基本メンテナンス完了しましたので、カスタマイズを行ってみたいと思います。
カスタマイズ
PA-300は、名機と語り継がれているだけあり、カスタム範囲が限られていますが、高調波を中心にしっかり、整備して、末永く使える仕様に仕上げたいと思います。
- 高調波対策
リップルの低減及び、高調波の低減を行います。
単に静電容量を上げるのではなく、コンデンサの組み合わせによる、
効果的方法を施します。 - ゲイン調整
歴史的なアンプですので、ゲインが高めです。
-6dBほど、ゲインを下げ、現代のヘッドユニットに対応させます。 - ゲインボリューム交換
シールドタイプのボリュームと交換します。
高域が改善され、調整もしやすくなります。 - OpAmp電源
OpAmpは負帰還に使用されています。OpAmpの電源は、音質への影響を考えると必須といえます。
電源高調波対策
さて、早速高調波対策を行ってみたいと思いますが、念の為電源のスイッチング波形を確認してみました。すると...
通常のPA-300のスイッチング波形....と思いきや...なにかおかしいです。
黄色と青の波形が、交互に繰り返さなくてはならないのですが、青側が、オンしていません。
コントローラのモードプッシュプル動作が行われず、片側だけ動作しています。
コントローラICを交換してみると。
正しくなりました。
違いがわかりにくいので、上下で比較してみると。
おわかりになるでしょうか。
青い波形も黄色と同じ様に、動作するようになりました。
これまで、片側だけで、動作していた模様です。これでは、すぐに磁気飽和してしまい、過電流が流れ、FUSE切れを引き起こします。
Fuse切れの原因がコントローラICの故障であると、考えて良いと思います。
一次側効果
一次側の対策は、コンデンサが3つ装着されているので、色々工夫できます。
オリジナル:470uF x3
カスタマイズ: 10,000uF(4,700uFx2)+1,00uF+100uF+4.7uF
にて帯域全体を低減してみました。
綺麗に収まっています。
二次側(電力)
二次側は
オリジナル:470uF x2 x2
カスタマイズ:(1,000uF +120uF +10uF) x2
高調波が綺麗に取れました。
二次側(電圧用)
電圧用は、コンデンサが一つずつなので、あまり複雑なことができません。
電圧用はあまり電流が流れないので、スパイクを低減することを優先して対応。
かなり大きなスパイクでしたが
きっちり抑えることができました。
OpAmp電源
OpAmpは、シリーズタイプ(9Pin)のOpAmpが装着されています。
ただし負帰還なのですが、電源はきっちり抑えたいと思います。
小さめのセラコンで、抜群の効果です。
微小信号
高調波対策の確認として、微小信号を観測します。
もともと優秀でしたが
効果を確認することができました。
周波数特性
周波数特性を観測します。カップリングが無いので低域がストレートに伸びているはずです。
後周波数特性(ボリューム交換、ゲイン調整後)
ゲインとボリュームを交換して周波数特性を確認します。
高域が改善されているのがわかるでしょうか。
まとめ
今回はPA-300のLimitedバージョンをカスタム・メンテナンスいたしました。
PA-300の出力ノイズの小ささには、毎回関心してしまいます。
高能率のMIDやTWを使われる方、ぜひ、一度検討されてはいかがでしょうか。
基板実装の変化は、毎回地味です。
Limitedの仕様について
Limitedは、PA-300にゲインボリュームとLow Cutの入力の付加価値追加と思います。
その後Limitedの人気がありPA-300IIとして販売されたのではないでしょうか。
オークション等で見かけた場合、レア品であるのは間違いありません。当方も、手に届くの範囲であれば、入手したいと思います。
基本特性の観測:幻のPA-300 Limited メンテナンス - pp audio blog
これまでのPA-300シリーズ:PA-300 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
ご希望の方は
当方のブログを見ていただいた方で、ぜひ、同様のアンプを聞いてみた方、オークションで、カスタムしたアンプを出品していることがございます。数はとても少ないので、、幸運にも遭遇された場合は、ご検討お願いします。
もちろん、メンテナンスのご依頼もお待ちしております。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。