PA-200が流れ着きました。このアンプは、音がでないとのこと、早速状態を確認してみると、少し手を加えられているようです。
いつものようにしっかりと修繕し、ナカミチサウンドを蘇らせてみたいと思います。
はじめに
PA-200は、小型でとても使いやすいアンプです。
またHigh入力(スピーカ出力)を接続することもできます。
手軽に、純正アンプのグレードアップに用いることができます。
状態
外見は
特に大きな損傷もなく、いつも損傷し易い端子台も大丈夫です。
(電源の左側は一つなくなっていますが、使用上問題ありません。)
内部状態
内部を確認してみると
著しい損傷等はなく、良いコンディションです。
動作確認
通電しましたが、残念ながら、立ち上がりませんでした。
一次側の電圧を追いかけてみると、4V程度しか印加されていませんでした。
よく確認するとGNDの配線が一部きれていることがわかりました。
修正して、入力電圧が正しく印加されることが確認できました。
動作再トライ
ですが、どうも電源が動きません。PA-200等は、電源制御のコンデンサの劣化で動かないことがよくあります。いくつか交換することで、正しく立ち上がることができました。
出力波形
早速波形を確認してみました。
とてもよい状態であることがわかりました。
カスタマイズ
いつものように高調波対策を含めたカスタム・メンテナンスを施します。
- 電源メンテナンス
高負荷の電解コンデンサを中心にスペックアップした素子に交換します。
超底ESRの電解を用います - 高調波対策
高負荷部分には、高分子コンデンサ、それに状態を見ながら、セラミックコンデンサをを追加し対策します。 - VR交換
ボリュームは、シールドタイプのものと交換します。 - OpAmp電源
PA-200には、OpAmp近傍に電源コンデンサが取り付けられるようになっています。高分子コンデンサを追加します。 - OpAmp
OpAmpには優しい音のmuses8820を搭載します。 - カップリングコンデンサ
少し小さめのフィルムコンデンサが装着されていますので、高分子フィルムに交換し、帯域改善と音質改善を施します。
一次側電源
入力側には、電解コンデンサが搭載されていなかったので、追加。
一次側には、低ESRの高用量の電解コン、高分子を添えてしっかり対策
入力側の不安定だった電圧も安定し、一次側のリップルもきちんと抑え込みました。
二次側(電力用)
電力用はインダクタが入っていませんので少しスパイクが生じますが
これも低ESRの電解コンと高分子をあわせて抑えます。
二次側(電圧用)
レギュレターが後段にありますが、これもきっちり抑えます。
レギュレターの後の電解には、MUSEのKWを採用し、おとの雑味を抑えます。
OpAmp電源
OpAmpの電源は、不安定ですが
高分子コンデンサで、安定化できました。
出力状態確認
最後に出力状態を確認し、カスタム・メンテナンスの検証を行います。
微小出力
もともと良好でした微小信号も
改善効果を確認することができます。
周波数特性
最後に周波数特性を確認します。
カップリングを交換したので、低域の改善が確認できます。
まとめ
PA-200は、とても良いアンプで、Mid Highに使ってあげたいアンプの一つです。
効率のよいスピーカならば十分に歌ってくれます。
もし幸運にもPA-200を見かけましたなら、ぜひ、手に入れられ、その音を楽しんでみてください。古い機種なので、メンテナンスは必要になります。
メンテナンスのBefore/Afterも楽しめます。
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カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用した機器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
オシロスコープ(SDS1102)
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。