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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

Carrozzeria DEH-P810 カスタム編

前回、カロッツェリアの基本特性測定を行いました。少し、高調波が漏れていそうでしたので、調査してみたいと思います。

原因が突き止められ、改善することができるでしょうか。

f:id:MatsubaraHarry:20200304180635j:plain

調査

想定してたのは、出力段のOpAmpの電源が少しリップルノイズが乗っていると考えていました。

しかしながら、ライン出力を追いかけてみるとカップリングの電解コンデンサを通過し、PioneerのLSIに直接つながっていました。

OpAmpの電源を調べれば良いと考えていましたが、甘かったです。

ラインノイズの大元

よくLSI周りをみてみると、対称になった電源回路らしきものが見えます。

 

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どうやらパターンからすると、+/-電源を作っているようです。

この電源の周波数(400kHz)が、出力のリップルの周波数に一致しました。

これが、ライン出力の電源では?と考え、改善してみることに。

ここをOSコンに交換して、改善できると良いのですが。

その他変更

分解したまま、通電は、フレキ接続のユニットがあるため、断念。

組み立てる前に、少し他の部分、電源を強化しておきます。

また、出力ラインに直接入っていた、カップリングコンデンサが入っていましたので、これも特性をみて、変更tanδの小さいものにしました。

  1. Line Output カップリングコンデンサ
    (Tanδが約半分のタイプに)
  2. Line Output Drive 電源
    高分子に変更
  3. その他電源コンデンサ
    高分子もしくは低ESRの電源コンデンサへ。
  4. その他
     SMTパスコン追加(x2)
     Line 高調波抑制フィルタ(SMTフィルムコンデンサ) x4

 

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オーディオ用の部品を使っていないことに、お気づきでしょうか。

 

カスタム改善確認

さて、基板単体で通電ができないので、一気にカスタムしてしまいましたが、どうなるでしょうか。

いつもの、正弦波と矩形波で違いを確認してみます。もちろんFFTでもノイズを覗いてみます。

正弦波(中レベル)

約0.1V程度の出力電圧と、その半分の出力です。

システムにもよりますが、通常聴く音楽レベルでしょうか。

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高調波がなくなっているのがよく見るとわかると思います。

正弦波(小レベル)

数mV程度の出力電圧ですので、ピアニシモや余韻のレベルです。

5mVレベルのカスタム後は、Before/Afterがわかるように波形を重ねてあります。

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正弦波(微小レベル)

かなり小さな(2mV)レベルですので厳しいですが

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カスタムの効果がはっきりと分かります。

 

DEX-P01比較

かなり厳しいですが、DEX-P01と比較してみました。

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互角になりました。

微小電圧がきっちり再生できるかは、 音の、ピアニシモのみならず、余韻や、艶等に影響すると考えています。

FFT解析(小レベル)

正弦波を8mV程度にして、FFTでノイズを確認してみます。

 

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高周波のノイズも、高調波のノイズも抑えられていることがはっきり分かります。

これを、重ねてみると、f:id:MatsubaraHarry:20200304175029j:plain

 違いがよくわかります。

 

矩形波

 

矩形波により、周波数特性に変化が無いことが一目瞭然ですが、さてどうでしょうか。

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変わっていないことが分かります。便利ですね。

まとめ

今回、ヘッドユニットの高調波が気になったので、原因を調べたら、ライン出力の電源のリップルが漏れていたのが分かりました。

少しの変更で、効果は大きいと考えています。音にも、艶や余韻が聞こえるようになってきたと思います。

少し歴史を感じるヘッドユニットですが、基本特性、性能はしっかりしていると思います。最新のヘッドユニットを検討する前に、基本的な作りがしっかりした、少し前のユニットを探してみるのも良いのではないでしょうか。

 

  

 

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Carrozzeria DEH-P810 基本測定(f特/正弦波/矩形波)

丁寧な作りのカロッツェリア DEH-P810が流れついたので、基本測定をしてみたいと思います。ハイレゾ対応ではありませんが、オートタイムアライメントや、16バンドのグライコがついており、Bluetoothも対応しているので、ネットラジオの再生も可能です。

