2019年に嫁いだPA-300のリフレッシュメンテナンスに恵まれました。
イグニションノイズが聞こえてしまうようになってしまったとのこと。
修理だけでなく、最新の高調波対策を施して、末永く音楽を奏でる一台に仕上げてみたいと思います。
はじめに
ナカミチのアンプでもカップリングの入っていない、DCストレートは、このアンプだけでしょうか。
ゲインも入力を絞るのではなく、フィードバックの量を調整して行っています。
仕様
黒アンプは、後継機より、スペックが良い部分が少しあります。
出力は75Wで通常に使う分には十分なパワーがあり、歪や、SN比は、後継機種よりも優れています。
状態
通電すると、音が出ることが確認できました。
基板を確認すると
- 入力電源セラコン破損
入力のチップセラコンですが、破損しています。これは、接続した電源にノイズが多かった可能性があります。 - GNDのダイオード破損
電源のGNDとアンプのシャシーのGNDのダイオードが破損。
これは、電源GNDのルーズ等で、RCAのGNDに電源が流れてしまったことが
考えられます。
セラコンは、物物理サイズを大きくして、耐電力に余裕をもたせ、ダイオードの耐電流もアップし対応です。
リフレッシュ
2019のメンテナンスも高調波対策施していましたが、たくさんのアンプをメンテナンス
いろいろ改善点も見つけることができました。
- スイッチング電源安定化
PA-300のスイッチング電源が安定していないことが。
これは制御系の信号にスイッチングノイズが乗り、誤動作。
制御系のTrをFETにして、耐ノイズ性をアップ。 - 高調波対策向けチップセラコン
同じ1uFでもサイズが違うとまったく別物。
大きいほう(3225)が、良好の傾向。
(ディスクリートタイプはスナバ効果があり良好になる場合もある。) - 電解コンデンサの容量
電解コンデンサの容量をアップすると変動実効値は小さくなるが、
P-Pは大きくなる。それを抑えるため 大きめのセラコンを併用。
高分子コンデンサで概ね対応可能。
ハイブリッドタイプは、耐圧と容量が大きく取れ、とても強い味方
電源安定化
スイッチング電源の制御はTrでおこなっています。
しかしながら、スッチングのタイミングで、GNDの電位が変動し、Trを誤動作させてしまうことがあります。
制御のTrをFETに置き換え、抵抗値を大きくして、On/Offの速度を遅くします。
(OFFのスピードが早いと、メインスッチング素子が誤動作の同時ONを防止)
これにより、電源変換効率が上がります。
スイッチングが安定していることがわかります。
リフレッシュ確認
一次側
入力のセラコンは壊れていたので少しノイズがありましたが
すっかりなくなりました。また、一次側のコンデンサのセラコンを交換し、変動量をちいさくしました。
二次側(電力用)
PA-300は、フィルタが無いので、多少スパイクが観測できますが
高分子とセラコンにより半分程度に抑えました。
二次側(電圧用)
電圧用も大型セラコンを用いて
ピークをおさえました。
出力波形
最後に、微小出力と周波数特性を確認します。
出力波形
ノイズが少なく、
L/Rのレベルもピッタリ調整できました。
久々のPA-300ですが、やはり素晴らしいです。
周波数特性
最後に周波数特性を確認します。
カップリングレスでDCからフラット。高域は、無理のない自然な減衰特性になってあります。
まとめ
100台以上のカーアンプをメンテナンスした経験を元に、PA-300IIをリフレッシュしました。
そのPA-300IIから流れてくるのは、とても優しい、ナカミチサウンドです。
ぜひ、PA-300IIを見かけたら、ぜひ、お手元に。
PA-300 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した機器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
オシロスコープ(SDS1102)
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。