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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

RockFord punch 200x ② FET選別 高調波対策

さて、前回動作復帰したRockfordの200xなのですが、FETのバランスをあわせたほうが良いのが分かってきました。今回は、FETの選定でバランス改善を行ってみたいと思います。うまくゆけば、引き続き、いつもの高調波対策を施してみたいと思います。

思惑通りに行くでしょうか。

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 はじめに

RockfordのアンプのPunchシリーズの出力段の半導体、FETは、3つずつ並列に使われ、正負極、L/Rで12個使われています。FETを含む半導体は、経年変化で特性が変化し、バランスがずれてきてしまいます。 

出力半導体(FET)の選定

このアンプは、そのため、一部のFETに電力が集中してしまい、FETが短絡し、故障した可能性があります。

単に、壊れたFETだけを交換しても、バランスがずれているので、一箇所に電力が集中し、すぐに壊れてしまう可能性があります。
スイッチング電圧特性等を調べて、極力同じ特性のFETを使用することが必要となります。

 治具JIG)を作って、FETを選定してみました。

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  • ゲート電圧を徐々に上げ、電流を観測します。
  • ある電流になった(2.5mA)ゲート電圧を記録
  • PchとNchは、それぞれ別の治具で観測

新規購入のFETと、アンプについていたFETも外し、測定してみました。

 

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やはり、アンプについているFETは、特性にばらつきがあり、このまま使用できなさそうです。

新規購入のFETもばらつきは少ないですが、それでも、なるべく近い値を選んで実装してみました。

 

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BIAS調整も行った結果、全て同じ値にすることができました。

また、BIASの電流制限用抵抗は0.1オームですが、少しの差でも測定に誤差がでるので、これも一部交換してひとまず完了です。

電源改善

さて、いつもの電源の高調波対策を、行ってみます。

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入力ノイズ

オリジナルは、470uF x3ですが、

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OSコンとセラコンで良好になりました。

 

二次(電力用)

大きな3300uF/50Vが6個ついています。

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これも年季が入っていますので、交換。一部低ESRを採用。

3300uF x6 ー> 3300u x4+1000u x2

最終的にセラコンを追加して、落ち着きました。

 

オリジナルと最終を比較すると

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ピークが抑えられ、変動の実行値も小さくなっています。

二次(電圧用)

電圧用は、良好のノイズレベルですが、念の為、改善します。

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これは、OSコンの効果がはっきり確認できました。

出力ノイズ効果確認

さて、本当に出力段へのノイズ効果は、現れているでしょうか。

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Lchは、改善していますが、Rchは、かえってスパイクが大きくなっています。

 

OpAmp電源

気を取り直して、OpAmpの電源を確認してみるこに。

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少し大きめのリップルが観測されました。

 

いつものようにパスコンを追加してみます。

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 効果はを確認してみると

f:id:MatsubaraHarry:20210215015204j:plainきちんと対策できました。低周波数が少し残りましたが、この程度であれば、出力へは、影響出ないと思います。

コンパレータ電源

もう少し調べると、コンパレータも装着されていました。これもレベルが結構大きかったので、合わせて対策することに。

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最優確認

出力ノイズが減少しているか、確認してみます。

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かなり小さくすることができました。ノイズの主要因は、OpAmpの電源ノイズだったことがわかりました。

微小電圧確認

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よかったです。かなり改善することができました。

まとめ

メイン電源の高調波対策だけでは、出力のノイズ低減は、わずかでしたが、OpAmpの電源対策にて大きな効果を得ることができました。

周波数特性

このPunch 200xには、BassとTribleのボリュームがついています。まずは、MINにしてフラットな特性を観測してみました。

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少し縦軸が細かいのですが、20から20kHzにおいて、-1dBの特性です。100kHzまでしっかり伸びています。

 

トーンコントロール特性

意外と、このトーンコントロールの特性は、重要です。

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Bassはなんと+20dBもブーストします。それも40Hzをスポットでお仕上げます。

小型のスピーカでも、パワーが入るタイプならば、低域を補強することができそうです。とても使いやすそうです。

 

今まで、修理は、下記よりご覧になれます。

 

RockFord punch 200x ① 修繕 - pp audio blog

 

ほかのRockFordのメンテナンスは

 

 

RockFord punch 250m2 ③ ノイズ対策 + FET交換 - pp audio blog

 

RockFord punch 100a II メンテナンス 整備録 - pp audio blog

 

