

 

メンテナンス

早速メンテナンスを行いたいと思います。電解コンデンサの交換と高調波対策を施します。

一次側

一次側の電解コンデンサを外したところ、液漏れが少しありました。

 

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基板にも多少腐食が見られますが、研磨とレジスト塗布で、簡単に補修できました。

オリジナル:  2200uF  x4

カスタマイズ: 4700x2 +470uF + 4.7uF

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4700uFに交換することで、リップルのレベルが下がりました。

その後、振動を抑えつつ高調波対策を施し、オリジナルの1/3程度に低減することができました。

二次側

二次側は、4700uFの大きな電解コンデンサが装着されており、リップルのレベル変動は、小さいので、まずは、高調波対策を行いました。

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大きなスパイクを抑えることができてました。

つづく

ブリッジ切り替え等を有するアンプは、左右でノイズのレベルが異なることがあります。今回もそれが原因でしょうか。

二次側のスパイクの低減で、出力のノイズ低減効果は、確認できるでしょうか。

次回は、出力のノイズ効果を確認してみたいと思います。

 

同じロックフォードの100aのレポートは、下記リンクよりご覧いただけます。

RockFord punch 100a II メンテナンス 整備録 - pp audio blog

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もちろん、メンテナンスのご依頼もお待ちしております。

 

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

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幻のPA-300 Limited メンテナンス (カスタマイズ編)

基本メンテナンス完了しましたので、カスタマイズを行ってみたいと思います。

 

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カスタマイズ

PA-300は、名機と語り継がれているだけあり、カスタム範囲が限られていますが、高調波を中心にしっかり、整備して、末永く使える仕様に仕上げたいと思います。

  • 高調波対策
     リップルの低減及び、高調波の低減を行います。
     単に静電容量を上げるのではなく、コンデンサの組み合わせによる、
     効果的方法を施します。
  • ゲイン調整
     歴史的なアンプですので、ゲインが高めです。
     -6dBほど、ゲインを下げ、現代のヘッドユニットに対応させます。
  • ゲインボリューム交換
     シールドタイプのボリュームと交換します。
    高域が改善され、調整もしやすくなります。
  • OpAmp電源
     OpAmpは負帰還に使用されています。OpAmpの電源は、音質への影響を考えると必須といえます。

 

電源高調波対策

さて、早速高調波対策を行ってみたいと思いますが、念の為電源のスイッチング波形を確認してみました。すると...

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通常のPA-300のスイッチング波形....と思いきや...なにかおかしいです。

 

黄色と青の波形が、交互に繰り返さなくてはならないのですが、青側が、オンしていません。

コントローラのモードプッシュプル動作が行われず、片側だけ動作しています。

コントローラICを交換してみると。

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正しくなりました。

違いがわかりにくいので、上下で比較してみると。

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おわかりになるでしょうか。

青い波形も黄色と同じ様に、動作するようになりました。

これまで、片側だけで、動作していた模様です。これでは、すぐに磁気飽和してしまい、過電流が流れ、FUSE切れを引き起こします。

Fuse切れの原因がコントローラICの故障であると、考えて良いと思います。

 

一次側効果

一次側の対策は、コンデンサが3つ装着されているので、色々工夫できます。

オリジナル:470uF x3

カスタマイズ: 10,000uF(4,700uFx2)+1,00uF+100uF+4.7uF

にて帯域全体を低減してみました。

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綺麗に収まっています。

二次側(電力)

二次側は

オリジナル:470uF x2 x2

カスタマイズ:(1,000uF +120uF +10uF) x2

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高調波が綺麗に取れました。

二次側(電圧用)

電圧用は、コンデンサが一つずつなので、あまり複雑なことができません。

電圧用はあまり電流が流れないので、スパイクを低減することを優先して対応。

 

かなり大きなスパイクでしたが

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きっちり抑えることができました。

OpAmp電源

OpAmpは、シリーズタイプ(9Pin)のOpAmpが装着されています。
ただし負帰還なのですが、電源はきっちり抑えたいと思います。

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小さめのセラコンで、抜群の効果です。

微小信号

高調波対策の確認として、微小信号を観測します。

もともと優秀でしたが

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効果を確認することができました。

 

