モノラルで160w絞り出すナカミチパワーアンプ PA-301。2台目のメンテナンスの機会に恵まれました。裏蓋を開けてみると、またもや、基板の一部が黒く焦げております。
今回は、損傷の規模は小さいのですが、他に損傷があるかもしれませんので、一つずつ調べながら修繕したいと思います。
はじめに
状態確認
基板を外し、電解コンデンサ等、寿命部品を取り外して状態を確認したところ
一部短絡による小さな欠損がありました。
基板を埋め、
ハトメと銅箔で修繕しました。
端子修繕
端子も欠損しておりましたので
樹脂を充てがい、樹脂充填接着、修繕完了です。
動作確認
まずは、電源基板単体で通電し、問題なく動作しました。
波形も前回と同等の状態です。
これで、ピアニシモカスタマイズに進めます。
カスタマイズ
さて、いつものカスタマイズを実施します。
今回も、電源強化、高調波を施し、ナカミチの魂を生かしてみました。
- 電源強化
超低ESRの電解コンを始め、高分子コンデンサも採用 - 高調波対策
高分子コンデンサ、チップコンデンサを用いて波形を観測
ノイズの低減効果が確認できた値、素子を採用 - トロイダルコアチョークコイル
電力用の電源のコイルにトロイダルタイプを採用。
漏れ磁束が小さく、オリジナルコイルよりESRが小さく効率よく
エネルギーを蓄積します。 - ゲイン調整
このPOpAmpのゲインを-6dBすることで、ハイレベルの入力に対応。
入力のゲインVRでロスするエネルギーロスを、VRの絞りを減らすことで改善 - OpAmp電源強化
OpAmpの電源を放熱のよいTrに交換し、安定化。
平滑も高分子を用います。 - OPA627AU
OpAmpは、孤高のシングルチップOpAmp627を採用。 - 高分子カップリング
高分子のフィルムコンデンサを用いて低歪の音を追求。
容量も大きくして、低域の特性を改善します。 - 密閉 VR
経年変化でも接触不良を起きにく、い密閉型のVRを装着。
きっちりピアニシモ・カスタマイズができているか、一つずつ確認してゆきます。
電源(一次側)
一次側の大きなスパイクを
抑え込みます。
電源(二次側電力)
電力部は、損失していたので、ほとんどカスタマイズ後の特性です。
ここに、高調波対策を施し、超高周波を抑制します。
電源二次側(電圧用)
ピークを抑え込みます
OpAmp電源
対応しました。
出力確認
最後に、出力の状態を確認します。
微小信号
電源が損失していた部分を修復した状態でも、かなり良好でしたが
きっちり高調波対策を施した結果が、観測できました。
周波数特性
カップリングコンデンサをグレードアップしたので、10Hzまで、ストレートに。
サブパワーをしっかりドライブしてくれる特性に。
まとめ
いかがでしたでしょうか、PA-302やPA-304でもこれまで、基板がショートにより損失していることがあり、対応せず、部品取りのアンプにしていました。
しかしながら、PA-301のシリーズは、かなりの経験があり、電源回路は把握できていましたので、トライしてみたところ、無事動かすことができました。
また、基板の接合も、良い方法があったので、きっちり仕上げることができました。
基板もシンプルに仕上げ
焼けてしまった基板と思えない状態に仕上がったと思います。
絶縁紙
電源側の絶縁紙を新品に交換
これで、修理完了です。
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このアンプ PA-301は、サブウーファ用のパワーアンプとしてぴったりです。
少し贅沢ですが、2台でステレオにしても素晴らし音を醸し出してくれると思います。
OPA627の歌声をぜひ、堪能していただければ、嬉しい限りです。
同じ様に、基板が焦げてしまったアンプを捨てられずに、困っている方、ぜひご相談ください。
当方まで、お気軽にメールでお願いします。
(迷惑メール防止の為、メールアドレスはプロフィールご参照ください。)
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カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用した機器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
オシロスコープ(SDS1102)
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。