Cork

pp audio blog

オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

カミチ パワーアンプ PA-301 カスタム・メンテナンス ピアニシモ仕様 23-11 #3

モノラルで160w絞り出すナカミチパワーアンプ PA-301。今年3台目のメンテナンスの機会に恵まれました。
時折音が出ないとのこと。
裏蓋を開けてみると、著しい損傷等は見当たりませんでした。
不具合を探って、きっちりメンテナンスしてみたいと思います。

はじめに

動作が不安定とのことですので、早速基板の状態をみてみました。

基板状態

いくつか部品交換されているのがわかります。

固定のボンドも、オリジナルのボンドの上から、つけている状態です。

 

標準と異なるリレーがついているので、確認すると

やはり、間違った12Vのリレーが取り付けられています。

発熱や、電源のバランスが狂ってしまい、危険な状態です。

 

基板補修状態

部品を交換したときに、基板の銅箔(座)を剥がしてしまったのでしょうか。

部品のリードで接続しています。ねじとショートしそうです。

 

ハトメを用いて、座をつくって、しっかり修正しました。

これで、振動等にも耐えられます。

出力状態

電源が入れれられる状態になったので、出力を確認してみると

少しノイズが多いです。出力(ゲイン)も小さめ。

 

無音状態で出力をみてみると

定期的になにかノイズが出ています。

周波数特性(中断)

周波数特性を確認すべく、1kHzで、ゲインを調整し、10Hzにすると、出力が出ません。さぶ、ウーファを得意とするPA-301の特性では、なく、なにか問題があることが、わかりました。

故障解析

不具合状態からすると、初段の電圧増幅部になにか問題がありそうです。

PA-301の回路図は手元にないため、プリアンプ部の回路を解析

これをもとに、回路図にすると、

どうもカップリングコンデンサがおかしい?のではないかと、探りをいれると

2uFのフィルムコンデンサ接触不良を起こしているのが判明。

はんだを一度吸い取り、きちんとはんだ付けすると、直りました。

(あとで、高分子フィルムにしますが、初期状態を見るために必要な手順です)

 

カスタム・メンテナンス

さて、いつものカスタマイズを実施します。

今回も、電源強化、高調波を施し、ナカミチの魂を生かしてみました。

  • 電源強化
     超低ESRの電解コンを始め、高分子コンデンサも採用
  • 高調波対策
     波形を観測しながら、高分子コンデンサ、チップコンデンサ等を
     用いノイズの低減効果が確認できた値、素子を採用。
  • トロイダルコアチョークコイル
     電力用の電源のコイルにトロイダルタイプを採用。
     漏れ磁束が小さく、オリジナルコイルよりESRが小さく効率よく
     エネルギーを蓄積します。
  • OpAmp電源強化
     OpAmpの電源を放熱のよいTrに交換し、安定化。
     平滑も高分子を用います。
  • 高分子カップリング
     高分子のフィルムコンデンサを用いて低歪の音を追求。
     容量も大きくして、低域の特性を改善します。
  • GNDパラメータ調整
     入力のGNDとアンプのGNDの接続パラメータを調整し、
     バランスアンプの帯域外のノイズを低減します。

取り付け済み部品が2つほど

  • OPA627
     OpAmpは、孤高のシングルチップOpAmp627。
  • 密閉 VR
     経年変化でも接触不良を起きにくい、密閉型のVR

きっちりピアニシモ・カスタマイズができているか、一つずつ確認してゆきます。

電源(一次側)

一次側の大きなスパイクを

抑え込みます。

電源(二次側電力)

トロイダルコアと、低ESR、チップセラコンで

きっちり抑え込みます。

電源二次側(電圧用)

ピークが少し大きめですしたが

しっかり抑え込みます。

OpAmp電源

オペアンプの電源も、熱対策を行い、高分子と、パスコン追加で

 

対応しました。

出力確認

最後に、出力の状態を確認します。

微小信号

高調波ノイズがきになる状態でしたが

きっちり高調波対策を施した結果が、観測できました。

周波数特性

カップリングコンデンサをアップグレードしたので、10Hzまで、ストレートに。

 