周波数特性

周波数特性を観測します。カップリングが無いので低域がストレートに伸びているはずです。

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後周波数特性(ボリューム交換、ゲイン調整後)

ゲインとボリュームを交換して周波数特性を確認します。

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高域が改善されているのがわかるでしょうか。

 

まとめ

今回はPA-300のLimitedバージョンをカスタム・メンテナンスいたしました。

PA-300の出力ノイズの小ささには、毎回関心してしまいます。

高能率のMIDやTWを使われる方、ぜひ、一度検討されてはいかがでしょうか。

 

基板実装の変化は、毎回地味です。

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Limitedの仕様について

Limitedは、PA-300にゲインボリュームとLow Cutの入力の付加価値追加と思います。

その後Limitedの人気がありPA-300IIとして販売されたのではないでしょうか。

オークション等で見かけた場合、レア品であるのは間違いありません。当方も、手に届くの範囲であれば、入手したいと思います。

 

基本特性の観測:幻のPA-300 Limited メンテナンス - pp audio blog

これまでのPA-300シリーズ:PA-300 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

 

ご希望の方は

当方のブログを見ていただいた方で、ぜひ、同様のアンプを聞いてみた方、オークションで、カスタムしたアンプを出品していることがございます。数はとても少ないので、、幸運にも遭遇された場合は、ご検討お願いします。

もちろん、メンテナンスのご依頼もお待ちしております。

 

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

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幻のPA-300 Limited メンテナンス

幻のPA-300 limitedが流れ着きました。さて、Limitedの名の由来を探りながら、メンテナンス・カスタマイズを行ってみたいと思います。

 

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はじめに

PA-300は、PA-300IIと進化し、オーディオファンを魅了してきました。外見は、高級感漂う、グレーの結晶塗装にみえます。

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部品実装

実装は、特に大きな違いは、なさそうですが

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 ライン入力のケーブルが、シールドではなく、ツイストになっています。またアンプ回路の異常検知の信号もフラットケーブルから、細いツイストになっています。

ヒューズ切れ

 

動作確認を行おうと電源を投入しましたが、動きません。これは、入力のヒューズが切れていたのが原因であることが、わかりました。

ヒューズを交換して、動作するようになりましたが、ヒューズ切れは、なにか回路に問題があるときに発生することが多いです。

慎重にメンテナンスをする必要があります。

RCAコネクタ磨き上げ

金メッキは、経年変化でどうしても、ツヤがなくなってきてしまいます。これに伴い、RCAのコネクタ装着がスムーズでなくなり、接触不良の原因にもなります。

一旦取り外して、研磨してみました。

 

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写真でも違いが分かるように、綺麗になりました。研磨の手順ですが

  1. 真鍮ブラシ
     真鍮ブラシは、柔らかいですが、傷をつけないように、大まかにくすみの外側をおとします。
  2. 貴金属不織布
     金メッキの研磨用不織布を用いて丁寧に仕上げます。
  3. アルコール清掃
     最後に、アルコールで外側、内部を清掃

これで、金メッキのくすみを取ることができます。

微小信号

微小信号を確認することで、アンプの状態、電源の状態が概ね把握できます。もちろん出力の限界電圧も確認する必要がありますが、安全を考慮し、最終段階に行います。

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さすがにPA-300です。ほとんどノイズは観測できません。これが、名機と云われる由縁です。

電源ノイズ

続いて、電源ノイズの確認を行います。

一次側

一次側は、1Vあるのが通例ですが、

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標準レベルで、標準の状態であることが分かりました。

二次側(電力用)

二次側の電力を測定します。

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これも標準レベル。通常の高調波対策を行えば、かなり改善できそうです。

二次側(電圧)

電圧用は、少しピークが高いことが分かっています。

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標準レベルのピークです。チップセラコンできっちり抑えてみたいと思います。

つづく

アンプの状態は、標準状態で良好な状態です。これより、高調波カスタマイズ等を施し、Limitedをさらに進化させてみたいと思います。

 

試しに、一次側の対策を施してみました。

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コンデンサの容量を組み合わせて、効果的に、かつ、無理なく低減できています。

さらに、二次側の対策を施してみたいと思います。

お楽しみに。

幻のPA-300 Limited メンテナンス (カスタマイズ編) - pp audio blog

 

