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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

ナカミチ PA-304S カスタム・高調波メンテナンス (2021 01 #1) 整備録 その2

状態の確認を行ったPA-304Sのカスタマイズ編になります。
どこまで、ナカミチ PA-304Sの実力を発揮できるでしょうか。

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 カスタマイズ

メンテナンス後にカスタマイズに進みます。

カスタマイズは、高調波対策を中心に、ナカミチの魂を継承つつ、安定性、耐久性を重視し、行います。

  • 高調波カスタマイズ
     セラコン等を用い、高調波を抑制します。
  • OpAmp電源改善
     OpAmpの電源は、熱容量に改善の余地があります。
      1)電源用のトランジスタの容量アップ
     2)電源降下の抵抗値の容量アップ
     3)ツェナーダイオードの容量アップ、電圧変更
  • カップリングコンデンサ変更
     電解コンデンサ+フィルムを 高分子フィルムコンデンサ単一に変更
     これにより、シンプルになり低歪化を実現
  • OpAmp OPA1652
     オペアンプは、定電流かつ低歪のOPA11652を採用。

決して派手ではありません。この実力を体感できるのは、手にされたオーナ様だけの特権です。

電源特性

毎回の記載を了承ねがいます。

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スイッチング電源ですので、出力の電源(二次側)のノイズも重要ですが、入力へのノイズ放射も抑えなくてはなりません。(端子間ノイズと言います)

入力側

入力側は、少しリップルが確認できました。

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高調波対策で、きっちり抑えることができました。

一次側

一次側は、どうしても大きめになります。

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0.2V程度に抑えることができました。

この効果が、入力へのノイズ伝搬を最少にすることができます。

二次側(電力用)

電力用の電源は、もともと良好ですが、少し抑えてみます。

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パラメータの適正値がだいぶ収束してきました。

二次側(電圧用)

電圧は、少しスパイクが大きいですが、後段に安定化回路があります。

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安定化電源は、高調波を伝搬しやすいので、スパイクを抑えています。

OpAmp電源

いつもの通り、パスコンで簡単に抑えます。

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OpAmpの電源の電流、放熱の改善も行っていますので、安心です。

微小信号

あまり他では目にすることはありませんが、小さな信号の再生能力です。

単にSN比率は、最大出力とノイズの比率ですが、どこまで小さな信号を再生できるかも重要なファクターと考えています。

特に能率の高いスピーカと接続したときの、静寂であるのにノイズが聞こえてしまうのは避けたいですから。

 

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当初の半分以下にすることができました。

SN比率が6dB向上したことになります。

f特

最後に周波数特性も確認しておきます。

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リファレンスに使えるような、特性です。

過剰な変更を加えず、ナカミチの魂を継承できたと。

まとめ

内部の最終状態です。こんな製品のアンプがあっても良さそうに見える状態ではないでしょうか。

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特にOpAmpの電源は、これ以上発熱による基板の変色が進まないようにしています。

 

最後に、外観も、洗浄を行い、綺麗に整えました。

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小さなキズは、ありますが、30年前のアンプと思えない状態ではないでしょうか。

実力も完璧です。

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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ナカミチ PA-304S カスタム・高調波メンテナンス (2021 01 #1) 整備録 その1

ナカミチのアンプで人気の高い4chのPA-304シリーズのPA-304Sが流れ着きました。
このPA-304Sは、Sバージョンで、FETモデルです。

当方の手掛けた音を聞きたいとのことで、わざわざ、入手されたとのこと。嬉しい限りです。
さっそく、アンプの状態を見てみましょう。

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 はじめに

 PA-304Sは、PA-304と基本スペックは同じですが、進化しています。

一番の違いは、電源のメイントランジスタがFETになっていることです。

そのため、電源の効率がよくなり、かつ、トランジスタの制御信号(ベース)を安定させるためのトランスが省略できます。

他のSモデル(PA-302やPA-202)は、コンデンサにボックスタイプのフィルムを採用していますが、PA-304Sは、方向性が異なる様です。

 

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基板状態

PA-304シリーズは、電源コンデンサの液漏れが必ず と言ってよいほど生じていますが

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このPA-304Sは、とても綺麗です。液漏の気配はありません。すごく良い状態です。

 

基板を取り外して確認してみましょう。 

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コンデンサの膨れもありません。

OpAmpの電源回路の焼けが少しありますが、とても良好です。

電源状態確認

とても良好でしたので、そのまま電源を入れて、確認してみることにしました。

 

その前に、端子台をメンテナンスしておきました。

 