サブパワーをしっかりドライブしてくれる特性に。

まとめ

いかがでしたでしょうか。一部のチューンアンプは、誤った部品が装着されていることがわかっています。

時折動かなくなるや、透明なリレーが装着されているアンプは要注意です。

 

多量のシリコングリスや、接着剤もきれいに除去し、スッキリです。

シリコングリスには、熱伝導シートを用いて、熱結合状態、仕上がりの安定化が図れます。後日のメンテナンス性向上にも繋がります。

 

これで、修理完了です。

 

****

このアンプ PA-301は、サブウーファ用のパワーアンプとしてぴったりです。

少し贅沢ですが、2台でステレオにしても素晴らし音を醸し出してくれると思います。

OPA627の歌声をぜひ、堪能していただければ、嬉しい限りです。

 

当方まで、お気軽にメールでお願いします。

(迷惑メール防止の為、メールアドレスはプロフィールご参照ください。)

PA-302 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

ヤフオク!

 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用した機器

DAC(D10)

測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。

TOPPING D10s DAC Mini USB DAC XMOS XU208 ES9038Q2M DSD256 PCM 384kHz Hi-Res オーディオデスクトップ オーディオデコーダー (ブラック)

正弦波もとてもきれいです。

 

オシロスコープ(SDS1102)

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

OWON ハイコストパフォーマンスデジタルオシロスコープ 1Gs/s 100MHz帯域 薄型軽量 SDS1102【国内正規品】【メーカー直営3年保証】【日本語取扱説明書対応】

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

にほんブログ村 車ブログ カー用品・装備へ
にほんブログ村



 

 

振動アイソレーションアンプ 100PA カスタム・メンテナンス

ナカミチカーオーディオファンの方でもなかなか入手できない100PA。
状態がわからない機体を入手されたところ、音が出たり出なかったりと、不安定。
当方にても、最初はきちんと動いていたのですが、突然電源が入らなくなってしまいました。

リモート回路が問題であることおもわれ、早速解析し、ナカミチの魂を開放してみたいと思います。

はじめに

100PAは、4chの50W十分なパワーを有したアンプ。OpAmpを使っていないフルディスクリート構成。

スペックよりも音に拘った設計思想に見受けられます。価格は、中古品でもPA-304の倍以上するようですが、たしかに、その価格に見合う音が流れてくると感じます。

仕様

100PAは、振動アイソレーションを採用しており、ボディもPA-304よりかなり重厚になっており1kgも重いです。

f:id:MatsubaraHarry:20220321101318j:plain

アンプ回路だけでなく、車載されることを考慮し、しっかりと対策しています。

内部状態

早速底板をはずしてみると、

少々温度が高そうな痕跡があります。しかしながら、基板には焼けはありませんので、許容範囲内です。

本100PAの電源状態は、とても良く、

コンデンサ等の液漏れは確認できませんでした。

 

状態確認

アンプの状態を確認してみます。

出力波形

微小信号を確認すると、

多少高調波は、確認できますが標準的な状態です。

故障解析

しばらく、通電して動作確認していると、電源が入らなくなってしまいました。

リモート制御系を司る、Tr、素子を単体でチェックしても、明らかに破損している部品が見つかりません。

回路図も入手困難ですので、やむなく、基板のパターンから、回路図を起こして

解析してみると、故障Trがわかり、交換して無事、修理完了です。

 

カスタム・メンテナンス

今回は、ピアニシモカスタムと、高分子のカップリング仕様でメンテナンスします。

  • 電源高付加コンデンサ交換
  • 一次、二次の高調波対策
  • アンプ基板供給電源経路の高調波対策
  • アンプ基板電源用コンデンサ交換
  • GND接続係数の見直し
  • ブリーダ抵抗の容量アップ
  • プリアンプ電源の強化
  • カップリング 高分子コンデンサ
  • Gain VR、密閉型

音声増幅回路は、カップリングを高分子へ交換し、歪や交流の非対称特性を改善します。この効果は、測定では、高周波数特性の改善で僅かですが、確認できますが、それ以上に歪み感の改善がはっきり確認できます。

電源一次側

少し拡大していますので、大きく見えますが、200mV程度でとても優秀な状態になりました。

二次側(電力)

