ロックフォードのパワーアンプ・メンテナンスの3回目です。
色々ノイズ対策を施してきましたが、電圧のノイズによるOpAmpのノイズ伝搬のように見られる波形をみうけましたので、少し変わった対策を施したいと思います。
電源の基本メンテナンスが終わりましたが、さて、出力のノイズに改善効果はあらわれているでしょうか。さらなる改善余地はあるでしょうか。
はじめに
アンプ回路の電圧増幅用の電圧を確認していると、どうも、ノイズ対策の効果があまりうまく伝搬されておらず、元のノイズが伝搬しているようにかんじてきました。
電圧増幅用の電源配線
配線パターンをチェックすると
じつは、平滑用コンデンサは、低周波の対策だけであり、ノイズは、そのままアンプへ伝搬しているようです。
高調波の配線ルール
高調波ノイズを対策するには、必ず、パスコンは、最短ルートでGND等に戻して回路として、閉じてなくてはなりません。
回路図のように配線すると、大事なアンプ回路へノイズを効果的に伝搬するのを防いでくれます。
ですが、完成した基板への処置は、なかなか難しいのですが、基板の配線を切ったりしなくても対策できる場合があります。
基板のパターンを切らずに対策?
今回の場合、ダイオードとコンデンサが近傍にあるので、ダイオードから電圧をひきだし、コンデンサに接続後、元に戻してあげれば、よくなります。
ダイオードの出力をサブ基板に接続、サブ基板上のコンデンサを経て元の基板のコンデンサへ戻してあげます。
そうすることで、高調波は、サブ基板内部でトランスへ戻ってゆきます。
サブ基板によるノイズ対策
部品取り外し
部品をまずはずします。
レイアウト検討
小さな基板にジャンパ等をとりつけ、アンプに仮置します。
概ね、ディスクリート基板の部品ピッチは、2.54mmピッチなので汎用の蛇の目基板が使えます。
サブ基板製作
サブ基板を個別に組み立てます。
小さな別の蛇の目基板を利用すると、ピッチ合わせができ、安定して制作できます。
今回は、ダイオードをゲタの代わりにもちいました。
アンプ取り付け
サブ基板が組み上がり後、本体アンプへ取り付けます。
その際、配線や、素子の向きは、二重チェックを必ず行います。
また、テスター等でショートの確認も行います。
効果確認
もともと、0.6V程度あったリップルですが
対策後は、
0.1V程度になりました。
また、この状態が、アンプ回路へ供給されることになるので、安心です。
出力波形効果
さて肝心の出力には、どの程度効果があったでしょうか。
だいぶ良くなりました。少しまだノイズがありますが、実際25dBのアンプに接続して聞いた分には、実状上問題ないので、完了とします。
出力素子交換
アンプの状態を確認していたら、左右対称のはずの、BIAS用抵抗が片方ひとつついていないことが分かりました。
素子にダメージがあり、過電流が流れた痕跡があります。Base(Gate)の制限抵抗も壊れていました。
出力の素子は、3つ並列なので、多少の動作確認では、正常に動いてしまいます。
BIAS測定
出力の素子(FET)は、3個ずつ(正極と負極)ついており、L/Rあるので、合計12個あります。
その素子は、バランスが取られている必要があり、ずれていると負荷が偏る傾向があります。
(単位mV)
12個測定したところ、結構ばらつきがあります。
FET交換
さて、新しい素子と古い素子の組み合わせは、問題が起こることがあるので、ブロックごとに一度に交換してみました。
素子を交換するだけでバランスが取れたことが分かります。
これでひとまず、修理は完了になります。
つづく
ノイズ対策とFETの交換が完了したので、あとは、最終動作確認を行い、オーナーの方へ旅立つ予定です。
機会がありましたなら、その最終結果等をお届けしたいと思います。
RockFord punch 100a II メンテナンス 整備録 - pp audio blog
ご希望の方は
当方のブログを見ていただいた方で、同様のアンプを聞いてみた方、オークションで、カスタムしたアンプを出品していることがございます。数はとても少ないので、幸運にも遭遇された場合は、ご検討お願いします。
もちろん、メンテナンスのご依頼もお待ちしております。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。