ご希望の方は

当方のブログを見ていただいた方で、ぜひ、同様のアンプを聞いてみた方、オークションで、カスタムしたアンプを出品していることがございます。数はとても少ないので、、幸運にも遭遇された場合は、ご検討お願いします。

もちろん、メンテナンスのご依頼もお待ちしております。

 

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

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ナカミチ モバイルプリアンプ CA-101 2021 #1 カスタム・メンテナンス 整備録

CA-101のメンテナンスの機会に再び恵まれました。
以前のメンテナンス時でToneの切り替えにノイズが出ていたのが気になります。
今回同じようなノイズは出るでしょうか。その原因は、スイッチの接触不良でしたでしょうか。

 

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 はじめに

前回CA-101を整備した時、最終的な動作はとても良くなったのですが、トーンの切り替えにノイズが少し出るようになってしまいました。

今回は、電源をまず整備してから、トーンの切り替えでノイズが確認できるかを確かめてから、カスタムに進みたいと思います。

電源整備

早速メインユニットの電源を確認してみました。

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一度整備されているので、コンデンサから液漏れは無いのですが、基板には、液漏れの痕跡があり、ジャンパ線も腐食があります。

取り外してみると。

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もう使えそうにありません。

 

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コンデンサの下は、電解液が溜まっていました。

同じ様に綺麗にします。

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シールド板

電源は、シールドボックスに覆われているのですが、パターン面のシールド板をはずすと。

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電解液が染み込んでおり、ボロボロです。

手元にある、マイカシートと交換です。

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これで、電解液の残留は、全てきれいになりました。

側電源状態(一次側)

一次側の改善効果も前回と同等レベル。

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側電源状態(二次側)

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きっちり、改善しています。

トーンコントロール切り替えノイズ

さて電源がきれいになったので、電源を入れてノイズの確認を行いました。

僅かな切り替えノイズはありますが、問題になるレベルではありません。

そこで、重要なカスタム仕様の、OpAmpの交換が起因しているのかどうかをたしかめることに。

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どうやらOPA1622の反応が良いために、ノイズを大きくしてしまっているようです。

トーン用のOpAmpを試しにOPA1622にしてみると、ボリュームを動かすとホワイトノイズが確認できます。

通常使っている状態では、問題ないのですが、実状上好ましくないので、残念ながら少しスペックは、落ちますが、OPA1652にせざるを得ません。

 

そのご、カップリングを高分子フィルムコンに交換して、完成です。

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特性確認

前回、GNDの対策方法がわかりましたので、(下記参考)

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同様の処置を施しました。

f:id:MatsubaraHarry:20210112201641j:plainこれで、微小信号も綺麗に伝搬できるようになりました。

基準波形

TDは、実は、リレーで入力を出力に切り替えている、こだわりの設計です。

このTDの入力時の出力を確認することで、波形の基準とすることができます。

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僅かなノイズが見られますが、測定上の限界です。

微小信号(CD入力)

CDは、GNDがダイレクトですので、良好でした。

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ノイズも許容範囲に収まっています。

微小信号(AUX1)

AUXは、GND対策で効果がありました

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CDと同等レベルです。

微小信号(AUX2)

同様にAUX2も確認します。

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これで、全入力の動作確認ができたことになります。

周波数特性

最後に、カップリングコンデンサの効果と、チャネルのばらつきを確認するため周波数測定を行います。

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カップリング効果もあり、10Hzまでストレートに伸びています。

(微妙が差がありますが、ほとんど、測定限界です。)

 

まとめ

メーカメンテナンス

今回のメンテナンスは、メーカさんのメンテナンス済みでしたが、コンデンサの液漏れが残っていました。これから永く使っていただくために、できる限りの処置をおこないましたので、これで、車の寿命以上に使って頂けるのではと思います。

高速OpAmp注意

以下に特性が優れたOpAmpでも、使う場所によっては、特性をおさえつつ安定したOpAmpの方が適切な場合もあることが、今回の確認で分かりました。

パワーアンプの初段では、切り替えノイズ等がOpAmpに印加されることは無いので、高速オペアンプも使用できますが、プリアンプ等は、十分に検証を行う必要があることを痛感しました。

 

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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