標準でも、優秀な電力用電源状態ですが

電解コンデンサ交換、チップセラコンを追加し、改善。

二次側(電圧)

スパイクが少しみられましたが

チップセラコンで抑えます。

音声出力

僅かな高調波が確認できた出力ですが

正弦波がはっきりとわかるようになりました。

高調波対策とGNDの接続係数の変更による効果です。

まとめ

今回の100PAはリモート回路に問題があり、解析に少し時間がかかりましたが、原因を突き止め、きちんと修理。その後、高調波対策を施し、ナカミチのアンプ回路の性能を十分発揮できるコンディションに仕上げました。

大きな素子を無理に装着せず、実用的かつ、高性能、高寿命にまとめています。

周波数特性

周波数特性もカマボコのとても良好な特性です。超高域を無理に引き伸ばすことなく、低歪で、音楽のニュアンスを再現してくれることでしょう。

 

もし、アナログのカーアンプに魅せられる方は、ぜひ、一度この100PAを試してみてはいかがでしょうか。

 

外観も清掃を施し、

端子を磨き上げ、端子ネジ交換して、完了です。

 

にほんブログ村 車ブログへ

 

 
カスタムナカミチアンプ

 

もし、ご自分では難しい方は、どうぞ、当方までご相談ください。

ご相談は、オークションにて承っております。

また、オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札、ご検討ください。

       よりすぐりのナカミチアンプたち)

 

 

  

 

DSP内蔵Class D 2ch パワーアンプ Kicker IQ 500.4

KickerのClass D IQシリーズが流れ着きました。

IQシリーズは、Class Dのタイミングに改善点があることがわかっており、ノイズが目立つ生じになることがあります。本機もノイズが気になるとのこと。

通電後しばらくすると、ノイズが生じ電源電流も増えます。

さて、今までの経験を活かして原因を究明(救命)、対策できるでしょうか。



はじめに

KickerのIQシリーズは、内部にDSPを内蔵しています。

また、アナログアンプと同じ使い方ができるように、ゲインや、クロスオーバ、Kicker EQなどがパネルで調整できます。また、パネルロックをすることで、内部DSPですべて処理するモードに切り替えることができます。

このIQ500.4は、IQ1000.5のサブウーファ出力を除いたアンプに相当します。

Kicker 100.5

DSP内蔵Class D 5ch パワーアンプ Kicker IQ 1000.5 - pp audio blog

 

内部

500.4にも、500.2と同じサブ基板が2枚、装着されています。



写真では見にくいのですが、左脇にControlという名称での小基板が装着されています。

これは、Class Dの制御を司る基板です。

リワーク修正

DSPの基板をよく見ると、メーカのリワークが施されていることがわかりました。

チップの電解コンデンサのががれを修正していますが不安定です。

 

チップLEDの固定用の接着剤を用いて

補強しました。これで振動にも耐えられるでしょう。

既知改善内容施工

これまでにわかっている改造を施し、問題が改善するか確認します。

電源電圧FB

電源のFBが無いことがわかっていますので、追加します。

スイッチングがフル動作から、きちんとDutyによる電圧制御になりました。

また、電流が2Aから約1.5A程度に下がり、発熱も少なくなりました。

Class Dタイミング

Class Dのタイミングが少し厳しいことがわかっています。本機もやはりタイミングが調整が必要です。

Dead Timeを調整して、理想状態にできました。

消費電流も少なくなりましたが、問題の発振はまだ生じます。

PWM波形観測

PWMを少し長い時間観測してみると

以前観測した短いパルスが観測。これは、15V電源の不安定によることがわかっています。

電源を改善すると、やっと誤動作が生じなくなりました。

DSP設定初期化

動作を確認するために、DSPのソフトウェア(FW)状態を確認するために、USBを接続、工場出荷状態にします。その後FrontとRearで使えるように設定。

 

カスタマイズ

カスタマイズは、

  • 電源メンテナンス
     電源状態は良いので、必要箇所のみ低ESRと交換
  • 電源高調波対策
     高調波のチップセラコンの容量を適正値に
  • Class D出力の高調波抑制
     出力に小さめのコイルを追加し高調波を抑制