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曇っていたのが、スッキリしたのが、分かるとよいのですが。

 

電源状態の確認は、入力の状態と、アンプへの電源を確認します。

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入力ノイズ

少し比較相手が、当方で標準メンテナンスしたPA-304との比較で厳しいですが

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多少リップルが大きめですが、ほとんど、出荷時の状態に見え、状態としては良好です。

一次側

一次側は、状態が悪いと数Vまでピークノイズがありますが

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1V程度に収まっています。

二次側(電力用)

さて電力用は、チョークコイルが挿入しているので、小さめですが

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PA-304Sのコイルが大型の磁気漏れの少ないタイプで、更に小さくなっています。

素晴らしいですね。

 

二次側(電圧用)

一方、電圧用は、後段にトランジスタで安定化しているので、スパイクノイズが大きめですが

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きっちり正常動作しています。多少、リップルが少し大きめに見えますが、対策できる範囲です。

微小信号

微小信号の波形で、出力へのノイズの漏れを確認します。

比較の標準状態は、GNDの抵抗等が整備されているので、かなり良いデータですので比較はきびしいのですが

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GNDの抵抗や、高調波対策で、十分対策ができそうです。

 

つづく

PA-304シリーズとしては、とても状態の良いアンプであることがわかりました。

それでもこのまま使用すれば、液漏れの洗礼を免れません。きっちりメンテナンスして、高調波のカスタムを施してみたいと思います。

どうぞお楽しみに。

 

ナカミチ PA-304S カスタム・高調波メンテナンス (2021 01 #1) 整備録 その2 - pp audio blog

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ナカミチ モバイルアンプ シリーズ一覧(工事中)

ナカミチのカーオーディオパワーアンプ(モバイルアンプ)を数多くカスタムメンテナンスしてきましたが、ナカミチのアンプのシリーズや系統、特色などの資料が用意できておりませんでした。

年の瀬になりましたので、少しまとめてみました。

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外観

カーオーディオのナカミチファンならば、すぐにモデル名が言い当てられると思います。

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アンプ系列

ナカミチモバイルアンプ(JP)の系列は、当方が把握しているものとして

  • PA-200/300/350(黒アンプ)
  • PA-202/301302/304(銀アンプ)
  • 100PA/1000PA
  • 小型(PA-100、PA-150)

を挙げられるのではないでしょうか。

その中で、オーソドックスな、黒アンプ、銀アンプ(当方の呼び方です)、100PAを紹介します。

 

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仕様比較表

各モデルを簡単なスペック一覧表としてまとめてみました。

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黒アンプー>銀アンプー>100PAとの年代順になりますでしょうか。

時代とともに、大型になる傾向にあります。

各アンプの特徴

当方で分かる範囲なのですが、メンテナンスやヒヤリングを行った、各アンプの特徴を綴ってみたいと思います。

黒アンプ

 ナカミチがモバイルアンプとしての起源のモデルと考えています。

 仕様からその意気込みが感じられます。小型で扱いやすく、かつDCアンプによる素直な音が特徴です。LowCutフィルタ入力を備えたモデルも有しています。

いまだに多くのファンに慕われているシリーズです。

 使い方では、30年動作している個体もあります。(しかしながら、メンテナンスはおすすめしております。)

銀アンプ

 PA-202,301,302,そして304のモデル番号を持つ、黒アンプを少し大きくしたシリーズです。(銀アンプと当方で呼んでおります。)回路が少し変わって来ておりOpAmpを採用し、DCアンプではなくなりました。ボディを一回り大きくすることで放熱効果を上げ、最大出力を従来のシリーズから、アップしています。

かなりのヒットモデルであることが、オークションの出品数の多さでも、伺うことができます。

 弱点としては、コンデンサの液漏れが生じやすく、現在入手できるこのシリーズは、メンテがどうしても必要になります。

100PA

 バブル時代でしょうか、かなりの価格帯での発売になっておりました。

ボディはさらに一回り大きく、出力容量も1割ほどアップを実現しています。

アンプ回路も、ディスクリート構成になり、より音楽を楽しめるアンプに仕上がっています。スペックに現れない何かが潜んでいるアンプで、4chならば、このアンプを選んでしまいます。

黒アンプ(PA-300シリーズ)

ナカミチがカーオーディオに参入し、初めてのアンプになると思います。内部回路は、オペアンプを介さないストレートDCアンプになり、その音は今でも多くのファンをひきつけています。