それらの機能は、さておいて、基本性能はどうでしょうか。5Vのプリアウトが楽しみです。

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はじめに

P810は、アンプ内蔵でラインアウトプットがついています。また、DEQ-P9等の外部DSPも接続できます。

今回は、単体のみの確認を行ってみたいと思います。

ラインインピーダンス

まずはじめに、インピーダンスの測定です。同じ正弦波を負荷抵抗を変えて2次方程式を解くと結構正確に算出できます。

スペックは100Ωですがさてどうでしょうか。

条件

  • -20dBの1kHz正弦波
  • ボリューム位置 50 / 62
  • 10k/47kの抵抗

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かなり低めの47Ωです。これならば、アンプ側は、1k程度等の低めでも、さらには、ケーブルのインピーダンスとマッチングとった100Ωでも受けることもできます。

(-6dB減衰してしまいますが)

 

正弦波(0dB/-20dB)

最大音量を測定できます。プリアウトが5Vなので、期待できます。

条件

  • 波形:1kHz正弦波
  • ボリューム位置 62 / 62 (最大)
  • 47kの仮想負荷

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きちんと5Vまでスイングしています。スペック通りです。

正弦波(-40dB/-60dB)

さて、音量を落とした時にどうでしょうか。

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-60dB (1/1000)ですので、本来は4.5mVていどですが、リップルが乗って、波形が大きくなっています。

できれば、このノイズは、取りたいところです。

 

正弦波(1k / 20k Hz)

さて、限界の20kHzの波形を測定してみたいと思います。同じレベルの1kHzと比較してみました。

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約 -6dB 減衰していますが、きちんと再生できています。もう少し減衰が抑えられるとよいのですが。

S/N比 FFT解析

1kHz-60dBの正弦波をFFT解析をして、S/N比率の概算を算出してみたいと思います。

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周囲との差が35dBあるので、-60dBの波形より、

S/N比率=60dB+35dB=95dB

となります。ただし、10kHzが30dBあるので、A補正を加味しても、70dBというところでしょうか。

(プリアンプのSNの基準である、1Vor2Vにすると、更に悪くなります。)

少し気になるところです。

周波数特性

周波数測定を、正弦波をつかって、大まかですが、測定します。

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18kHzから急激に落ちこんでいるのがわかりますが、20kHzも出力されているので、許容範囲でしょうか。

 

矩形波(1kHz)

正弦波を測定するとDACの性能がかなりわかります。

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周波数の成分は

1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21kHz

となっていそうです。

21kHzまで、カバーしているのも、これで分かります。

ソースの違い(CD vs BT)

さて、少し異色になりますが、CDとBTとでf特に違いがあるか、興味があったので、測定してみました。BTの方が音が悪そうに感じていましたが、さてどうでしょうか。

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意外の結果となりました。Bluetoothの方が少し良かったです。特に20kHzの減衰がBluetoothは、僅かです。

これは、内部のDACがCDとBluetoothで異なっていると考えられます。

ちょっとした発見です。

まとめ

さすがに少しビンテージに近いヘッドユニットですので、測定は厳しかったかもしれませんが、基本性能は、しっかりしています。特にラインインピーダンスが47Ωで、強力であることは、嬉しい発見です。またBluetoothの方が音が良いことも分かり、安心して携帯から再生できます。

改善テーマ

 これまでの測定で、改善したいと思う点としては、やはり、ノイズでしょうか。

少し高調波が乗っています。また、1kHzで、8kHz程度にノイズが出ているのもきになります。さすがにこれは、聞こえてしまうでしょう。

もしかすると、冷却FANのノイズかもしれません。

近々、内部の状態を確認して、原因や、改善箇所を探ってみたいと思います。

お楽しみに。

 

DEH-P810の後継機種の一つにDEH-970があります。かなりコストを抑えていますが、十分な機能と性能を兼ね備えています。

カロッツェリア(パイオニア) カーオーディオ DEH-970 1DIN CD/USB/Bluetooth/SD

これも、測定したい一つです。

 

 

  

 

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D級アンプ (Lepai LP-2020A+) カスタム総集編

さて、デジタルアンプ LP-2020Aの高調波(サンプリング)ノイズ対策及び、周波数特性改善を試みていますが、インダクタの調整が最後の課題となりました。

計算上では、フラットでかつ、50kHz以上でカットオフできる設定ですが、周波数が高いため、インダクタの容量がシビアになり少し調整が必要になりそうです。

さて、妥協できる特性と、高調波ノイズの漏れは、対策できるでしょうか。

 

