今度は、ロックフォード 200x パワーアンプのメンテナンスになります。
このアンプは、出力が出ない状態で、確認したところ、出力の半導体(FET)が壊れていることがわかりました。
前回の250と同じFETですので、その時余ったFETで交換して、まずは動作状態にしてみます。
はじめに
RockfordのアンプのPunchシリーズは、100、250そして、今回の200の3種類目になります。さてこのアンプは、どんな素性を持っているのでしょうか。
外観
250と同じ様な強靭なアルミの鋳物の筐体です。
外見は250と同じようなのですが
機能は、至ってシンプルです。
使いやすそうですね。
基板状態
電源用の電解コンデンサが6個もついています。
すでに出力半導体(FET)が壊れているものは、取り外し、怪しいのは、抵抗を取り外しています。
ハンダ面状態
ハンダ面も確認してみます。
一度、出力FETが壊れたため、配線に過電流が流れ、損傷してしまったようです。
オーナーの方の苦労の痕跡があります。
パターン修正
カーオーディオは、電圧が低いので、回路が破損すると、過電流が流れパターンが焼け落ちてしまうことがあります。
電源パターンなので、結構太いのですが、車の電源は、電圧こそ低いのですが、大きな電流が流せるので、今回の様にパターンが焼け落ちてしまうことがあります。
損傷部事前準備
まずは、一旦リワークを取り外して、状態を確認してみます。
一旦洗浄後、使えるパターンだけ残して、整えました。
レジスト剥離
電流が大きいので、パターンのレジストを剥がして、接触面積を大きく取る必要があります。
スルホールだけではなく、周りの銅箔にハンダが付くように、レジストを丁寧に剥がします。これにより、接続面積が広くなり、接触抵抗を下げることができます。
銅板加工
当方が、パターンの補修や、電源の強化に使うのは、0.3mmの薄めの銅板です。
通常の基板のパターン厚は、0.05mm(50μ)や厚めで0,1mmですが、その6倍です。
少し、厚めの方が加工しやすい、メリットがあります。
これを、つなぐパターンの形状に切り取ります。
カッターで数回切り込みを入れて、ペンチで屈曲すると
きれいにカッターの切り込み部分で切り取ることができます。
あとは、エッジのバリをヤスリで丁寧に削り、外見を整えます。
パターン仮付
耐熱テープ(カプトン)で位置を固定して、はんだ付けします。
このカプトンテープは、ハンダの不要な広がりを防いで、ハンダがきれいに仕上がります。
絶縁保護
銅箔にレジストするのもよいのですが、今回は、カプトンで保護しました。
きれいに修繕ができました。
修繕というより、こんな工夫がされている基板の様に見えませんでしょうか。
出力段修理
出力の半導体(FET)が壊れていることが分かり、いくつか取り外して、動作するようになりました。
その後、前回の余ったFETを取り付け、バランスを整えてみました。
まだ、一部FETが装着できていませんが、電源の状態を確認してから、続きを行いたいと思います。
電源初期状態
さて、電源の状態を確認してみましょう。
このPunch 200の電源回路を、追ってみました。
こんな感じでしょうか。(色々調べていった際に違いがあった場合は、アップデートします。)
入力電源ノイズ
見た限り、フィルタ等はなさそうですが、
0.2V程度なので、フィルタが入っていないのも納得です。
二次側(電力用)
電解コンデンサが6個も入っていますので、さて、どうでしょうか。
20mV程度なので優秀ですね。
二次側(電圧用)
同じ電圧で、同じところから取っていると思われますが、左右別々にコンデンサが装着されています。
左右で大きさが違うようです。右側の方がリップルが大きそうです。
出力状態
肝心の出力のノイズをいつもの、微小出力時の状態で確認してみます。
-60dBで、アンプのゲインを約25dBにした状態です。
少しノイズがあることが分かります。
拡大して様子をみてみると
左右で大きさが違います。
電源のノイズ対策で、小さくしたいですね。
つづく
動作ができるようになりましたので、FETのマッチング作業を次回は行いたいと思います。新しいFETと交換するのに、少し特性等を確認してからになりそうです。
準備後、また、メンテナンスの様子をお届けしたいと思います。
前回のPunch250は下記よりご覧になれます。
RockFord punch 250m2 ③ ノイズ対策 + FET交換 - pp audio blog
RockFord punch 100a II メンテナンス 整備録 - pp audio blog
同様のメンテナンスご希望の方は
当方のブログを見ていただいた方で、同様のアンプを聞いてみた方、オークションで、カスタムしたアンプを出品していることがございます。数はとても少ないので、幸運にも遭遇された場合は、ご検討お願いします。
もちろん、メンテナンスのご依頼もお待ちしております。
またSNS等から、ご連絡も可能です。
FBのオーディオ測定マニア”グループにご参加いただければ、ご相談受付可能です。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。