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当方のブログを見ていただいた方で、同様のアンプを聞いてみた方、オークションで、カスタムしたアンプを出品していることがございます。数はとても少ないので、幸運にも遭遇された場合は、ご検討お願いします。

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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RockFord punch 200x ① 修繕

今度は、ロックフォード 200x パワーアンプのメンテナンスになります。
このアンプは、出力が出ない状態で、確認したところ、出力の半導体(FET)が壊れていることがわかりました。

前回の250と同じFETですので、その時余ったFETで交換して、まずは動作状態にしてみます。

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 はじめに

RockfordのアンプのPunchシリーズは、100、250そして、今回の200の3種類目になります。さてこのアンプは、どんな素性を持っているのでしょうか。

外観

250と同じ様な強靭なアルミの鋳物の筐体です。

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外見は250と同じようなのですが

 

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 機能は、至ってシンプルです。

使いやすそうですね。

基板状態

電源用の電解コンデンサが6個もついています。

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すでに出力半導体(FET)が壊れているものは、取り外し、怪しいのは、抵抗を取り外しています。

ハンダ面状態

ハンダ面も確認してみます。

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一度、出力FETが壊れたため、配線に過電流が流れ、損傷してしまったようです。

オーナーの方の苦労の痕跡があります。

パターン修正

カーオーディオは、電圧が低いので、回路が破損すると、過電流が流れパターンが焼け落ちてしまうことがあります。

電源パターンなので、結構太いのですが、車の電源は、電圧こそ低いのですが、大きな電流が流せるので、今回の様にパターンが焼け落ちてしまうことがあります。

 

損傷部事前準備

まずは、一旦リワークを取り外して、状態を確認してみます。

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一旦洗浄後、使えるパターンだけ残して、整えました。

 

レジスト剥離

電流が大きいので、パターンのレジストを剥がして、接触面積を大きく取る必要があります。

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スルホールだけではなく、周りの銅箔にハンダが付くように、レジストを丁寧に剥がします。これにより、接続面積が広くなり、接触抵抗を下げることができます。

銅板加工

当方が、パターンの補修や、電源の強化に使うのは、0.3mmの薄めの銅板です。

通常の基板のパターン厚は、0.05mm(50μ)や厚めで0,1mmですが、その6倍です。

少し、厚めの方が加工しやすい、メリットがあります。

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これを、つなぐパターンの形状に切り取ります。

 

カッターで数回切り込みを入れて、ペンチで屈曲すると

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きれいにカッターの切り込み部分で切り取ることができます。

あとは、エッジのバリをヤスリで丁寧に削り、外見を整えます。

 

パターン仮付

耐熱テープ(カプトン)で位置を固定して、はんだ付けします。

 

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このカプトンテープは、ハンダの不要な広がりを防いで、ハンダがきれいに仕上がります。

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絶縁保護

銅箔にレジストするのもよいのですが、今回は、カプトンで保護しました。

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きれいに修繕ができました。

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修繕というより、こんな工夫がされている基板の様に見えませんでしょうか。

 

出力段修理

出力の半導体(FET)が壊れていることが分かり、いくつか取り外して、動作するようになりました。

その後、前回の余ったFETを取り付け、バランスを整えてみました。

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まだ、一部FETが装着できていませんが、電源の状態を確認してから、続きを行いたいと思います。

電源初期状態

さて、電源の状態を確認してみましょう。

このPunch 200の電源回路を、追ってみました。

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こんな感じでしょうか。(色々調べていった際に違いがあった場合は、アップデートします。)

入力電源ノイズ

見た限り、フィルタ等はなさそうですが、

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0.2V程度なので、フィルタが入っていないのも納得です。

二次側(電力用)

電解コンデンサが6個も入っていますので、さて、どうでしょうか。

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20mV程度なので優秀ですね。

 

二次側(電圧用)

同じ電圧で、同じところから取っていると思われますが、左右別々にコンデンサが装着されています。

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左右で大きさが違うようです。右側の方がリップルが大きそうです。

 

出力状態

肝心の出力のノイズをいつもの、微小出力時の状態で確認してみます。

-60dBで、アンプのゲインを約25dBにした状態です。

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少しノイズがあることが分かります。

 

拡大して様子をみてみると

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左右で大きさが違います。

電源のノイズ対策で、小さくしたいですね。

 