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おさらい

デジタルアンプとは

このアンプやD級アンプは、デジタルアンプと呼ばれることが一般的です。でも、デジタルアンプとは、アナログを二値化し、理論演算で増幅することと思っていましが、違っていたようです。出力段がスイッチング方式であれば、デジタルアンプと呼ぶことができる模様です。

少し、乱暴ですが、このLP-2020A+の想定ブロック図を書いてみました。

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基本的に入力のアナログ信号は、のこぎり波とコンパレータで比較してその出力がPWM波形になり、それでトランジスタをスイッチングしている、基本的な回路構成と思われます。(仕様書に明記されていないので、想像の域です。ご了承ください。)

こののこぎり波が800kHz程度の周波数で行って、D級アンプとして動作しています。

A/DやD/Aは、なさそうです。もちろんDSPや、MPUなんかも不要です。

それでもPWMの幅は、アナログ的に変化しますので、分解能は、素子さえよければかなりよくできる理屈です。

 

これまでの結果

これまで、高調波を対策すべく、コイルの容量をアップしましたが、インダクタの特性が重要。別の68uHのインダクタは歪みもなく良好でした。このインダクタの容量を調整すれば、うまく目的の特性が得られそうである見込みが出たところまででした。

 

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流石に68uHでは、高音の減衰が顕著で使えませんが、

 

波形品質は

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かなり良好です。

コイル・コンデンサ組み合わせ

計算上は、20uH+1uFが良さそうなのは、分かっているのですが。

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コイル・コンデンサ組み合わせ実験

実際のコイルやコンデンサは、高域になると特性が悪くなることがあります。

近傍の値から調整しながら、目的の特性になるか実際に取り付け取り外しを繰り返して、探ってみました。

 

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だいぶ細かく行いましたが、計算通り20uH近傍の19uH+1uFが良さそうです。

高域の減衰率を表にしてみると

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 17uHでもよいのですが、10kHzが少し持ち上がっているのと、高調波の減衰が弱くなるので、19uH+1uFを最終の組み合わせとしました。

 

最終状態

最終状態のf特を標準と比較してみました。

f特

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少し、好みがありますが、このD級アンプに適合した、無理に高周波までせず、フラットで良い感じと思います。高周波を持ち上げると、音声よりも、ノイズ成分の方が多くなりますので。

 

 正弦波

ビフォーアフターで比較してみました。

上が標準 下がカスタム後です

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 正弦波(微小信号)

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まだ数十mVの高調波が観測できますが、このアンプ構成の限界でしょう。

S/N比

このオシロと簡易測定環境では厳しいのですが、60mVの1kHz正弦波と近傍周波数の差が30dBから50dBに広がったのがわかります。(あくまでも目安です)

 

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最大出力が6V程度ですので、目安計算で

 6000mV/60mV=40dB

近傍周波数との差を加算してトータルのSNを算出すると

 オリジナル:70dB

 改善後  : 90dB

高調波も15dBほど改善したのがわかります

 

矩形波

以前矩形は、カップリングコンデンサの影響で、低域が減衰、ひし形になっていました。

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 改善後は、矩形波が再現できるようになりました。

 

よく考えてみると、オリジナルは、意図的に音量をアップしたときに低域を抑えたのではと考えられます。

二つの理由が考えられます。

  • 過電流リミットアップ
     比較的大きな音にしたときに、低域を抑えることで、音量を上げることができます。
  • ラウドネス効果
    ラウドネスに似ていて、小ボリューム時には、低音をフラットに、音量が上がった場合は、少し抑えているようです。
ノイズ

矩形波FFTで、高調波の成分が減っているのが分かります。

(立ち上がりが少し遅くなったとも言えますが。)

また、暗ノイズは50mV程度あったものが16mV程度の1/3になっています。

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電源ノイズ

大元の電源のリップルもいつものように 改善してみました。

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2200uFを3300uFに、また、SMTのセラコンをつけて。