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スペックも、後継機種より出力はほんの少し控え気味ですが、その低歪とDCまで伸びた周波数特性には、驚かされます。

電源は、その当時、一般的に使われ始めたDC/DCを搭載し、カーオーディオの宿命である、低い供給電圧から、高出力を引き出しています。

後継機のPA-30xよりも、電源の問題は少ない傾向にあります。

PA-300 vs PA-350

人気なのは、PA-300IIでしょうか。

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一見すると区別がつきにくいですが、スピーカ出力端子台が2つになっているのでわかります。

内部のレイアウトは

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電源基板+ アンプ基板 x2

の3枚構成で似ています。電源基板ば微妙にLayoutが違っています。

PA-300には、LouCut入力が備わっており、スーパーウーファとの組み合わせが簡単にできるようになっています。

PA-300 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

PA-350 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

PA-200

その中でも小型で扱いやすいPA-200があります。

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一枚基板構成になっています。

容量が小さいので、MID/Highにうまく使うと驚くような音を生み出してくれます。

中古を探す、注意点としては端子台が壊れやすいところです。電源側の破損品は、見送ったほうが良いでしょう。

PA-200 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

銀アンプシリーズ

次の世代で、外観が一回り大きくなり、容量もアップして、ナカミチの代表するカーアンプになっています。

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オークションで常に出品されています。

ボディは、アルミの押出成形で、同じ金型で作られていますね。

PA-202は、190x190の正方形のサイズになります。

PA-302 / PA-304

外形サイズが同じPA-302とPA-304を比較してみましょう。

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入出力端子がダブルになっている違いがあります。

内部を比較すると違いがよくわかります。

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電源基板は、ほぼい同じで(電圧は違います)アンプ基板が2chと4chの違いによる差があります。

PA-302は、アンプ基板に大型の電解コンデンサが4つ装備されていて、そのパワーの余裕の源となっています。

基板と基板の間にシールド板が装備され、ノイズに対する配慮が伺えます。

PA-302 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

PA-304 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

PA-202

これも小型ながら 40Wx2を絞り出す、使いやすいシリーズです。

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中の構成も一枚基板でシンプルです。

アンプ回路よりも、電源の面積が大きいことがわかりますね。

電源回路も安定しており、

この銀アンプシリーズは、どうしてもコンデンサの液漏れの洗礼受けてしまいます。

早めにメンテナンスして、現代のコンデンサに置き換えることで、末永く使えるようになります。

PA-202 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

100PA

最後のJapan ナカミチのカーアンプなのでしょうか。そのアルミのボディの重量には、驚かされます。

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スペックは、歪等のスペックは、PA-304から一桁後退しているのですが、そんなことは感じさせない音、SN比です。

  • OpAmpレスのディスクリートアンプ
  • 音質にこだわったガラエポ両面基板
  • FETスイッチングの電源
  • 高重量のアルミボディ
  • 防振構造
  • 50W x4の高出力

これはPA-304に比べ1kgもアルミを厚く、大きくしています。

また、取付ブラケットをゴムで振動アイソレーションし、車からの振動による影響を低減させています。

100PA カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

PA100 vs PA-304

同じ4chと比較してみます。

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横幅が約5cmほど広がっています。

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実は、内部の基板サイズ、構成は同等です。

ですが、産業機器で使われるガラエポの両面基板を採用し、高信頼性を担保しています。

PA-304に時折見られる、発熱素子のダメージは、見受けられません。 

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PA-304 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

Sモデル

銀アンプの中には、PA-302S、304S、202Sシリーズがあります。この違いは、使用部品にハイグレード品を使っているのですが、PA-304Sだけは、電源回路が違います。

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202や302は、フィルムコンデンサを多様しているのですが、PA-304は電源回路が違う特徴があります。

当方も当初、勘違いしていました。

まとめ

いかがだったでしょうか。時系列で派生ルーツを記載してみたいのですが、資料がなかなか集まらず、現状難儀している状況です。

もし、発売年代等の情報お持ちでしたなら、コメント頂けると幸いです。

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当サイトの測定器

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ナカミチ PA-304 カスタム・高調波メンテナンス (2020 12 #2) 整備録

PA-304が流れ着きました。今回も高調波カスタム メンテナンスです。
PA-304は、その作られた時期により実装仕様が少しずつことなり、状態によりメンテナンスが大変になる場合があります。今回は、簡単にメンテナンスできるでしょうか。

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 はじめに

今回のPA-304は、高調波カスタマイズ、GAINボリューム交換、カップリングのオプションです。

 