を施します。

電源メンテナンス(一次側)

静電容量をアップし、一部高分子に交換

チップコンデンサも追加して、対策しました。

 

電源メンテナンス(二次側)

電解コンとチップコンデンサを交換

ほんの僅かですが、改善しています。

Class D 高調波抑制

出力に小さめのコイルを追加

キャリア信号の漏れを抑制しました。

基本メンテナンス

Class Dのアンプは、スイッチング素子のタイミング確認を念のため行います。

Class Dタイミング

VOUT信号(SPの前段)の勾配を確認します。

わずかですが、スイッチングのDeadTimeが少ないことがわかりました。

調整することで、歪や、発熱を低減することができます。

約50nほど遅くすることでかなり良くなりました。

電源調整

IQシリーズの電源は、固定発振方式で、入力電圧に左右される傾向があり、FBを追加することで、低電圧動作にできることがわかっています。

 

この改造により、入力電圧にも安定した内部電圧を供給することができるようになりました。

仕上げ

最後に、電源の状態と、出力を確認します。

電源状態(一次側)

電源のリップル状態を確認します。

通常の変動範囲内であることがわかりました。

 

電源状態(二次側)

同じ様に二次側も確認します。

フィルタがはいっているので、とても良好です。

周波数特性

最後に周波数特性を確認します。

20Hzから20Kまで+/-1dBであることが確認できました。

 

まとめ

Class Dのアンプは、小型でハイパワー。低歪のアンプですので、使い方次第で驚くような音をかもし出すことができます。一方、多機能で高密度の為、故障が少し起こりやすくなることも事実です。

 

今回の動作不能は、電源回路が固定発振であり、電圧が上昇した際に、Class Dの制御回路に負担がかかってしまったと考えています。

同じような問題でお困りの方は、当方まで、ご相談ください。

 

使用した機器

DAC(D10)

測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。

TOPPING D10s DAC Mini USB DAC XMOS XU208 ES9038Q2M DSD256 PCM 384kHz Hi-Res オーディオデスクトップ オーディオデコーダー (ブラック)

正弦波もとてもきれいです。

 

オシロスコープ(SDS1102)

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

OWON ハイコストパフォーマンスデジタルオシロスコープ 1Gs/s 100MHz帯域 薄型軽量 SDS1102【国内正規品】【メーカー直営3年保証】【日本語取扱説明書対応】

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

 

 

 

 

 

モンスター カーアンプ a/d/s ps a メンテナンス

a/d/sのDSP装備パワーアンプのメンテナンス整備録です。

歴史的なアンプにもかかわらず、DSPを装着しています。XILINXFPGA(プログラム可能なハード回路)とマイコンが装備されています。

様々な車種に合わせたアンプのモード切り替え機能を実現しています。

はじめに

最初に驚くのはそのサイズ

 64cm x 40cm

写真撮影場所も工夫したのですが、やはり難しかったです。

仕様

8ch トータルで600W。Class ABのアンプでは、ヘビー級です。

 

1-4は通常のSP接続で、5,6はツイータ、7,8はサブウーファをターゲットにしている思想が見えてきます。

Power Onすると

”Loc”の表示でキーは受け付けません。 Lockでしょうか。

このアンプのDSPモード切り替えは、コントローラユニットで操作するのが基本となっているようです。

幸いだったのは、キーの組み合わせで解除できることがわかりました。

アンプのモードを選択でき、ゲインも調整できます。

アンプの状態確認ができます。

”U”というモードにするとストレートモードになることもわかりました。

内部

底板を外すと、アンプ基板が2枚と中央にDSPを装着した制御基板が見えます。

アンプのチャネル配置が工夫されています。

チャネルごとの影響を受けにくいように工夫されているようです。

準備

まず、解決しなくてはならないのは、接続用のアタッチメント、コネクタが無いということです。

スピーカのピッチは、7mmと一般的な端子台が取り付けられません。

スピーカは、ピッチが少し狭くなりますがユーロコネクタという端子ネジ部とコネクタが分割できるものを採用しました。

 

このコネクタは、スピーカの配線はねじで確実に行い、

アンプとはワンタッチで取り付け、取り外しが可能です。

 

