ナカミチのカーオーディオパワーアンプ(モバイルアンプ)を数多くカスタムメンテナンスしてきましたが、ナカミチのアンプのシリーズや系統、特色などの資料が用意できておりませんでした。
年の瀬になりましたので、少しまとめてみました。
外観
カーオーディオのナカミチファンならば、すぐにモデル名が言い当てられると思います。
アンプ系列
ナカミチモバイルアンプ(JP)の系列は、当方が把握しているものとして
を挙げられるのではないでしょうか。
その中で、オーソドックスな、黒アンプ、銀アンプ(当方の呼び方です)、100PAを紹介します。
仕様比較表
各モデルを簡単なスペック一覧表としてまとめてみました。
黒アンプー>銀アンプー>100PAとの年代順になりますでしょうか。
時代とともに、大型になる傾向にあります。
各アンプの特徴
当方で分かる範囲なのですが、メンテナンスやヒヤリングを行った、各アンプの特徴を綴ってみたいと思います。
黒アンプ
ナカミチがモバイルアンプとしての起源のモデルと考えています。
仕様からその意気込みが感じられます。小型で扱いやすく、かつDCアンプによる素直な音が特徴です。LowCutフィルタ入力を備えたモデルも有しています。
いまだに多くのファンに慕われているシリーズです。
使い方では、30年動作している個体もあります。(しかしながら、メンテナンスはおすすめしております。)
銀アンプ
PA-202,301,302,そして304のモデル番号を持つ、黒アンプを少し大きくしたシリーズです。(銀アンプと当方で呼んでおります。)回路が少し変わって来ておりOpAmpを採用し、DCアンプではなくなりました。ボディを一回り大きくすることで放熱効果を上げ、最大出力を従来のシリーズから、アップしています。
かなりのヒットモデルであることが、オークションの出品数の多さでも、伺うことができます。
弱点としては、コンデンサの液漏れが生じやすく、現在入手できるこのシリーズは、メンテがどうしても必要になります。
100PA
バブル時代でしょうか、かなりの価格帯での発売になっておりました。
ボディはさらに一回り大きく、出力容量も1割ほどアップを実現しています。
アンプ回路も、ディスクリート構成になり、より音楽を楽しめるアンプに仕上がっています。スペックに現れない何かが潜んでいるアンプで、4chならば、このアンプを選んでしまいます。
黒アンプ(PA-300シリーズ)
ナカミチがカーオーディオに参入し、初めてのアンプになると思います。内部回路は、オペアンプを介さないストレートDCアンプになり、その音は今でも多くのファンをひきつけています。
スペックも、後継機種より出力はほんの少し控え気味ですが、その低歪とDCまで伸びた周波数特性には、驚かされます。
電源は、その当時、一般的に使われ始めたDC/DCを搭載し、カーオーディオの宿命である、低い供給電圧から、高出力を引き出しています。
後継機のPA-30xよりも、電源の問題は少ない傾向にあります。
PA-300 vs PA-350
人気なのは、PA-300IIでしょうか。
一見すると区別がつきにくいですが、スピーカ出力端子台が2つになっているのでわかります。
内部のレイアウトは
電源基板+ アンプ基板 x2
の3枚構成で似ています。電源基板ば微妙にLayoutが違っています。
PA-300には、LouCut入力が備わっており、スーパーウーファとの組み合わせが簡単にできるようになっています。
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PA-200
その中でも小型で扱いやすいPA-200があります。
一枚基板構成になっています。
容量が小さいので、MID/Highにうまく使うと驚くような音を生み出してくれます。
中古を探す、注意点としては端子台が壊れやすいところです。電源側の破損品は、見送ったほうが良いでしょう。
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銀アンプシリーズ
次の世代で、外観が一回り大きくなり、容量もアップして、ナカミチの代表するカーアンプになっています。
オークションで常に出品されています。
ボディは、アルミの押出成形で、同じ金型で作られていますね。
PA-202は、190x190の正方形のサイズになります。
PA-302 / PA-304
外形サイズが同じPA-302とPA-304を比較してみましょう。
入出力端子がダブルになっている違いがあります。
内部を比較すると違いがよくわかります。
電源基板は、ほぼい同じで(電圧は違います)アンプ基板が2chと4chの違いによる差があります。
PA-302は、アンプ基板に大型の電解コンデンサが4つ装備されていて、そのパワーの余裕の源となっています。
基板と基板の間にシールド板が装備され、ノイズに対する配慮が伺えます。
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PA-202
これも小型ながら 40Wx2を絞り出す、使いやすいシリーズです。
中の構成も一枚基板でシンプルです。
アンプ回路よりも、電源の面積が大きいことがわかりますね。
電源回路も安定しており、
この銀アンプシリーズは、どうしてもコンデンサの液漏れの洗礼受けてしまいます。
早めにメンテナンスして、現代のコンデンサに置き換えることで、末永く使えるようになります。
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100PA
最後のJapan ナカミチのカーアンプなのでしょうか。そのアルミのボディの重量には、驚かされます。
スペックは、歪等のスペックは、PA-304から一桁後退しているのですが、そんなことは感じさせない音、SN比です。
- OpAmpレスのディスクリートアンプ
- 音質にこだわったガラエポ両面基板
- FETスイッチングの電源
- 高重量のアルミボディ
- 防振構造
- 50W x4の高出力
これはPA-304に比べ1kgもアルミを厚く、大きくしています。
また、取付ブラケットをゴムで振動アイソレーションし、車からの振動による影響を低減させています。
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PA100 vs PA-304
同じ4chと比較してみます。
横幅が約5cmほど広がっています。
実は、内部の基板サイズ、構成は同等です。
ですが、産業機器で使われるガラエポの両面基板を採用し、高信頼性を担保しています。
PA-304に時折見られる、発熱素子のダメージは、見受けられません。
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PA-304 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
Sモデル
銀アンプの中には、PA-302S、304S、202Sシリーズがあります。この違いは、使用部品にハイグレード品を使っているのですが、PA-304Sだけは、電源回路が違います。
202や302は、フィルムコンデンサを多様しているのですが、PA-304は電源回路が違う特徴があります。
当方も当初、勘違いしていました。
まとめ
いかがだったでしょうか。時系列で派生ルーツを記載してみたいのですが、資料がなかなか集まらず、現状難儀している状況です。
もし、発売年代等の情報お持ちでしたなら、コメント頂けると幸いです。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
当サイトの測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。