DAC-111のメンテナンスは、電源対策が順調で、確かに出力のノイズ低減も確認することができました。今回は、大きめのコンデンサを交換して完了する予定でしたが、デジタル回路の電源が結構リップルが大きいことが判明。
デジタル回路の電源を改めて見てみると、こだわりの工夫が見られました。さて、その工夫も合わせて説明してみたいと思います。
はじめに
DACは、デジタルのシリアル音声データを受信、復調し、D/Aを用いて、アナログに変換します。宿命とも言えるデジタル回路は、基準クロックを元に、周期的な動作を行っているので、そのクロックのタイミングでノイズが発生してしまいます。
デジタル回路部
改めて、デジタル回路部を覗いてみましょう。
ヤマハのレシーバとNPCのオーバサンプリングICそれにロジックICで構成されています。
工夫されたデジタルIC電源
よく見ると一つ一つにコンデンサとコイルがついています。
簡単な回路にすると
電源に小さめのLと電解コンデンサ+セラミックコンデンサを搭載しているこだわり様です。
デジタル回路の際には、IC一つずつにパスコンは習慣でつけていましたが、フィルタまではつけませんでした。
この方式であれば、電源への高調波ノイズが伝搬することを防ぐことができます。
脱帽です。
デジタル電源の状態
さて、そのデジタル回路の電源をチェックしてみたところ、気になる箇所が二箇所ほどありました。
オーバサンプリングは、高周波数と低周波数の2つが確認できました。
ロジックIC電源
74HCU04というロジックICです。Uは、Un Bufferの意味だったと記憶しています。
出力のスルーレートがなめらかで、ノイズが出にくいのが特徴です。
セラコンの組み合わせで、対策しました。
オーバーサンプリングIC対策
オーバーサンプリングICは、周期的な変動があります。この程度であれば電解コンデンサで十分対策できるはずです。
OSコンを装着したところ、周期的なノイズは消えました。
また、高調波ノイズは、ICの電源パターンにチップセラコンが丁度装着できるようなPADが設けられていたので、大きめのセラコンできっちり抑えました。
ました。驚くことに、独立回路、DACのみならず、電源から出力のOpAmpまで独立という、こだわった設計でした。
カップリングコンデンサ
最後にカップリングコンデンサですが、100uFと大きめのがついていました。
同じMuseのバイポーラタイプの電解コンデンサで、耐圧が25Vのと比較したところ、tanδがよかったので、そちらを採用しています。
ちなみに並列についていた高域補正用の0.01uFのメタライズドも交換を検討したのですが、100kHz、10kHzでのtanδが0(測定誤差以下)でしたので、オリジナルでゆくことにしました。
まとめ
DACは、デジタル機器なので、デジタルの周期的なノイズはどうしても発生してしまいます。今回は、各デジタルICに工夫が施されていたので、気になる部分だけ対策することで、合理的かつ効果的な対策ができました。
仕上がり状態
通常は、闇雲にコンデンサの交換はしないのですが、IC一つずつに電源コンデンサが設けられているので、たくさんのコンデンサの交換となりました。
- 電源対策
OSコンとセラコンの組み合わせ。
二次側には、フィルムコンデンサを採用 - ロジックIC電源
OSコンとチップセラコン
パスコンは、セラコンからメタライズドフィルムに交換 - DAC電源
電源にはOSコン+フィルムコンデンサを - OpAmp電源
東信の電解コンデンサ+フィルムコンデンサ - カップリング
バイポーラの電解コンデンサを採用 - OpAmp
超低歪のOPA1612を採用。
さて、どんな音をオーナー様の元で奏でてくれるか、楽しみです。
微小信号(最終)
最終的に微小信号の状態を確認しました。
線が細くなっているのが分かります。
ちなみにPC DAC(低ノイズカスタム仕様)と比較してみると
PC DACより少し良くなったのではないでしょうか。
TOPPING D10 MINI USB DAC CSS XMOS XU208 ES9018K2M OPA2134オーディオアンプ・デコーダ(黒色)
デジタルノイズの低減は、地味ですが、決して無駄では無いことが証明できたと思います。
今まで測定した、DACは下記よりご覧になれます。
希少 ナカミチ DAC-111 電源ノイズ対策編 - pp audio blog
DAC カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。