スピーカの確認用の治具として

SATAコネクタ装着のものを準備しました。

ラインレベル配線

ラインレベル配線は、中央の基板から同軸ケーブルパワーアンプへ、はんだ付けで接続しています。

動作確認やパワーアンプの単体確認が困難ですので、接続を一部コネクタ化します。

 

RCAケーブルの先に同じコネクタをつけた治具を用意して

各アンプの動作、性能、及び改善確認を行うことが可能になりました。

また、プリアンプをバイパスにして、パワーアンプ単体として使うことも可能です

 

これにより、ようやく、左右のパワーアンプを取り外し、机上で単体状態確認が行うことができます。

ここに先のRCAケーブルを取り付ければ、単体のパワーアンプの素性確認が行なえます。

 

カスタマイズ

最初に電源と、スピーカ出力のコネクタを行います。

1~6ch、電源コネクタ(右アンプ)

取り付けピッチの差や、構造の違いで取り付けがかなり難しかったですが

なんとか、実用的に仕上げることができました。

5・6ch 電源コネクタ(左アンプ)

左側には、リモート信号があり、別な工夫が必要です。

リモートは、オリジナルの端子を反転実装し、ファストンをしっかり取り付けました。

これで、一般的なファストン入力リモートアンプになりました。

 

出力確認

出力の状態を確認してみました。

チャネルにより高調波の状態が異なる模様です。

つづく

大型のアンプは、電源等が大型になり、評価確認が難しくなりどうしても治具が必要になります。

今回も、いくつかの治具を作成して、ようやく確認ができるようになりました。

引き続き電源の状態を一つずつ確認し、カスタマイズを行いたいと思います。

 

使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

OWON ハイコストパフォーマンスデジタルオシロスコープ 1Gs/s 100MHz帯域 薄型軽量 SDS1102

にほんブログ村 車ブログ カー用品・装備へ

 

 

ナカミチ 1000dac Custom Maintenance 完全バランスDAC回路仕様

ナカミチDACの中でも振動アイソレーション等、その当時の技術をふんだんに投入した1000DACが流れ着きました。
この100DACや1000DACは、内部のDAC LSIを4つ使っています。
少し回路を追いかけてみると、改善点がいくつか見えてきました。

また、どうしてもビンテージクラスは、電源系のメンテナンス、特にコンデンサの交換が必要になってきます。きっちり電源のメンテナンス、高調波対策を行い、末永く使えるDACへと、仕上げてみたいと思います。

 

はじめに

100DACの仕様の引用になります。

100DACのシャシーは、シルバーでしたが、1000DACには、ブラックボディの高級感ある仕上げを採用しています。

外観

状態がとてもよく、少しの清掃できれいになりました。

出力確認

出力の状態で、DACの健康状態が概ね把握できます。

とても良好なのがわかります。

カスタム・メンテナンス

 100DACの経験がありますので、カスタム・メンテナンスを早速行いました。

 

  • 電源メンテナンス
     電解コンデンサ(液漏れあり)の交換、低ESRの電解コンや高分子等、負荷、
     ス パイクノイズの状態により交換します。
  • 電源シールドカバー防錆
     電源のシールドカバーは、ゴムの硫化水素によりサビがでています。
     サビを落とし、クリアで防錆処理をほどこします。
  • 電源高調波
     電源には、チップセラミックで基本的な高調波を抑えます。
  • デジタル回路電源
     このアンプのデジタルICには、電源の干渉対策の為、個々にインダクタとコンデンサが装着されています。コンデンサを高分子に交換することで、スパイクノイズを低減します。
  • DAC電源ピン強化
     DAC ICの電源ピンにパスコンを追加します。
  • 出力内部ケーブル(RCA出力)
     出力のケーブルを2芯シールド化、GNDの強化とノイズ対策を狙います。
  • パネル アース強化
     デジタル入力の端子とGNDがきちんと接触するよう、内側の塗膜を剥離
     ネジは、クロームメッキ製で、きちんとした導通を確保します。


電源状態(一次側)

電力が比較的小さいので、

高分子+チップセラコンで、きちんと抑え込むことができます。

 

