先日のEC-302と同時に、手持ちのEC-204と比較しながら作業していました。
ところが、EC-204は、なかなか微小信号時のノイズが低減しません。
さて、そのノイズの原因と対策はどの様にして行ったのでしょうか。
はじめに
EC-204は、2Way用のクロスオーバネットワークです。2Wayというよりフルレンジ+サブウーファー仕様に特化していると考えられます。
標準状態観測
まずは、標準状態での特性を調べてみます。
微小信号観測
スパイクノイズが、基本波形より大きそうです。
一次側ノイズ
いつものように、リップルノイズを観測。
先日のEC-302と同等レベルです。
二次側ノイズ
これらも、同等レベル。
電源メンテナンス
さて、いつもの電源メンテナンスを行ってみます。
簡単に10mV程度まで落ち着きます。
二次側も同じ様に
一桁台にすることができました。
微小信号観測(カスタム1st)
効果どの程度あるでしょうか。
がっかりです。ほとんど効果がありません。
EC-302 vs EC-204
前回のEC-302と比較してみるとその効果の差は、結構あります。
この原因は、後の方で説明します。
高調波対策2nd
気を取り直して、電源パターンを確認してみます。
DC・ACからダイオードその後、コンデンサにつながっていますが
よく見ると、配線が長いことがわかります。
超低ESRの電解コンデンサで、高調波を抑えても、ループが長く電磁波ノイズを発生してしまうのでは、と考えています。
高調波ループの最短化
大げさなことではなく、整流後にすぐにセラコンでトランスのコモンへ逃してあげます。
赤い矢印のループは、1/3程度になったのではないでしょうか。
同時に入力にもセラコンを追加しています。
一次側ノイズ効果
やりすぎぐらいノイズが小さくなっています。
二次側ノイズ
これも、ここまで必要?と思われるくらい小さくなっています。
微小信号観測
さて、本当に信号に影響があらわれるでしょうか。
よかったです。やっと、EC-302と同等になりました。
周波数特性
最後に周波数特性を観測します。
フラットな特性ですね。OpAmpの性能は、100kHz程度では、特に問題ありませんので、当たり前なのですが、それでも、なかなか、こんな特性のネットワークとお目にかかれません。
OpAmp交換
オーナー様のリクエストで、OpAmpの交換を行いました。
入力にOPA1652、出力段にOPA1622を搭載(BASSはOPA1652)の仕様です。
測定上は、オリジナルと大きな差はありませんが、奏でる音の感想は、オーナー様からお聞かせ頂けることを、楽しみにしています。
まとめ
EC-302でノイズ低減ができたので、気軽にEC-204もできると思ったのですが、出力に漏れているノイズに悩まされました。幸いにも、スイッチングノイズは、ショートループが重要であるという、基本ルールを検証することになりました。
みなさんのお手持ちのオーディオ機器や、産業機器の電源のノイズ低減のヒントになれば嬉しいです。
ナカミチ クロスオーバ EC-302 整備録 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。