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RockFord punch 200x ② FET選別 高調波対策

さて、前回動作復帰したRockfordの200xなのですが、FETのバランスをあわせたほうが良いのが分かってきました。今回は、FETの選定でバランス改善を行ってみたいと思います。うまくゆけば、引き続き、いつもの高調波対策を施してみたいと思います。

思惑通りに行くでしょうか。

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 はじめに

RockfordのアンプのPunchシリーズの出力段の半導体、FETは、3つずつ並列に使われ、正負極、L/Rで12個使われています。FETを含む半導体は、経年変化で特性が変化し、バランスがずれてきてしまいます。 

出力半導体(FET)の選定

このアンプは、そのため、一部のFETに電力が集中してしまい、FETが短絡し、故障した可能性があります。

単に、壊れたFETだけを交換しても、バランスがずれているので、一箇所に電力が集中し、すぐに壊れてしまう可能性があります。
スイッチング電圧特性等を調べて、極力同じ特性のFETを使用することが必要となります。

 治具JIG)を作って、FETを選定してみました。

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  • ゲート電圧を徐々に上げ、電流を観測します。
  • ある電流になった(2.5mA)ゲート電圧を記録
  • PchとNchは、それぞれ別の治具で観測

新規購入のFETと、アンプについていたFETも外し、測定してみました。

 

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やはり、アンプについているFETは、特性にばらつきがあり、このまま使用できなさそうです。

新規購入のFETもばらつきは少ないですが、それでも、なるべく近い値を選んで実装してみました。

 

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BIAS調整も行った結果、全て同じ値にすることができました。

また、BIASの電流制限用抵抗は0.1オームですが、少しの差でも測定に誤差がでるので、これも一部交換してひとまず完了です。

電源改善

さて、いつもの電源の高調波対策を、行ってみます。

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入力ノイズ

オリジナルは、470uF x3ですが、

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OSコンとセラコンで良好になりました。

 

二次(電力用)

大きな3300uF/50Vが6個ついています。

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これも年季が入っていますので、交換。一部低ESRを採用。

3300uF x6 ー> 3300u x4+1000u x2

最終的にセラコンを追加して、落ち着きました。

 

オリジナルと最終を比較すると

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ピークが抑えられ、変動の実行値も小さくなっています。

二次(電圧用)

電圧用は、良好のノイズレベルですが、念の為、改善します。

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これは、OSコンの効果がはっきり確認できました。

出力ノイズ効果確認

さて、本当に出力段へのノイズ効果は、現れているでしょうか。

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Lchは、改善していますが、Rchは、かえってスパイクが大きくなっています。

 

OpAmp電源

気を取り直して、OpAmpの電源を確認してみるこに。

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少し大きめのリップルが観測されました。

 

いつものようにパスコンを追加してみます。

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 効果はを確認してみると

f:id:MatsubaraHarry:20210215015204j:plainきちんと対策できました。低周波数が少し残りましたが、この程度であれば、出力へは、影響出ないと思います。

コンパレータ電源

もう少し調べると、コンパレータも装着されていました。これもレベルが結構大きかったので、合わせて対策することに。

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最優確認

出力ノイズが減少しているか、確認してみます。

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かなり小さくすることができました。ノイズの主要因は、OpAmpの電源ノイズだったことがわかりました。

微小電圧確認

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よかったです。かなり改善することができました。

まとめ

メイン電源の高調波対策だけでは、出力のノイズ低減は、わずかでしたが、OpAmpの電源対策にて大きな効果を得ることができました。

周波数特性

このPunch 200xには、BassとTribleのボリュームがついています。まずは、MINにしてフラットな特性を観測してみました。

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少し縦軸が細かいのですが、20から20kHzにおいて、-1dBの特性です。100kHzまでしっかり伸びています。

 

トーンコントロール特性

意外と、このトーンコントロールの特性は、重要です。

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Bassはなんと+20dBもブーストします。それも40Hzをスポットでお仕上げます。

小型のスピーカでも、パワーが入るタイプならば、低域を補強することができそうです。とても使いやすそうです。

 

今まで、修理は、下記よりご覧になれます。

 

RockFord punch 200x ① 修繕 - pp audio blog

 

ほかのRockFordのメンテナンスは

 

 

RockFord punch 250m2 ③ ノイズ対策 + FET交換 - pp audio blog

 

RockFord punch 100a II メンテナンス 整備録 - pp audio blog

 

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廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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