つづく

動作ができるようになりましたので、FETのマッチング作業を次回は行いたいと思います。新しいFETと交換するのに、少し特性等を確認してからになりそうです。

準備後、また、メンテナンスの様子をお届けしたいと思います。

 

前回のPunch250は下記よりご覧になれます。

RockFord punch 250m2 ③ ノイズ対策 + FET交換 - pp audio blog

 

RockFord punch 100a II メンテナンス 整備録 - pp audio blog

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RockFord punch 250m2 ③ ノイズ対策 + FET交換

ロックフォードのパワーアンプ・メンテナンスの3回目です。
色々ノイズ対策を施してきましたが、電圧のノイズによるOpAmpのノイズ伝搬のように見られる波形をみうけましたので、少し変わった対策を施したいと思います。
電源の基本メンテナンスが終わりましたが、さて、出力のノイズに改善効果はあらわれているでしょうか。さらなる改善余地はあるでしょうか。

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 はじめに

 アンプ回路の電圧増幅用の電圧を確認していると、どうも、ノイズ対策の効果があまりうまく伝搬されておらず、元のノイズが伝搬しているようにかんじてきました。

 

電圧増幅用の電源配線

配線パターンをチェックすると

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じつは、平滑用コンデンサは、低周波の対策だけであり、ノイズは、そのままアンプへ伝搬しているようです。

高調波の配線ルール

高調波ノイズを対策するには、必ず、パスコンは、最短ルートでGND等に戻して回路として、閉じてなくてはなりません。

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回路図のように配線すると、大事なアンプ回路へノイズを効果的に伝搬するのを防いでくれます。

ですが、完成した基板への処置は、なかなか難しいのですが、基板の配線を切ったりしなくても対策できる場合があります。

基板のパターンを切らずに対策?

今回の場合、ダイオードコンデンサが近傍にあるので、ダイオードから電圧をひきだし、コンデンサに接続後、元に戻してあげれば、よくなります。

 

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ダイオードの出力をサブ基板に接続、サブ基板上のコンデンサを経て元の基板のコンデンサへ戻してあげます。

そうすることで、高調波は、サブ基板内部でトランスへ戻ってゆきます。

サブ基板によるノイズ対策

部品取り外し

部品をまずはずします。

 

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レイアウト検討

小さな基板にジャンパ等をとりつけ、アンプに仮置します。

概ね、ディスクリート基板の部品ピッチは、2.54mmピッチなので汎用の蛇の目基板が使えます。

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サブ基板製作

サブ基板を個別に組み立てます。

小さな別の蛇の目基板を利用すると、ピッチ合わせができ、安定して制作できます。

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今回は、ダイオードをゲタの代わりにもちいました。

アンプ取り付け

サブ基板が組み上がり後、本体アンプへ取り付けます。

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その際、配線や、素子の向きは、二重チェックを必ず行います。

また、テスター等でショートの確認も行います。

効果確認

もともと、0.6V程度あったリップルですが

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対策後は、

 

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0.1V程度になりました。

また、この状態が、アンプ回路へ供給されることになるので、安心です。

出力波形効果

さて肝心の出力には、どの程度効果があったでしょうか。

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だいぶ良くなりました。少しまだノイズがありますが、実際25dBのアンプに接続して聞いた分には、実状上問題ないので、完了とします。

 

出力素子交換

アンプの状態を確認していたら、左右対称のはずの、BIAS用抵抗が片方ひとつついていないことが分かりました。

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素子にダメージがあり、過電流が流れた痕跡があります。Base(Gate)の制限抵抗も壊れていました。

出力の素子は、3つ並列なので、多少の動作確認では、正常に動いてしまいます。

BIAS測定

出力の素子(FET)は、3個ずつ(正極と負極)ついており、L/Rあるので、合計12個あります。

その素子は、バランスが取られている必要があり、ずれていると負荷が偏る傾向があります。

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                                       (単位mV)

12個測定したところ、結構ばらつきがあります。

FET交換

さて、新しい素子と古い素子の組み合わせは、問題が起こることがあるので、ブロックごとに一度に交換してみました。

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素子を交換するだけでバランスが取れたことが分かります。

これでひとまず、修理は完了になります。

 

つづく

ノイズ対策とFETの交換が完了したので、あとは、最終動作確認を行い、オーナーの方へ旅立つ予定です。

機会がありましたなら、その最終結果等をお届けしたいと思います。

 

 

 

 

