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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

希少 ナカミチ DAC-111 ① 素性調査編

貴重なナカミチ DAC-111にふれる機会に恵まれました。現代では、多機能のDSP付きのユニットに市場は奪われている嫌いがありますが、やはりシンプルな単機能のユニットには、確かな実力と、その能力を活かす楽しさがあります。

さて、このDAC-111は、どんな素性を見せてくれるのでしょうか。

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 はじめに

外観

外観は、アルミの引き物の重厚なボディにシャンパンゴールドの塗装、
中央には、エンブレムが光っています。

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大きさは、PA-202と同等程度でしょうか。重量は、1kg程度で、DACとしては、とても重量級です。

システム構成

ご承知の通り、DAC単体には、周辺機器が必要になります。デジタルのS\P DIF信号の出力を有するヘッドユニットから、デジタルデータをDACに送り込み、Lineレベルのアナログを出力します。その後、プリアンプとパワーアンプを経由し、スピーカから音楽を楽しむことができます。

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一般的なヘッドユニットには、DACを内蔵しているのが多いので、通常は、そのままパワーアンプに接続可能ですが、機能ごとにユニットを分けることで、自分の好きなシステムを構築、極めることができます。

内部基板

早速内部を見てみましょう。

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いまでは珍しい、ディスクリート部品で作られています。

 

基板の内部構成

基板をよくみてみると、

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  • monoアンプ構成
     左右を独立のDACとOpAmpで構成しています。
  • デュアル電源
     二次電源が、左右のDACそれぞれ、別電源になっています。
  • ディスクリートスイッチング電源
     パワーアンプと同一、基本回路の電源が搭載しています。
     小型パワーアンプと同等レベルの電源です。

左右独立DACは、びっくりしました。設計者の意気込みが感じられます。

基本特性

 出力レベルを確認し、微小レベルでノイズの状態をみてみます。

 その後周波数特性を簡単に見てみたいと思います。

出力レベル

1kHzの0dBの信号を再生してみました。

 

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出力レベルは1.5V程度です。通常1Vですので、3.5dB程度大きめになっています。

ちなみに、USBのD10(Topping)のレベルは、2V程度あります。

今は、ラインレベルは、5Vまで大きなヘッドユニットも数多く見受けられます。

この当時にしては、大きめなレベルにして、SN比を確保する思想だったのではないでしょうか。

微小信号

小さな信号の波形を確認します。この状態で、繊細な信号がきちんと再生できるかが見えてきます。

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かなり拡大していますが、僅かなノイズが確認できる程度です。

優秀ですね。

PC DACとの比較

いつも基準発振器として使っているD10(Topping)と比較してみました。

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DAC-111がわずかに波形が太くなっているように見えます。

じつは、D10も高調波対策を施してあります。DAC-111もこの程度を目標にしてみたいと思います。

周波数特性

歴史のあるDACですので、ハイレゾ帯域は、厳しいのですが、どうでしょうか。

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40kHzまで十分に再生可能であることが確認できました。

色々実験したところ、88.2kHzのサンプリングまで、対応できていました。

電源確認

いつもの電源の状態を確認します。冒頭でも触れましたが、モノアンプ構成ですが電源もそれぞれ独立している、こだわり仕様です。

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一次側と二次側の状態を確認します。

一次側

入力端子と一次側のコンデンサの状態を確認します。

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入力側は、フィルタの効果で、高調波の漏れは、わずかです。

さすがにスイッチングの近傍は、高調波が確認できますが、レベルは、とても低く優秀です。

二次側

二次側の状態はどうでしょうか。

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レベルが小さく、とても良好ですね。

OpAmp電源

いつも、当方がこだわっているOpAmpの電源状態も確認しました。

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わずかに確認できるレベルです。さすがです。

つづく

思いがけずDAC-111の素性を見ることができました。左右独立の回路には、びっくりです。また、出力のノイズも本当にごくわずかです。

今回、電源にほんの僅かなノイズを観測しました。次は、これらを、現代のマテリアルで極限までおさえてみたいと思います。

さて、高調波対策でピアニシモを引き立てることはできるでしょうか。お楽しみに。

 

電源のノイズ対策は

希少 ナカミチ DAC-111 電源ノイズ対策編

貴重 ナカミチ DAC-111 ③ デジタルノイズ対策編 まとめ

また、今まで測定した、DACは下記よりご覧になれます。

DAC カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

ヤフオク!

 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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