電源状態(二次側)

デジタル用とアナログ用のダブルの電源を搭載しています。

 

同じような特性ですので、同一仕様でまとめました。

ここで、注意は、GNDが共通で無いところです。これにより、後々なやまされることになります。

DAC IC差動動作

ライン出力は良好なのですが、どうもGNDにデジタルノイズがみられ、その原発をさぐるために、DACまで、トレースしてしまいました。

 

この1000DAC(100DAC)は、2ch DA LSIを片側に2つ、合計4つ搭載しています。

回路の構成接続を解析し、略図にしてみました。

ひとつのDACのLとRの出力を加算し、分解能をアップしています。

またチップをダブルで使い、差動信号を作り出し、OpAmpの差動増幅回路でノイズ、歪を打ち消す設計思想と思われます。

かなり思い入れのある回路であることが読み取れます。

DAC差動回路確認

OpAmpの差動回路の抵抗は、教科書どおりの全部同じ抵抗値で、インピーダンスも同じはずなのですが、

OpAmpの差動回路入力の電圧に差ががります。

せっかくの差動回路なので、同じ電圧にできなか、調べてみましょう。

 

そういえば、教科書通りのOpAmpの差動回路は、入力のインピーダンスが異なることがわかっています。

OpAmp差動回路入力Imp.について

同じ抵抗値なのですがプラス側はGNDにマイナス側は、OpAmpの出力に繋がっています。

わかりやすく、入力電圧を±1Vとして計算してみると

電流が3倍異なることがわかります。すなわち、impedanceは、1:3になることがわかります。

このimpedanceの違いが、どうやら電圧入力の差の原因のようです。

OpAmp差動 Imp共通化

教科書とは、異なりますがOpAmp外部抵抗を+側と-側で3倍の関係にするとimpedanceを共通にすることが出来ます。

上手のような比率にすれば、impedanceを共通にできます。抵抗値がことなるので、ちょっと気持ち悪いですが。

また、オリジナルのimpedanceの平均と合わせることも重要になります。

それでもまだ、電圧がピッタリと一致しません。

OpAmp入力電流経路

原因を探ると、

どうもGNDをのループが弱い、リターンパスが確立していないのがポイントの様です。

DGNDとAGND分離の影響

このDACは、デジタルとアナログの電源が別れています。

GNDが分離しているので、差動の信号の電流ループ、リターンパスが、芳しくないことがわかりました。

その影響で、

 

デジタル部のGNDの電位のフレがどうもアナログのGNDをふらつかせているようです。

また、OpAmpの外部抵抗も数百Ω程度と、比較的小さく電流も大きいのが関係しています。

 

DAC LSI 差動電流パス確立

まずは、差動通信の信号の基本である、差動ラインで電流ループを確立するのを狙います。

差動のターミネーション抵抗を追加します。

これにより、DACの出力電流を終端抵抗に流す事によって、OpAmpへの電流を小さくすることができます。

だいぶ改善することができました。

出力へのノイズは、どうやらOpAmp入力端子から、電源へ高調波が漏れてしまうことにあるようです。
OpAmp一つで正側と負側の条件をいっしょにするのは、これが限界です。

Instrumentation OpAmp

OpAmpの電圧フォロアと差動を組み合わせると、入力インピーダンスを高くすることができます。

3つのOpAmpが必要になりますが、ワンパッケージ品があります。

これを用いると回路がとてもシンプルになります。

基板の改造も、RefのGNDを追加するだけで可能になります。

これにより、差動回路の電流設定も、ゲインの可変も簡単になります。

 

まとめ

今回は、DACの完全差動化を行ってみました。これにより、歪率等の改善が可能です。

出力波形

最後に出力波形を確認します。

デジタル回路の高調波が少なくなっているのがわかります。

また、ゲインも少しアップし、最大出力電圧がを1.5Vから2.5Vに改善。

これでSN比も改善し、システム全体での情報のロスを低減することが可能です。

周波数特性

周波数測定を確認することで、トータルの性能をみることができます。

サンプリング限界まで、フラットであることがわかります。

 

****

 

いかがでしたでしょうか。

今回は、時折、OpAmpの差動回路の問題点が影響してしまっている回路を見かけることがあります。それらの原因、要因を取り除き、本来の性能を発揮するカスタマイズを施してみました。

本来の差動動作DACの真価が聞こえてきます。末永く、楽しめるDACになったと思います。

これまでのDAC

また、今まで測定した、DACは下記よりご覧になれます。

DAC カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

ヤフオク!