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貴重 ナカミチ DAC-111 ③ デジタルノイズ対策編 まとめ

DAC-111のメンテナンスは、電源対策が順調で、確かに出力のノイズ低減も確認することができました。今回は、大きめのコンデンサを交換して完了する予定でしたが、デジタル回路の電源が結構リップルが大きいことが判明。
デジタル回路の電源を改めて見てみると、こだわりの工夫が見られました。さて、その工夫も合わせて説明してみたいと思います。

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 はじめに

DACは、デジタルのシリアル音声データを受信、復調し、D/Aを用いて、アナログに変換します。宿命とも言えるデジタル回路は、基準クロックを元に、周期的な動作を行っているので、そのクロックのタイミングでノイズが発生してしまいます。

デジタル回路部

改めて、デジタル回路部を覗いてみましょう。

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ヤマハのレシーバとNPCのオーバサンプリングICそれにロジックICで構成されています。

工夫されたデジタルIC電源

よく見ると一つ一つにコンデンサとコイルがついています。

簡単な回路にすると

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電源に小さめのLと電解コンデンサ+セラミックコンデンサを搭載しているこだわり様です。

デジタル回路の際には、IC一つずつにパスコンは習慣でつけていましたが、フィルタまではつけませんでした。

この方式であれば、電源への高調波ノイズが伝搬することを防ぐことができます。

脱帽です。

デジタル電源の状態

さて、そのデジタル回路の電源をチェックしてみたところ、気になる箇所が二箇所ほどありました。

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オーバサンプリングは、高周波数と低周波数の2つが確認できました。

 

ロジックIC電源

74HCU04というロジックICです。Uは、Un Bufferの意味だったと記憶しています。

出力のスルーレートがなめらかで、ノイズが出にくいのが特徴です。

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セラコンの組み合わせで、対策しました。

オーバーサンプリングIC対策

オーバーサンプリングICは、周期的な変動があります。この程度であれば電解コンデンサで十分対策できるはずです。

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OSコンを装着したところ、周期的なノイズは消えました。

また、高調波ノイズは、ICの電源パターンにチップセラコンが丁度装着できるようなPADが設けられていたので、大きめのセラコンできっちり抑えました。

ました。驚くことに、独立回路、DACのみならず、電源から出力のOpAmpまで独立という、こだわった設計でした。

カップリングコンデンサ

 最後にカップリングコンデンサですが、100uFと大きめのがついていました。
同じMuseのバイポーラタイプの電解コンデンサで、耐圧が25Vのと比較したところ、tanδがよかったので、そちらを採用しています。

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ちなみに並列についていた高域補正用の0.01uFのメタライズドも交換を検討したのですが、100kHz、10kHzでのtanδが0(測定誤差以下)でしたので、オリジナルでゆくことにしました。

 

まとめ

DACは、デジタル機器なので、デジタルの周期的なノイズはどうしても発生してしまいます。今回は、各デジタルICに工夫が施されていたので、気になる部分だけ対策することで、合理的かつ効果的な対策ができました。

仕上がり状態

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通常は、闇雲にコンデンサの交換はしないのですが、IC一つずつに電源コンデンサが設けられているので、たくさんのコンデンサの交換となりました。

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さて、どんな音をオーナー様の元で奏でてくれるか、楽しみです。

微小信号(最終)

最終的に微小信号の状態を確認しました。

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線が細くなっているのが分かります。

ちなみにPC DAC(低ノイズカスタム仕様)と比較してみると

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PC DACより少し良くなったのではないでしょうか。

 

TOPPING D10 MINI USB DAC CSS XMOS XU208 ES9018K2M OPA2134オーディオアンプ・デコーダ(黒色)

 

デジタルノイズの低減は、地味ですが、決して無駄では無いことが証明できたと思います。

 

 

 

