当方のEC-204をお使いになっている方より、EC-302のメンテナンスのご依頼です。
周波数切り替えをボリュームではなく、スイッチにて行う、とても音に拘ったEC-402
電源の低ノイズ化と低歪のOpAmpの改装で、1ランクうえの音を目指します。
はじめに
前回もご紹介しましたが、EC-304のスペックを簡単に。
18dB/octのスロープ特性です。このOctは、オクターブの略で、周波数が倍になると18dB減衰する、カットオフ特性のネットワークです。
その他実測での結果ですが
- 最大ゲイン +6dB
- 周波数特性 10~100kHz (±1dBV)
の実力で有ることが分かっています。
内部状態
スライドスイッチに隠れいて、見にくいのですが
- OpAmp 5532 x3 5538 x4
- ネットワークコンデンサ:メタライズドフィルム(に見受けられます)
- 電源 DC/ACコンバータ(その後整流して、DCへ)
電源状態
このネットワークの電源には、きちんとフィルタが入っています。
一次側電源状態
一次側を測定すると50mVととても優秀です。(測定は、大きく拡大しています)
二次側
DCをスイッチングして、ACを生成しています。
ダイオードで整流しており、緩やかな波が確認できます。
後段のフィルタ後は、この波は、ほとんど確認できない状態ですので、素晴らしい性能です。
カスタム
カスタム・メンテナンスの仕様は
- 電源のメンテナンス
- 高調波対策
- OpAmpの交換
になります。
OpAmpの交換、ソケット化の為に、シールド板を加工しています。
同時にシールド板を、磨き上げます。
電源(一次側)
コンデンサを高分子とセラコンの組み合わせで、高調波を抑制します。
電源(二次側)
十分高調波のない状態でしたが
さらに良くなり、ほとんどフレが確認できない状態になりました。
OpAmp電源
OpAmpの電源は、反射の影響が観測できるので、
ラジアルリードのセラコンで、きっちり対策します。
微小信号
さて、カスタムの効果と、動作確認も兼ねて、出力波形を観測します。
もともと、ほとんどノイズが確認できない優秀なネットワークですが
高域帯域の出力は、僅かですが、改善が見られました。
中域帯域出力
中域は、最高のカットオフ周波数15kHzにて測定しています。
カスタム後も、良好な状態です。
低域帯域
周波数を100Hzにて測定しています。
標準と同等の良好な状態です。
周波数特性
最後に周波数特性を確認します。
ハイは100kHzまで伸び、素晴らしい特性です。
(グラフに少しうねりがありますが、測定誤差の範囲です。)
まとめ
もともと、優秀な、ネットワークですので、カスタム及び、測定は、とても楽しく行うことができました。ノイズも、測定が難しかったですが、確実に改善していることがわかりました。
ボリュームと利得
このネットワークは、約6dBほど最大の利得があります。
調整が行いやすいように、0dB付近に印を付けてみました。
最初、当方も適当に行っていましたが、これで、スピーカやパワーアンプのゲイン調整も楽になります。
パワーアンプは、スピーカの能率の分、それぞれのスピーカに合わせることで、
このボリュームでどこをブーストしているのか、下げているのかが分かります。
スピーカは、一番能率の高いのを基準に、パワーアンプのゲインを少し絞り気味にするのがおすすめです。(絞りすぎると、元気がなくなりますので、そこは、トレードオフで)
備考
廉価版のデジタルオシロスコープがあれば、どなたでにもきますので、ぜひ興味のある方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。
もちろん、当方にメンテナンスのご依頼も大歓迎です。
(おまたせしてしまうかもしれませんが、ヤフオクを通じてオーダ可能です。)
EC-302のカスタム記事が下記よりご覧になれます。
EC-302 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
続編としてEC-204のカスタマイズもつづってみました。
ナカミチ クロスオーバ EC-204 整備録 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。