ホームオーディオのアンプでファンの多いSANSUIのカーアンプが流れ着きました。
リモート信号と関係なく電源が入ってしまい、かつ、ものすごいノイズが生じるとのことでした。
早速状態をしらべて、メンテナンスしてみたいと思います。
はじめに
シンプルな2chアンプ 30AのFuseから想像すると、80Wx2程度でしょうか。
BTL出力タイプのアンプです。
外観
外観は、このSMシリーズ共通の美しい曲線のフォルム
高放熱効率なのに、高さを感じさせない構造です。
背面は、耐ノイズ性を考慮した、銅メッキタイプ。
内部は、ボディサイズギリギリの基板サイズです。
状態
基板をよくみてみると、コンデンサの液漏れと思われる腐食の修繕のあとが見られます。
早速修理をはじめます。
メンテナンス
腐食は、一度部品を取り外し、半田を除去します。
還元剤を用いて、銅箔をきれいにします。
部品を取り付けた後、レジストを塗布します。
電源構成
SM-A1は、電源回路が2つ装着されていました。
それぞれの電源の一次側のコンデンサが傷んでおります。
電力用一次電解コンデンサ
電圧用二次
電圧用の一次は、既に交換されていましたが、電解液の処理が不十分でしたので、交換。
また、二次側(右側)や、電源制御用のコンデンサ(左側)にも液漏れがみられましたので、交換です。
GNDライン溶断
それでも、リモート制御が不安定で、かつ、RCAのGNDに触ると出力に大きなノイズが出力されます。どうもGNDが怪しそうで、調べてみました。
よく確認してみるとRCAのGNDの先の配膳が、溶断しています。
おそらく、電源のGNDが接触不良を起こして、RCAのGNDに電源電流が流れたと考えると、合理性があります。
BTLバランス調整
左側のBTLバランス調整のVRが接触不良しており、うまく調整できませんでした。
これも交換です。
動作確認
液漏れと、RCA GNDの溶断、そして、バランス制御用VR交換して、きちんと動作するようになりましたので、ようやく、基本特性を測定できます。
電力用電源(一次側)
一次側には、フィルタが装着されており
一次側の0.2Vほどのリップルが、入力には20mV程度までおさえてあります。
電力用電源(二次側)
二次側は、+/-電力でGNDは、電位を合わせるだけの回路になっています。
数mVのリップルでとても良好です。
電圧用電源(一次側)
電圧用電源は、+/-50V、レギュレタで+/-26Vを出力しています。
一次側は、電力が小さいため、電力用より良好です。問題ないレベルです。
出力状態
高調波抑制のカスタムなしですが
多少高調波は見られますが、大きなノイズが発生する状態ではなさそうです。
周波数特性
周波数特性はカップリングが無いため10Hzまで伸び切っており、
高域も20kHzまできれいに、とても良い特性です。
仕上げ
最後にクリーニングします。
トップの部分もはずして、洗浄
四半世紀の汚れをスッキリさせて、オーナーの元へ。
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このアンプは内部にシルミック電解コンデンサをふんだんにつかっている、こだわりの設計。BTL回路に合わせた電源構成にも、こだわりがみられます。
実際の音も、長く聞いていられるゆったりした音です。がんがん鳴らすというより、クラッシクや、アコスティックをゆったりしっとり鳴らすのにピッタリです。
ナカミチのアンプに似ている音です。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。