今まで測定した、DACは下記よりご覧になれます。

希少 ナカミチ DAC-111 電源ノイズ対策編 - pp audio blog

DAC カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

カスタムナカミチアンプ


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貴重 ナカミチ DAC-111 ② 電源ノイズ対策編

前回は、貴重なナカミチ DAC-111の素顔を覗いていみました。今回は、少し気になる電源のノイズを対策してみましょう。さて、その効果は、出力に現れるでしょうか。

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 はじめに

前回は、その素顔を覗いてみました。驚くことに、独立回路、DACのみならず、電源から出力のOpAmpまで独立という、こだわった設計でした。

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電源ノイズ抑制

どうしても、カーオーディオには、入力がDCの為、スイッチング電源が必要で、そのスイッチングノイズが少なからず、生じてしまいます。

DACは、とても優秀で、かなり拡大して初めて確認できるノイズですが、まだ、改善できる余地はありそうです。

早速、いつもの、超低ESRの電解コン、高分子及びセラコンで対策してみたいと思います。

一次側対策

一次側の結果は、ご覧の通り

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ほとんどノイズが観測できないレベルになりました。

オリジナルと比較してみると

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歴然ですね。

電源の容量が小さいため、基本的なな対策で、効果てきめんです。

一次側の負荷の多い電解コンデンサ

      1000u+0.1u → 1500u+ 470u + 4.7uF 

の組み合わせで効果的に低減しています。

 

二次側

もともと良好でしたが、ほとんど観測できないレベルになりました。

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オリジナルと比較すると

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わずかにスイッチングしている箇所に小さなヒゲが見られる程度です。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、わずかにノイズが確認できる状態でした。

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パスコンを追加することで、簡単に測定限界にすることができました。

 

微小信号確認

さて、出力への効果はどの程度あるでしょうか

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ほんの僅かですが、効果が出力にもしっかり現れています。

 

 

つづく

ここまでの基板の状態ですが

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あまり変化が無いように見えます。

OpAmpは、ソケット化して、低歪板を装着しています。

 

出力ノイズの改善

じつは、出力は、少し工夫をすることで、更に改善しました。

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次回は、その他、DACの電源等の改善及び、カップリングコンデンサの変更を行い、最終的な確認を行っていみたいと思います。

 

今まで測定した、DACは下記よりご覧になれます。

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カスタムナカミチアンプ

 


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使用した測定器

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FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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希少 ナカミチ DAC-111 ① 素性調査編

貴重なナカミチ DAC-111にふれる機会に恵まれました。現代では、多機能のDSP付きのユニットに市場は奪われている嫌いがありますが、やはりシンプルな単機能のユニットには、確かな実力と、その能力を活かす楽しさがあります。

さて、このDAC-111は、どんな素性を見せてくれるのでしょうか。

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 はじめに

外観

外観は、アルミの引き物の重厚なボディにシャンパンゴールドの塗装、
中央には、エンブレムが光っています。

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大きさは、PA-202と同等程度でしょうか。重量は、1kg程度で、DACとしては、とても重量級です。

システム構成

ご承知の通り、DAC単体には、周辺機器が必要になります。デジタルのS\P DIF信号の出力を有するヘッドユニットから、デジタルデータをDACに送り込み、Lineレベルのアナログを出力します。その後、プリアンプとパワーアンプを経由し、スピーカから音楽を楽しむことができます。

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一般的なヘッドユニットには、DACを内蔵しているのが多いので、通常は、そのままパワーアンプに接続可能ですが、機能ごとにユニットを分けることで、自分の好きなシステムを構築、極めることができます。

内部基板

早速内部を見てみましょう。

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いまでは珍しい、ディスクリート部品で作られています。

 

基板の内部構成

基板をよくみてみると、

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  • monoアンプ構成
     左右を独立のDACとOpAmpで構成しています。
  • デュアル電源
     二次電源が、左右のDACそれぞれ、別電源になっています。
  • ディスクリートスイッチング電源
     パワーアンプと同一、基本回路の電源が搭載しています。
     小型パワーアンプと同等レベルの電源です。

左右独立DACは、びっくりしました。設計者の意気込みが感じられます。

基本特性

 出力レベルを確認し、微小レベルでノイズの状態をみてみます。

 その後周波数特性を簡単に見てみたいと思います。

出力レベル

1kHzの0dBの信号を再生してみました。

 

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出力レベルは1.5V程度です。通常1Vですので、3.5dB程度大きめになっています。

ちなみに、USBのD10(Topping)のレベルは、2V程度あります。

今は、ラインレベルは、5Vまで大きなヘッドユニットも数多く見受けられます。

この当時にしては、大きめなレベルにして、SN比を確保する思想だったのではないでしょうか。

微小信号

小さな信号の波形を確認します。この状態で、繊細な信号がきちんと再生できるかが見えてきます。

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かなり拡大していますが、僅かなノイズが確認できる程度です。

優秀ですね。

PC DACとの比較

いつも基準発振器として使っているD10(Topping)と比較してみました。

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DAC-111がわずかに波形が太くなっているように見えます。