最終形

最終の仕上がりの状態です。

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使用部品リスト

少し実際の部品と違うものもありますが、秋月さんで買い求められるもので、リスト化してみました。

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まとめ 

いかがでしたでしょうか。廉価版のD級アンプの高調波対策とf特改善をなんとか実現できたと思います。また、このLP-2020A+は、フルデジタルアンプtと言うよりは、スイッチングアンプと言う表現の方が合っていそうです。

カスタムで、安心して、聞ける様になってきました。PCの小型スピーカ等に良いと思います。

OpAmpの電源改善や、その他の改善要素もありますが、サンプリングノイズをさらに良くできた場合、まだ考えてみたいと思います。 

 

 

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D級アンプ インダクタ歪対策(Lepai LP-2020A+)

これまで、LP-2020A+を解析、改善を行ってきましたが、インダクタを変更すると正弦波が変形してしまう問題がありました。

この問題は、インダクタの仕様に起因するのか、容量そのものに起因するのか、解析し、対策したいと思います。

そして、理想のf特と低高調波性能を獲得することが、できるでしょうか。

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おさらい

ブロック図

 ブロック図を少し、訂正しました。出力は、電源とGNDを切り替えて出力しています。

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Zは、ドライバの仮想インピーダンス値です。

測定環境

 

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いままでと、測定方法は、同じです。

 

理想のハイカット値

インダクタとコンデンサの値を変化させ、理想の値を探ってみました。

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計算上でも、前回までの測定でも、標準の10uHと.47uFでは、高域が持ち上がり、またPWM周波数のカットオフも心もとないです。

20uH+1uFのフラットかつ高調波カットの特性を目指してみました。

インダクタ20uH+1uF

20uHは、手元にあったトロイダルコアに0.4mmのニクロムエナメル線(ポリウレタン線)を使って作ってみました。トロイダルコアの素材スペックがなく、とりあえず巻いて20uHに調整して作成しました。

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 基本波形確認

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結果は、良好なのですが、正弦波に歪みが見られます。

これを20kHzで観測すると

20kHzの波形

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正弦波が三角波になっています。

これは、コアに問題があるのか、インダクタの容量に問題があるのかを見極めたいと考え、手元にある10uHを装着して、試してみました。

コア実験(東光10uH)

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標準のコアより若干サイズが小ぶりなタイプです。

東光10uHコア 正弦波(1k / 20kHz)

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正弦波では、あまり差がはっきりしませんが、20kHzでは、若干良くなっているように見えます。

東光10uHコア 微小信号

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非小信号では、高調波が少なくなっているのが分かります。

これは、東光のインダクタは標準のインダクタより、高調波抑制に効果があることが分かり、相性が良さそうです。

東光10uHコア f特

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同じ10uHでありながら、高周波の減衰が大きいのが分かります。20kHzまでは、標準と同じで、高調波帯域に効果があることが、周波数特性からも分かります。

波形との関連が成り立っています。

 

68uHコア実験

20uHインダクタが入手できなかったので、68uHで電流の大きめなものを(3A)使って
容量により波形が歪むか実験してみたいと思います。

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(写真はすでに解いて、20uHに調整してあります。)

68uHコア 正弦波(1k / 20k)

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68uHでも波形が歪むことがありませんでした。波形の歪はどうやら磁性体にあるようです。

68uHコア 微小信号

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 さすがに68uHだけあります。かなり高調波が抑制されているのが分かります。

68uHコアf特

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流石に周波数は、1kHzで、-5dBになってしまいます。

まとめ

正弦波の歪は、コアの磁性材に依存することがわかりました。最初の20uHのコアは、EMI対策で、強力であるのが起因しているようです。最初のコアは、6巻で20uHですが、68uHは、24巻程度で同じ値の20uHになることが、この後行った、実験で分かりました。磁性体により、4倍も違うことを、実感しました。

恥ずかしながら、インダクタを制作するには、100巻したときのインダクタの値(AL値)が載っているものを使わなくてはならないことを学びました。

つづく

後日、この68uHを20uH程度に解いて、目標の高域をフラットとして、かつ800kHzのPWM高調波の漏れを対策してみたいと思います。お楽しみに。

 

 

 

 

  

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D級アンプ高調波対策(Lepai LP-2020A+)

