状態の確認を行ったPA-304Sのカスタマイズ編になります。
どこまで、ナカミチ PA-304Sの実力を発揮できるでしょうか。
カスタマイズ
メンテナンス後にカスタマイズに進みます。
カスタマイズは、高調波対策を中心に、ナカミチの魂を継承つつ、安定性、耐久性を重視し、行います。
- 高調波カスタマイズ
セラコン等を用い、高調波を抑制します。 - OpAmp電源改善
OpAmpの電源は、熱容量に改善の余地があります。
1)電源用のトランジスタの容量アップ
2)電源降下の抵抗値の容量アップ
3)ツェナーダイオードの容量アップ、電圧変更 - カップリングコンデンサ変更
電解コンデンサ+フィルムを 高分子フィルムコンデンサ単一に変更
これにより、シンプルになり低歪化を実現 - OpAmp OPA1652
オペアンプは、定電流かつ低歪のOPA11652を採用。
決して派手ではありません。この実力を体感できるのは、手にされたオーナ様だけの特権です。
電源特性
毎回の記載を了承ねがいます。
スイッチング電源ですので、出力の電源(二次側)のノイズも重要ですが、入力へのノイズ放射も抑えなくてはなりません。(端子間ノイズと言います)
入力側
入力側は、少しリップルが確認できました。
高調波対策で、きっちり抑えることができました。
一次側
一次側は、どうしても大きめになります。
0.2V程度に抑えることができました。
この効果が、入力へのノイズ伝搬を最少にすることができます。
二次側(電力用)
電力用の電源は、もともと良好ですが、少し抑えてみます。
パラメータの適正値がだいぶ収束してきました。
二次側(電圧用)
電圧は、少しスパイクが大きいですが、後段に安定化回路があります。
安定化電源は、高調波を伝搬しやすいので、スパイクを抑えています。
OpAmp電源
いつもの通り、パスコンで簡単に抑えます。
OpAmpの電源の電流、放熱の改善も行っていますので、安心です。
微小信号
あまり他では目にすることはありませんが、小さな信号の再生能力です。
単にSN比率は、最大出力とノイズの比率ですが、どこまで小さな信号を再生できるかも重要なファクターと考えています。
特に能率の高いスピーカと接続したときの、静寂であるのにノイズが聞こえてしまうのは避けたいですから。
当初の半分以下にすることができました。
SN比率が6dB向上したことになります。
f特
最後に周波数特性も確認しておきます。
リファレンスに使えるような、特性です。
過剰な変更を加えず、ナカミチの魂を継承できたと。
まとめ
内部の最終状態です。こんな製品のアンプがあっても良さそうに見える状態ではないでしょうか。
特にOpAmpの電源は、これ以上発熱による基板の変色が進まないようにしています。
最後に、外観も、洗浄を行い、綺麗に整えました。
小さなキズは、ありますが、30年前のアンプと思えない状態ではないでしょうか。
実力も完璧です。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。