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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

フルディスクリートアンプ ナカミチ 100PA メンテナンス (21-7)

100PAがまた流れ着きました。外見は良さそうですが、念の為、内部の状態を確認してたところ、やはり一次側の電解コンデンサの液漏れがありました。

早速液漏れ修繕から始めたいと思います。

 

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 はじめに

100PAは、素子のマージンに余裕がある設計ですので、あまり経年変化のダメージは、大きくない方です。この当時のコンデンサは、液漏のアキレス腱があり、本100PAも残念なことに、影響を受けています。

内部状態

内部を取り出し、状態は一見大丈夫そうですが

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一次側の電解コンデンサ付近に液漏れによる侵食が見受けられます。

洗浄後、部品を取り外します。

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部品を外し、確認したところ、抵抗やダイオードトランジスタが侵食され、一部リード線が溶断していました。

 

基板修繕

電解液にさらされている部品を

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電解コンデンサの電源の太いパターンは、研磨で対応できましたが、周辺の回路のパターンが溶断しています。

ハトメ処理

銅箔のPAD(円形の部品はんだ付け配線)が溶けてなくなっているので、

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0.1mmの基板とPADで修繕しました。

 

端子台清掃

電源の端子台も、少し酸化して、黒くなっています。

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ブラシで、清掃してきれいにしました。

 ブリッジ切り替えSWケーブル

ブリッジの切り替えSWへの配線がシールドされていないので、念の為ツイストしてみました。

シールドには及びませんが、それなりに効果はあります。

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動作確認

腐食の影響のあった部品

を交換し、通電確認を行い、無事動作するところまで、復帰しました。

 

早速、正しく動作しているかを確認するため、各部の状態を測定してみます。

 

 

電源入力ノイズ確認

すでに、電解コンデンサを交換しているので、

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良好な状態です。

二次(電力用)

チョークコイルが装備されているので、良好な波形が期待できます。

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PA-304等と同等の良好な状態です。状態は、良さそうですね。

二次(電圧用)

電圧用は、スパイクが少し目立つ傾向がありますが

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それでも100mV程度に収まっています。

出力波形

出力の微小波形で、ノイズ状態を確認します。

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少しチャネルごとに差があるようです。

カスタマイズ

基本的な動作が確認できたので、ピアニシモ・カスタマイズ(高調波対策)を施して、100PAの真価を発揮させたいと思います。

  • 電解コンデンサ
     超低ESRの電解コンデンサや、リップルに適合した容量を選択し低減
  • 高調波対策
     チップセラミックコンデンサを主に使用。単に電解コンデンサのリードに取り付けるのではなく、スイッチング素子の近傍に配置し、高調波を効果的に抑制
  • VR交換
     大型のメタルシールドのボリュームに交換。これにより、入力で失われがちな情報の欠落を防ぎます。
  • カップリング
     高分子フィルムで、低歪化及び、小さいながらも容量アップで、低域のタレを改善。
電源入力

もともと、良好でしたが

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高調波を特に、抑え込みました。

二次側(電力用)

電力用は、大元にセラコンと、末端(アンプ側)にフィルムを装着し

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高調波の反射をおさえ、オリジナルに近い波形にしています。

二次側(電圧)

スパイクが強いので、大型のチップセラコンにより

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スパイクを抑え込みます。

出力確認

一度、高調波対策の効果を、出力波形で確認し、その後行う、カップリングによる周波数改善の確認のための、オリジナル周波数特性の測定を行います。

微小出力波形

オリジナルでは、チャネルごとにだいぶばらつきがありましたが

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だいぶ改善できました。

周波数特性

周辺状態が整ったので、周波数特性がやっと観測できます。

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いつもどおりのかまぼこのとても素直な特性です。

周波数特性(カップリング交換後)

最後にカップリングを交換して、最終特性を測定しました。

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オリジナルを生かしつつ、少しだけ低域の改善がされています。

周波数よりも、低歪の効果があります。

振動アイソレーション

100PAには、振動アイソレーションとして、ゴムのダンパーが搭載されています。
ゴムは、硫化水素のガスの発生があり、状態によりますが、少し、周りを酸化させます。

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ダンパーの軸受が半分取れてしまっていますが、末永く使うため、防錆処理を施しました。

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ダンバーのベースの板金の腐食を研磨して取り除き、プラサフで防錆処理を施します。

 

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残っている軸受にも腐食がありましたので、これもシャシーブラックで防錆処理を施し、取り付けネジを交換、出来上がりです。
 

 まとめ

いかがでしたでしょうか。100PAは、なかなか見かけることの無い、ディスクリートアンプです。電源のメンテナンスを行いさらに低ノイズ化を行うと、ナカミチが目指した音がはっきりと、確実に聞こえてきます。

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もともと優秀な低ノイズと低歪特性は、カスタムの結果、スペックを大きく超えているのではないでしょうか。

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もし、アナログのカーアンプに拘られている方は、ぜひ、一度試してみてはいかがでしょうか。

  

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