 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

にほんブログ村 車ブログ カー用品・装備へ
にほんブログ村

 

 

 

 

 

ナカミチ ハイエンド DAC-101 カスタム・メンテナンス

ナカミチDACの中でも最高峰の DAC-111のカスタム・メンテナンスに恵まれました。

外形サイズは、他のDAC-111等と同じですが、中を紐解くと、こだわりの設計思想が随所に見られます。

そんな、ナカミチのこだわりの説明を交えて、メンテナンスの備忘録を綴ってみましょう。

 はじめに

外観

外観は、アルミの引き物の重厚なボディにシャンパンゴールドの塗装、中央には、いつものナカミチ エンブレムが光っています。

大きさは、PA-202と同等程度でしょうか。重量は、1kg程度で、DACとしては、とても重量級です。

これまでのDAC-111カスタムは下記よりご覧いただけます。

希少 ナカミチ DAC-111 ① 素性調査編 - pp audio blog

DAC-111 記事一覧 

内部状態

内部は、びっくり

銅箔の絶縁シールドで囲われています。

シールドを取り外して内部をのぞいてみると

よく見るとデジタル系の電源とアナログ電源が完全独立電源。

スイッチング電源のコントローラも2つ装着しているこだわりです。

状態確認(出力波形)

早速出力の状態を確認してみます。

車載用のDACで、ここまでキレイな波形はなかなかありません。

とても素晴らしい状態です。

基板状態

基板をよく見てみると、コンデンサ被覆が数個、縮んでいます。

シールド板による遮蔽の影響でしょうか。

若干の液漏れも確認。今回、メンテナンスを行えて幸いでした。

 

カスタム・メンテナンス

早速カスタム・メンテナンスをはじめたいと思います。

  • 電源強化
     電源のコンデンサを低ESRタイプに交換、リフレッシュします。
  • 高調波対策
     電源のコンデンサを一部高分子タイプに交換し、高調波を抑えます。
     また、電源部には、チップセラコンを用いて抑え込みます。
  • OpAmp muses8820
     OpAmpは、音に定評のあるmuses8820を装着。
     スペックよりも音を磨き上げます。
  • カップリングコンデンサ (高分子フィルム)
     低歪で癖のない、高分子フィルムを採用。
一次側対策

一次側は、コンデンサが劣化していた為でしょうか、少し変動がみられましたが

高分子及び、チップセラコンを装着し、抑え込みまました。

二次側(アナログ用)

多少リップルが見られました電源は

高分子コンデンサで、変動をきちんと抑え込みます。

二次側(デジタル用)

デジタル用も同じ様に対策

きっちりおさえこみました。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、一つずつm,しかも、+/GND,-/GND間にコンデンサが装着されているこだわり仕様。

パスコンを+/-間に装着、わずかですが、さらに抑え込みます。

レギュレタ電源注意点

三端子レギュレタが用いられていることがあります。

レギュレタの出力側のコンデンサ容量をアップし、レギュレタが壊れてしまったというのを見かけることがあります。


これは、回路が悪いわけではなく、きちんと電源OFF時の波形を確認していないからです。本回路は、入力と出力の電圧が逆転していませんので、問題ないことが分かります。

微小信号確認

さて、出力への効果はどの程度あるでしょうか

より一層、LとRの波形が重なり細くなっているのがわかります。


周波数特性

周波数特性を最後に確認してみます。

 

仕上がり

基板の仕上がりは、とてもシンプル

小型のコンデンサが多いので、高分子で安定化しています。

長寿命、高調波抑制が同時にでき、末永く安定した性能が得られます。

今まで測定した、DACは下記よりご覧になれます。

DAC カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

カスタムナカミチアンプ

 


オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

ヤフオク!