物理状態

外見は、特に著しい損傷はなさそうです。

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裏面には多少のシミがありました。

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裏蓋に少し漏れているのがわかります。

基板状態

基板を確認してみると

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コンデンサの液漏れがあります。

部品面にも

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多少確認できます。

 

基板の状態を確認するため、洗浄してみました。

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パターンの溶断はなさそうです。

いつもの様に、研磨して、腐食の進行を防ぎます。

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液漏れのコンデンサ等をはずすと。

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抵抗が2つほど、侵食され、使えなくなっていました。

メンテナンス後の基板状態

綺麗に清掃もおこないました。

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これなら、末永く働いてくれるでしょう。

カスタム・メンテナンス後確認

今回は、意外と修理がスムーズでしたので、一気に高調波カスタムのレポートになります。

 

一次側

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今回はセラミックコンデンサを表面実装とディスクリートをダブルで対策。

効果的な、リップル低減ができました。

二次側(電力)

コンデンサのみならず、コイルも交換しているので、

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かなり低減できます。トロイダルコアは、有効です。

 

二次側(電圧用)

二次側は、いつものチップセラコンです。

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効果的なリップル低減が実現できました。

 

OpAmp電源

OpAmpの電源は、少しびっくりでした。

コンデンサが、小さめの容量のフィルムコンデンサのみなのと、放熱がわるく、発振していました。

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部品を交換して、放熱効果を上げ、パスコンを追加で、安定できました。

 

発熱する抵抗は、交換して、基板から離して、放熱効果をあげます。

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 実装は、メーカ標準仕様と見えるように、信頼性を担保できるように心がけています。

微小信号(標準メンテナンス)

いつもの微小信号を確認してみます。

標準メンテナンスと、GNDの抵抗の変更状態です。

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優秀です。20mV程度に抑えることができました。

 

微小信号(高調波対策後)

 高調波対策を施すと、 

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さらに低減することができました。

f特

最後に周波数特性を確認します。

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ゲインボリューム交換とボリュームの高域タレの補正用コンデンサを交換している効果で、すべてのチャネルがほぼ同一特性になりました。

 仕上げ

外装も少しだけメンテナンスしました。

底面も、クリーニング。

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底板の内側は、腐食していたので、

ヤスリー>サビ添加剤ー>プラサフ処理

腐食進行を防ぎます。

外装は、清潔感があるように仕上げます。

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端子台も磨きましたので、端子ネジをクローム製に交換で完了です。

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外した部品集合

お役目を果たした部品たちです。

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まとめ

微小信号をバラック状態で確認している際、安定しないことがありましたが、電源側の基板とアンプ側の基板のGND接続を忘れていただけでした。

今回も、GNDの抵抗を回路図通りにすると、いつもどおりの波形になりました。

しばらく、抵抗負荷でエージングを行います。その後、オーナーの元へと。

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ナカミチ クロスオーバ EC-204 整備録

先日のEC-302と同時に、手持ちのEC-204と比較しながら作業していました。
ところが、EC-204は、なかなか微小信号時のノイズが低減しません。

さて、そのノイズの原因と対策はどの様にして行ったのでしょうか。

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 はじめに

EC-204は、2Way用のクロスオーバネットワークです。2Wayというよりフルレンジ+サブウーファー仕様に特化していると考えられます。

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標準状態観測

まずは、標準状態での特性を調べてみます。

微小信号観測

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スパイクノイズが、基本波形より大きそうです。

一次側ノイズ

いつものように、リップルノイズを観測。

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先日のEC-302と同等レベルです。

二次側ノイズ

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これらも、同等レベル。

電源メンテナンス

さて、いつもの電源メンテナンスを行ってみます。

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簡単に10mV程度まで落ち着きます。

二次側も同じ様に

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一桁台にすることができました。

微小信号観測(カスタム1st)

効果どの程度あるでしょうか。

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がっかりです。ほとんど効果がありません。

 

EC-302 vs EC-204

前回のEC-302と比較してみるとその効果の差は、結構あります。

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この原因は、後の方で説明します。

高調波対策2nd

気を取り直して、電源パターンを確認してみます。

DC・ACからダイオードその後、コンデンサにつながっていますが

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よく見ると、配線が長いことがわかります。

超低ESRの電解コンデンサで、高調波を抑えても、ループが長く電磁波ノイズを発生してしまうのでは、と考えています。

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高調波ループの最短化

大げさなことではなく、整流後にすぐにセラコンでトランスのコモンへ逃してあげます。

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赤い矢印のループは、1/3程度になったのではないでしょうか。

