CA-101のメンテナンスの機会に再び恵まれました。
以前のメンテナンス時でToneの切り替えにノイズが出ていたのが気になります。
今回同じようなノイズは出るでしょうか。その原因は、スイッチの接触不良でしたでしょうか。
はじめに
前回CA-101を整備した時、最終的な動作はとても良くなったのですが、トーンの切り替えにノイズが少し出るようになってしまいました。
今回は、電源をまず整備してから、トーンの切り替えでノイズが確認できるかを確かめてから、カスタムに進みたいと思います。
電源整備
早速メインユニットの電源を確認してみました。
一度整備されているので、コンデンサから液漏れは無いのですが、基板には、液漏れの痕跡があり、ジャンパ線も腐食があります。
取り外してみると。
もう使えそうにありません。
コンデンサの下は、電解液が溜まっていました。
同じ様に綺麗にします。
シールド板
電源は、シールドボックスに覆われているのですが、パターン面のシールド板をはずすと。
電解液が染み込んでおり、ボロボロです。
手元にある、マイカシートと交換です。
これで、電解液の残留は、全てきれいになりました。
側電源状態(一次側)
一次側の改善効果も前回と同等レベル。
側電源状態(二次側)
きっちり、改善しています。
トーンコントロール切り替えノイズ
さて電源がきれいになったので、電源を入れてノイズの確認を行いました。
僅かな切り替えノイズはありますが、問題になるレベルではありません。
そこで、重要なカスタム仕様の、OpAmpの交換が起因しているのかどうかをたしかめることに。
どうやらOPA1622の反応が良いために、ノイズを大きくしてしまっているようです。
トーン用のOpAmpを試しにOPA1622にしてみると、ボリュームを動かすとホワイトノイズが確認できます。
通常使っている状態では、問題ないのですが、実状上好ましくないので、残念ながら少しスペックは、落ちますが、OPA1652にせざるを得ません。
そのご、カップリングを高分子フィルムコンに交換して、完成です。
特性確認
前回、GNDの対策方法がわかりましたので、(下記参考)
同様の処置を施しました。
これで、微小信号も綺麗に伝搬できるようになりました。
基準波形
TDは、実は、リレーで入力を出力に切り替えている、こだわりの設計です。
このTDの入力時の出力を確認することで、波形の基準とすることができます。
僅かなノイズが見られますが、測定上の限界です。
微小信号(CD入力)
CDは、GNDがダイレクトですので、良好でした。
ノイズも許容範囲に収まっています。
微小信号(AUX1)
AUXは、GND対策で効果がありました
CDと同等レベルです。
微小信号(AUX2)
同様にAUX2も確認します。
これで、全入力の動作確認ができたことになります。
周波数特性
最後に、カップリングコンデンサの効果と、チャネルのばらつきを確認するため周波数測定を行います。
カップリング効果もあり、10Hzまでストレートに伸びています。
(微妙が差がありますが、ほとんど、測定限界です。)
まとめ
メーカメンテナンス
今回のメンテナンスは、メーカさんのメンテナンス済みでしたが、コンデンサの液漏れが残っていました。これから永く使っていただくために、できる限りの処置をおこないましたので、これで、車の寿命以上に使って頂けるのではと思います。
高速OpAmp注意
以下に特性が優れたOpAmpでも、使う場所によっては、特性をおさえつつ安定したOpAmpの方が適切な場合もあることが、今回の確認で分かりました。
パワーアンプの初段では、切り替えノイズ等がOpAmpに印加されることは無いので、高速オペアンプも使用できますが、プリアンプ等は、十分に検証を行う必要があることを痛感しました。
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。