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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

ナカミチ PA-202 メンテナンス (202009-1) 整備録

ナカミチPA-202のメンテナンス記録です。
運良く当方に流れ着いたので、メンテナンスして、ナカミチファンへお届けしたいと思います。

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 はじめに

PA-202は、比較的小柄で、10Aの消費電力で使いやすいパワーアンプです。

大きなサブウーファを鳴らさなければ、十分なパワーを発揮し、そのスケールを超えた音量と、音質をもたらしてくれます。

30年も前のもので、程度の良いものは少ないのが残念ですが、このアンプの基板はとても状態の良いものでした。 

外観メンテナンス

エンブレムが曇っていますが、地道な磨き上をしてみました。

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多少傷は残りましたが、清潔感は出せたのではないでしょうか。

ターミナル

ターミナルは状態が良かったです。

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少しの手入れと、端子ネジの交換で、見違えりました。

基板状態

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  • 大型コイルの採用(PA-302用)
     一回り大きなフィルタです。インダクタ容量は同じで、線材が少し太く
       なっており、耐電流が増えます。
  • 電源電解コンデンサグレードアップ
     一部オーディオグレードを使用してみました。
     もちろんリップル特性で状態確認済みです。
  • 高調波対策
     チップセラコンや、OpAmpのパスコン追加処理
  • カップリングコンデンサ交換
     PA-202Sで使用しているフィルムに。
  • OpAmp電源
     PA-302用のTrを採用。電圧もツェナー交換で、約36Vに調整。
  • 大型Vr
     大型のゲイン調整ボリューム採用
  • f特微調整
     高域のコンデンサの誤差で生じる特性を、マッチングさせ、左右の差を小さくしました。

電源特性測定

電源の状態を測定で検証します。

測定環境

いつもの測定環境です。

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ナカミチの電源のブロック図は、ほぼ、共通です。念の為、記載します。

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入力(端子間ノイズ)

一般的には疎かになりやすい、電源へのノイズ放射が確認できます。

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良好です。

一次

一次側はスイッチングのスパイクがどうしてもありますが、きっちり抑えてみたいと思います。

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リップル量もさることながら高調波もきっちり抑えています。

二次(電力)

フィルタが入っているので、あまり神経質になることはありませんが

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大きな揺れをおさえつつ、スパイクを抑えることができました。

二次(電圧)

スパイクがきついのですが、

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きっちり抑えることができています。

周波数特性

周波数特性は、100kHzまで測定しているとどうしても、左右の差が気になります。

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20kHzで-0.2dB程度ですので十分ですが、100kHzの差がきになります。

高域微調整

高域補正用のコンデンサのマッチングを行って、改善してみます。

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左右の差がすくなく、-4dB程度に改善できました。

結構地道な作業ですが、左右の微妙な差は、気になるもです。

まとめ

PA-202は小型で、電源も取りやすく、MIDやTWにとても使いやすいアンプだと思います。

MIDやTWは、比較的小電力で大丈夫なので、大きなアンプより、小型のアンプの能力を引き出すと、きれいに歌ってくれることがあります。

そんな使い方をされる方に、巡り会えますように。

 

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