同時に入力にもセラコンを追加しています。

一次側ノイズ効果

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やりすぎぐらいノイズが小さくなっています。

二次側ノイズ

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これも、ここまで必要?と思われるくらい小さくなっています。

微小信号観測

さて、本当に信号に影響があらわれるでしょうか。

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よかったです。やっと、EC-302と同等になりました。

 

周波数特性

最後に周波数特性を観測します。

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フラットな特性ですね。OpAmpの性能は、100kHz程度では、特に問題ありませんので、当たり前なのですが、それでも、なかなか、こんな特性のネットワークとお目にかかれません。

OpAmp交換

オーナー様のリクエストで、OpAmpの交換を行いました。

入力にOPA1652、出力段にOPA1622を搭載(BASSはOPA1652)の仕様です。

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測定上は、オリジナルと大きな差はありませんが、奏でる音の感想は、オーナー様からお聞かせ頂けることを、楽しみにしています。

まとめ

EC-302でノイズ低減ができたので、気軽にEC-204もできると思ったのですが、出力に漏れているノイズに悩まされました。幸いにも、スイッチングノイズは、ショートループが重要であるという、基本ルールを検証することになりました。

みなさんのお手持ちのオーディオ機器や、産業機器の電源のノイズ低減のヒントになれば嬉しいです。

 

ナカミチ クロスオーバ EC-302 整備録 - pp audio blog

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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ナカミチ クロスオーバ EC-302 整備録

ナカミチのクロスオーバーネットワークEC-302は、マニアの方にも人気です。
その秘密は、周波数の切り替えが音質を重視した、スライドスイッチによるところでしょうか。

そんなEC-302をメンテナンスしてみたいと思います。

 

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 はじめに

 EC-302は、3Wayのクロスオーバネットワークです。通常周波数の設定は、ボリュームによるアバウトな調整が多いですが、このEC-302はスライドスイッチにより細かく設定できます。

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  • 各出力独立ボリューム
  • カットオフ周波数の数値設定可
  • ハイレベル入力(最大 3.5V)
  • 低歪、高SN比

現状調査

 状態を確認してみましょう。

微小レベル信号

 微小レベルの状態を確認すると、問題があるかほぼわかります。

Low・Mid及びHihgを確認しましたが、Highが問題になるレベルではありませんがノイズが観測できました。

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一次側状態

電源の状態を確認してみます。

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特に問題のあるレベルではありませんが、いつもの高調波対策を駆使して抑えたいところです。

 

二次側

二次側のフィルタ前の波形です。

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リップルは確認できますが、優秀なレベルです。

 

カスタマイズ

さて、いつものようにカスタマイズを行ってみたいと思います。

一次側

高分子コンデンサ(OSコン)を装着することで、リップルが低減されます。

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さらに、セラミックコンデンサを複数個しようすることで、微小レベルまで落ち着かせることができます。

これは、出力のノイズ低減に寄与していることが、後でわかりました。

二次側

二次側は、電源用超低ESRのコンデンサを装着することで、

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満足の状態になりました。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、どうしても基板の制約上、信号ラインレベル幅の配線になります。

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電流では、問題ないのですが、高周波数のインピーダンスが高く高調波ノイズが生じてしまいます。

 

OpAmpにパスコンを付けることでOpAmpからのノイズというより、電源や、誘導ノイズの反射を抑え、吸収することで劇的な効果を上げることができます。

微小信号効果

さて、ノイズ低減の効果は出力に現れるでしょうか。

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数値的に改善が確認できました。波形が細くなっているのがわかります。

周波数特性

最後に周波数特性を観測してみました。

High:スルー

MID:15.5kHz(最大)

LOW:4k

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OpAmpのフィルタなので、当然のようにフラットな特性です。

減衰カーブも-18dB程度になっていそうですね。

Highはパスモードですが、低域は、カットされていることがわかりました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

電源への高調波対策は、その電源回路の特性に合わせた、コンデンサの容量を選定することで、しっかり抑えることができます。Sパラとシミュレーションを駆使も良いですが、歴史のある機器には、観測しながら、昔ながらのカット&トライも有効です。

今回セラミックのチップコンデンサだけより、ディスクリートのセラコンとチップを併用することで、マッチングがとれました。

いままで、ESRとして優位なチップコンデンサを中心に対策していましたが、手法が変わってきています。おそらく、インピーダンスが最小になる周波数がチップとディスクリートでは異なっているため、効果的なのではないかと考えています。