じつは、D10も高調波対策を施してあります。DAC-111もこの程度を目標にしてみたいと思います。

周波数特性

歴史のあるDACですので、ハイレゾ帯域は、厳しいのですが、どうでしょうか。

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40kHzまで十分に再生可能であることが確認できました。

色々実験したところ、88.2kHzのサンプリングまで、対応できていました。

電源確認

いつもの電源の状態を確認します。冒頭でも触れましたが、モノアンプ構成ですが電源もそれぞれ独立している、こだわり仕様です。

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一次側と二次側の状態を確認します。

一次側

入力端子と一次側のコンデンサの状態を確認します。

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入力側は、フィルタの効果で、高調波の漏れは、わずかです。

さすがにスイッチングの近傍は、高調波が確認できますが、レベルは、とても低く優秀です。

二次側

二次側の状態はどうでしょうか。

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レベルが小さく、とても良好ですね。

OpAmp電源

いつも、当方がこだわっているOpAmpの電源状態も確認しました。

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わずかに確認できるレベルです。さすがです。

つづく

思いがけずDAC-111の素性を見ることができました。左右独立の回路には、びっくりです。また、出力のノイズも本当にごくわずかです。

今回、電源にほんの僅かなノイズを観測しました。次は、これらを、現代のマテリアルで極限までおさえてみたいと思います。

さて、高調波対策でピアニシモを引き立てることはできるでしょうか。お楽しみに。

 

電源のノイズ対策は

希少 ナカミチ DAC-111 電源ノイズ対策編

貴重 ナカミチ DAC-111 ③ デジタルノイズ対策編 まとめ

また、今まで測定した、DACは下記よりご覧になれます。

DAC カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

ヤフオク!

 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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ナカミチ PA-304S カスタム・高調波メンテナンス (2021 01 #2) 整備録

ナカミチのアンプで人気の高い4chのPA-304シリーズのPA-304Sが再び流れ着きました。保管されていたとのことですが、状態をまず確認してみましょう。

 

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 はじめに

 PA-304Sは、PA-304と基本スペックは同じですが、進化しています。

詳しくは前回のPA-304Sのメンテナンスをご参照ください。

ナカミチ PA-304S カスタム・高調波メンテナンス (2021 01 #1) 整備録 その1 - pp audio blog

基板状態

底板を外すと、基板が確認できます。

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このPA-304Sも、とても綺麗です。液漏の気配はありません。すごく良い状態です。

 

基板を取り外して確認してみます。  

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とても良好です。OpAmpの電源回路の焼けが少しありますが、とても良好です。

カスタマイズ

状態が良いので、基本波形を測定して、一気にカスタマイズします。

  • 電源強化
  • 高調波対策
  • OpAmp電源強化
  • ゲイン補正

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あくまでも、製品に使える仕様でカスタマイズしました。

電源状態確認 

電源状態の確認は、入力の状態と、アンプへの電源を確認します。

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入力ノイズ改善

一気に、カスタマイズします。

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きっちり修繕。

一次側

一次側は、状態が悪いと数Vまでピークノイズがありますが

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安定した改善になりました。

二次側(電力用)

さて電力用は、チョークコイルが挿入しているので、良好です。

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かなり良くなっています。アンプ基板に装着した、コンデンサの効果もあります。 

これは、末端のコンデンサは、ノイズの反射も防いでいますので重要です。

二次側(電圧用)

一方、電圧用は、後段にトランジスタで安定化しているので、スパイクノイズが大きめですが、今回は波形が少し違っていました。

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カスタム後は、通常の波形になりました。

 

微小信号

微小信号の波形で、出力へのノイズの漏れを確認します。

PA-304はチャネルごとで多少違いがありますが、かなりシビアな測定ですので、致し方ないところでしょう。

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多少高調波が確認できます。

高調波対策及び、GNDの抵抗等にて改善します。

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かなり良くなります。
 

まとめ

何度もメンテナンスしているPA-304シリーズのカスタムでしたので、イメージした性能を実現することができました。

今回はOpAmpや、カップリングを交換していません。それは、オリジナルの音を最大限、覚醒させるためです。さらなるカスタムは、真のオリジナルの音を楽しんだ後にまた、楽しめます。

 

ナカミチ PA-304S カスタム・高調波メンテナンス (2021 01 #1) 整備録 その2 - pp audio blog

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

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