モノラルで160w絞り出すナカミチパワーアンプ PA-301。今年3台目のメンテナンスの機会に恵まれました。
時折音が出ないとのこと。
裏蓋を開けてみると、著しい損傷等は見当たりませんでした。
不具合を探って、きっちりメンテナンスしてみたいと思います。
はじめに
動作が不安定とのことですので、早速基板の状態をみてみました。
基板状態
いくつか部品交換されているのがわかります。
固定のボンドも、オリジナルのボンドの上から、つけている状態です。
標準と異なるリレーがついているので、確認すると
やはり、間違った12Vのリレーが取り付けられています。
発熱や、電源のバランスが狂ってしまい、危険な状態です。
基板補修状態
部品を交換したときに、基板の銅箔(座)を剥がしてしまったのでしょうか。
部品のリードで接続しています。ねじとショートしそうです。
ハトメを用いて、座をつくって、しっかり修正しました。
これで、振動等にも耐えられます。
出力状態
電源が入れれられる状態になったので、出力を確認してみると
少しノイズが多いです。出力(ゲイン)も小さめ。
無音状態で出力をみてみると
定期的になにかノイズが出ています。
周波数特性(中断)
周波数特性を確認すべく、1kHzで、ゲインを調整し、10Hzにすると、出力が出ません。さぶ、ウーファを得意とするPA-301の特性では、なく、なにか問題があることが、わかりました。
故障解析
不具合状態からすると、初段の電圧増幅部になにか問題がありそうです。
PA-301の回路図は手元にないため、プリアンプ部の回路を解析
これをもとに、回路図にすると、
どうもカップリングコンデンサがおかしい?のではないかと、探りをいれると
2uFのフィルムコンデンサが接触不良を起こしているのが判明。
はんだを一度吸い取り、きちんとはんだ付けすると、直りました。
(あとで、高分子フィルムにしますが、初期状態を見るために必要な手順です)
カスタム・メンテナンス
さて、いつものカスタマイズを実施します。
今回も、電源強化、高調波を施し、ナカミチの魂を生かしてみました。
- 電源強化
超低ESRの電解コンを始め、高分子コンデンサも採用 - 高調波対策
波形を観測しながら、高分子コンデンサ、チップコンデンサ等を
用いノイズの低減効果が確認できた値、素子を採用。 - トロイダルコアチョークコイル
電力用の電源のコイルにトロイダルタイプを採用。
漏れ磁束が小さく、オリジナルコイルよりESRが小さく効率よく
エネルギーを蓄積します。 - OpAmp電源強化
OpAmpの電源を放熱のよいTrに交換し、安定化。
平滑も高分子を用います。 - 高分子カップリング
高分子のフィルムコンデンサを用いて低歪の音を追求。
容量も大きくして、低域の特性を改善します。 - GNDパラメータ調整
入力のGNDとアンプのGNDの接続パラメータを調整し、
バランスアンプの帯域外のノイズを低減します。
取り付け済み部品が2つほど
きっちりピアニシモ・カスタマイズができているか、一つずつ確認してゆきます。
電源(一次側)
一次側の大きなスパイクを
抑え込みます。
電源(二次側電力)
トロイダルコアと、低ESR、チップセラコンで
きっちり抑え込みます。
電源二次側(電圧用)
ピークが少し大きめですしたが
しっかり抑え込みます。
OpAmp電源
対応しました。
出力確認
最後に、出力の状態を確認します。
微小信号
高調波ノイズがきになる状態でしたが
きっちり高調波対策を施した結果が、観測できました。
周波数特性
カップリングコンデンサをアップグレードしたので、10Hzまで、ストレートに。
サブパワーをしっかりドライブしてくれる特性に。
まとめ
いかがでしたでしょうか。一部のチューンアンプは、誤った部品が装着されていることがわかっています。
時折動かなくなるや、透明なリレーが装着されているアンプは要注意です。
多量のシリコングリスや、接着剤もきれいに除去し、スッキリです。
シリコングリスには、熱伝導シートを用いて、熱結合状態、仕上がりの安定化が図れます。後日のメンテナンス性向上にも繋がります。
これで、修理完了です。
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このアンプ PA-301は、サブウーファ用のパワーアンプとしてぴったりです。
少し贅沢ですが、2台でステレオにしても素晴らし音を醸し出してくれると思います。
OPA627の歌声をぜひ、堪能していただければ、嬉しい限りです。
当方まで、お気軽にメールでお願いします。
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カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用した機器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
オシロスコープ(SDS1102)
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。