 

廉価版のデジタルオシロスコープがあれば、どなたでにもきますので、ぜひ興味のある方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。

もちろん、当方にメンテナンスのご依頼も大歓迎です。

(おまたせしてしまうかもしれませんが、ヤフオクを通じてオーダ可能です。)

 

続編としてEC-204のカスタマイズもつづってみました。

ナカミチ クロスオーバ EC-204 整備録 - pp audio blog

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

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ナカミチ 黒アンプ PA-350 35W x4 カスタム・メンテナンス 整備録(202012 1)

PA-350が流れ着きました。動作品で購入されたのですが、立ち上がらず当方に依頼いただきました。

末永く使いたいとのご希望、しっかりメンテナンスしたいと思います。

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 はじめに

初期タイプのPA-3x0シリーズは、黒アンプと呼ばれ、ファンが多いです。これら黒アンプシリーズは、カップリングコンデンサが装着しておらず、ストレートな音とかつ、ナカミチらしい柔らかな低歪の音が特徴です。

PA-350はこの小さなボディに4chx35Wを詰め込んでいるスグレモノ。

なかなかオークションでは良品をお目にかかることは少ないです。

一方、使用している電解コンデンサPA-30x(シルバーモデル)よりもマージンがあるのか、液漏れをめったに見かけません。(制御系の小型電解コンデンサは、残念ながら液漏れの洗礼を受けてしまいます。)

 

状態

内部の状態を確認してみましょう。

底板を外し、基板を確認してみました。

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良好で、液漏れ等は、見上がりません。

部品面は

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特に焼損等の部品は見当たらず良好です。

動作確認

電源が全く入りません。電流も流れません。

  1. 制御系小型電解コンデンサ交換
     液漏れがあり交換。しかしながら通電せず。
  2. 制御系 Tr確認
     リークの大きめなTrが要因してTrがOnしていないことを見つけ、交換。
     それでも、電源は立ち上がらず。
  3. フィルタコイル接触不良
     一次側からスパークする症状を発見、一旦取り外し、再度取り付け。
     電源は入るが、過電流になる。
  4. ゲインボリュームを最小に
     ゲインボリュームを最小にすると、正常動作となった。
大型コイルの半田外れ

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写真では、わかりにくいのですが、赤丸の半田が振動で、外れてしまって、接触不良で電源が不安定に。

 

一旦取り外し、端子を磨いて、予備半田を行い修理。

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基板配線整備

このPA-3x0シリーズは、リード線による基板配線強化が行われています。

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メンテナンス性と安定性を考慮し、銅線による配線に置き換えスッキリさせています。

 

電源確認と高調波カスタム

一次側

トランス一次側の波形です。電源のメンテナンスは

 470uF x3 ->3300uF x2+1000uF

にてボリュームアップ。1000uFは高分子コンデンサを採用して、中高域のインピーダンスを下げています。

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これだけでも良好ですが、スパイクが取り切れていません。

表面実装のセラミックと、実装されていた0.1uFx2 を2.2uFと4.7uFに交換

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うねりを抑えつつ、レベルを抑えることができました。

二次側(電力)

二次側の電力も電解コンデンサ+高分子コンデンサ+チップセラコンにて対策。

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尖ったスパイクがなくなり良好です。

 

二次側(電圧用)

電解コンデンサを交換後、セラコンをいくつか交換し調整。

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電解コン+10u+4.7uにて落ち着きました。

 

カスタム内容

基本メンテナンスは、アンプの動作をオリジナルに復元する内容になります。

もちろん、現代の素子を使っているので、性能アップも行っています。

今回、様々な、カスタマイズを施します。

  • 電源高調波抑制カスタマイズ
     これまで、紹介しています、チップコンデンサや、高分子コンデンサの採用で高調波を抑えます。
  • GAINのVr交換
     GAINのボリュームは、消耗品ですので、シールドタイプのしっかりしたものと交換。
  • OpAmp 関係
     OpAmpすべてにパスコンを装着。電源ノイズを測定限界以下に。
     またOpAmpを超低歪のOPA1652に交換します。

 

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つづく

GAINをMAXにすると発振する問題は、基板をボディから取り外した影響と思われます。

じつは、ヒートシンクがGND回路接続になっており、バラックでは動作しません。

リード線で接続しているのですが、基板のGNDを接続するだけではなく、チャネル独立して接続する必要がありそうです。

整備終了後、本体に取付、性能(ポイントのf特、微小信号確認)を行う際に、もう一度確認してみたいと思います。

 

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