 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

にほんブログ村 車ブログ カー用品・装備へ
にほんブログ村

 

 

 

Rockford Punch 325.2 カスタム・メンテナンス (発振症状修復)

サブウーファのドライブとして使っているパワーアンプ。Gainを上げると、発振音や、ウーファが大きく揺れる振動を伴う症状がでてしまいます。

早速状態を確認してみたいと思います。

はじめに

外観は重厚なアルミダイキャスト

放熱効率を考慮した設計思想が伺えます。

仕様

モデル名称の325.2は、

最大出力325W 2chパワーアンプということでしょうか。

不具合解析

はじめに、不具合の再現確認をしてみたいと思います。

出力波形

出力波形を見てみましょう。

高調波が少し確認できます。FFTでわかります。

電源ノイズが乗っているようです。

電源スイッチング状態

電源の状態をみてみましょう。

Push/Pullのトランスの波形が、ほぼフル状態動作に思えます。

 

Dutyがフルでスイッチングしてしまうと、貫通電流が流れてしまい、出力電圧が上昇せず、ロックしてしまいます。

コントローラに回避する設定がありますので、調整してみると

スイッチングの速度(立ち上がり/下がり)が遅くなって、中間で少し開放されている状態になっているのが分かります。

これで、貫通電流が流れることはなくなりました。

カスタム・メンテナンス

カスタム・メンテナンスは、電源メンテナンス、高調波対策を施します。

電源(一次側)

一次側の電解コンデンサは、小さめの容量で高耐圧のものが装着されています。

これは、高周波応答を良くするためと考えられます。

今回は高分子と容量を十分に大きくした低ESRの電解の複合でカバーしました。

電源(二次側)

二次側は4700uFのブロックコンデンサが装着されています。

今回は、ブロックコンデンサも容量をアップし、セラコンで高周波も対策しました。

OpAmp電源

OpAmpの電源も出力ノイズに関係することがあります。

少し変動が確認できましたが

元電源のコンデンサを交換することで、改善。

接点洗浄

アンプの切り替えスイッチに用いられているスライドスイッチは、どうしても経年変化で劣化してしまいます。切替時にノイズが入ったのが気になり分解してみました。

 

やはり、黒くなっています。

優しく、クロスで磨き

接点グリスで、酸化するのを防ぎます。

確認

メンテナンスで、アンプの性能がきちんと出ているか確認してみます。

出力波形

高調波が見られた波形が

改善され、正弦波がきちんと確認できるようになりました。

FFTでも高周波がすっかり無くなっているのが分かります。

周波数特性

周波数特性を観測すると

かまぼこ型のキレイな特性が現れました。

またLowPassの波形も参考に確認してみるときちんと機能していることが分かります。

 

まとめ

最後に組み立てて、音を確認したところ。音はパンチのある音が出てきました。

ですがよくみると、パワーのLEDが付きません。

確認すると、LEDが壊れているようでした。

同等品が、すぐ入手できたので、早速交換。

これで完成です。

 

***

海外のアンプでは、時折見られる電源スイッチングのロック。最悪、発熱してスイッチング素子を損傷していしまいますが、今回のアンプは、貫通時間が短く大丈夫でした。

問題であったゲインを上げた時の発振や、ウーファの大きな振動は、電源の暴れに起因していると想定できます。

電源が正しく制御し、スイッチングしているので、過度なピーク電流も防げぎ安定動作ができると思われます。

 

同じ様な症状で悩まれている方は、一度当方までご相談ください。

 

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札を

ヤフオク!

 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

カスタムご依頼、お問い合わせ

同じようにカスタムのご検討、ご希望の方は、メールにてお問い合わせください。

メールアドレスはプロフィールに記載しております。

使用した測定器
DAC(D10)

測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。

TOPPING D10s DAC Mini USB DAC XMOS XU208 ES9038Q2M DSD256 PCM 384kHz Hi-Res オーディオデスクトップ オーディオデコーダー (ブラック)

正弦波もとてもきれいです。

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

 

OWON ハイコストパフォーマンスデジタルオシロスコープ 1Gs/s 100MHz帯域 薄型軽量 SDS1102

 

にほんブログ村 車ブログ カー用品・装備へ
にほんブログ村