サブウーファのドライブとして使っているパワーアンプ。Gainを上げると、発振音や、ウーファが大きく揺れる振動を伴う症状がでてしまいます。
早速状態を確認してみたいと思います。
はじめに
外観は重厚なアルミダイキャスト
放熱効率を考慮した設計思想が伺えます。
仕様
モデル名称の325.2は、
最大出力325W 2chのパワーアンプということでしょうか。
不具合解析
はじめに、不具合の再現確認をしてみたいと思います。
出力波形
出力波形を見てみましょう。
高調波が少し確認できます。FFTでわかります。
電源ノイズが乗っているようです。
電源スイッチング状態
電源の状態をみてみましょう。
Push/Pullのトランスの波形が、ほぼフル状態動作に思えます。
Dutyがフルでスイッチングしてしまうと、貫通電流が流れてしまい、出力電圧が上昇せず、ロックしてしまいます。
コントローラに回避する設定がありますので、調整してみると
スイッチングの速度(立ち上がり/下がり)が遅くなって、中間で少し開放されている状態になっているのが分かります。
これで、貫通電流が流れることはなくなりました。
カスタム・メンテナンス
カスタム・メンテナンスは、電源メンテナンス、高調波対策を施します。
電源(一次側)
一次側の電解コンデンサは、小さめの容量で高耐圧のものが装着されています。
これは、高周波応答を良くするためと考えられます。
今回は高分子と容量を十分に大きくした低ESRの電解の複合でカバーしました。
電源(二次側)
二次側は4700uFのブロックコンデンサが装着されています。
今回は、ブロックコンデンサも容量をアップし、セラコンで高周波も対策しました。
OpAmp電源
OpAmpの電源も出力ノイズに関係することがあります。
少し変動が確認できましたが
元電源のコンデンサを交換することで、改善。
接点洗浄
アンプの切り替えスイッチに用いられているスライドスイッチは、どうしても経年変化で劣化してしまいます。切替時にノイズが入ったのが気になり分解してみました。
やはり、黒くなっています。
優しく、クロスで磨き
接点グリスで、酸化するのを防ぎます。
確認
メンテナンスで、アンプの性能がきちんと出ているか確認してみます。
出力波形
高調波が見られた波形が
改善され、正弦波がきちんと確認できるようになりました。
FFTでも高周波がすっかり無くなっているのが分かります。
周波数特性
周波数特性を観測すると
かまぼこ型のキレイな特性が現れました。
またLowPassの波形も参考に確認してみるときちんと機能していることが分かります。
まとめ
最後に組み立てて、音を確認したところ。音はパンチのある音が出てきました。
ですがよくみると、パワーのLEDが付きません。
確認すると、LEDが壊れているようでした。
同等品が、すぐ入手できたので、早速交換。
これで完成です。
***
海外のアンプでは、時折見られる電源スイッチングのロック。最悪、発熱してスイッチング素子を損傷していしまいますが、今回のアンプは、貫通時間が短く大丈夫でした。
問題であったゲインを上げた時の発振や、ウーファの大きな振動は、電源の暴れに起因していると想定できます。
電源が正しく制御し、スイッチングしているので、過度なピーク電流も防げぎ安定動作ができると思われます。
同じ様な症状で悩まれている方は、一度当方までご相談ください。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札を
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使用した測定器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。