廉価版のデジタルアンプをいろいろな角度で測定してきましたが、高調波の対策が必要なことが分かってきました。

ご承知のとおり、デジタルアンプは、高周波でPWMにて音声信号を出力しています。そのPWMはこのLP-2020Aでは800kHzととても高周波で行っております。
スピーカにも、耳には聞こえない高音ですが、この高調波がどうしても漏れてしまいます。

さて、その漏れをどこまで抑えることができるか、試してみたいと思います。どうなるでしょうか。

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 はじめに

ブロック略図

今回の測定箇所を簡単にブロック図で書いてみました。
デジタルアンプのTA-2020はFET等でスイッチングされ、その出力は、ハイカットフィルタを介してスピーカに接続されています。

 

 

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PWM信号(TA-2020出力波形)

まず、TA-2020からの出力信号、PWM信号とは、どんな信号か見てみました。

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音声に何も接続しないときのコントローラからの出力です。

常に、Duty50%の波形がスピーカへ出力しようとしています。ただ、ハイカットフィルタが入っていますので、ほとんど出力されません。

20kHz時のPWMとスピーカ信号

緑がPWM信号、黄色がスピーカへの信号です。

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信号の幅と20kHzの正弦波の波形の関係がおわかりになりますでしょうか。
高いレベルのときに、PWMはLowの時間が長く、低いレベルのときは、Highの時間が長くなっています。なんか逆では?

じつは、測定の関係上 PWMはマイナス側信号を観測しているからです。

 

イカットフィルタ

もう一度ブロック図をみてください。単純にLとCで-12dBのハイカットネットワークになっています。
(他にもインピーダンス・マッチング回路が追加していますが省略しています。)

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このパラメータでどの程度のハイカットになっているか調べてみます。

WEBで調べたのですが、比較的低周波数のスピーカの略式のものしかなく、角速度まで含めたのがなかったので、あとで、Excelで計算しやすいようにまとめてみました。

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コンデンサとコイルのインピーダンスとCRの合成インピーダンスを元に求められます。これをエクセルで解析してみると。

標準のハイカット特性

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 PWMの周期で約-40dBの減衰のフィルタになっていました。

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それでもPWMは、12Vあり-40dBでは、1/100程度にしかなりません。100mV程度の高調波が漏れている計算です。

少し残念な値です。

イカットパラメータ調整

少しハイカットのコンデンサやコイルを変更してみてどの程度効果があるか計算してみたいと思います。コンデンサを0.47uFから1uFに、そして、コイルは10uHを20uHで計算してみました。

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コンデンサだけで変更すると、一部上昇してしまうところがあるのがわかります。

面白い結果です。LとCの角速度により一部フィルタで出力が上がっている箇所があります。合成のインピーダンスが下がり、見た目上の出力が増えるためでしょうか。

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それぞれ、800kHzで、8dB、14dB改善しますので、半分、1/4程度が期待できます。

高調波対策結果測定

微小電圧時の波形

100mV程度の1kHzの正弦波と矩形波を測定してみました。

標準では、結構な高調波で、波形が太くなっているのが分かります。

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正弦波効果観測

 

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だいぶきれいになりました。(それでもアナログアンプと比較すると...)

矩形波効果観測

矩形波も同じ様に観測してみます。

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随分よくなりました。

周波数特性

周波数測定を確認の為行いました。

標準では、100Hz以下が下がっていましたが、カップリングコンデンサの容量不足であることが、分かっておりましたので、同時に交換しています。
(10uFのmuse BPを使用)

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ほぼ、シミュレーション通りです。

正弦波確認(1kHz)

ところが、1kHzの波形をよく見てみると、コイルが20uH時の波形が、歪んでしまっています。

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一番下の波形が20uHの手巻きコイルの場合です。

この原因は、おそらくコイルを手巻きした為、振動により歪んでしまっているのではないかと想定しています。

コイルの歪対策を追加しています。

D級アンプ インダクタ歪対策(Lepai LP-2020A+) - pp audio blog

 

 

つづく

高調波は、概ね1/4約20mV程度になりましたが、手持ちに20uHがなく、手巻きで作成した為、波形が歪んでしまうという現象が発生してしまいました。

この20uHのパラメータは、正しいと思いますので、発振、振動防止コイルで試してみて、またご報告したいと思います。

 

 

 

 

  

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D級アンプ 特徴測定(Lepai LP-2020A+)

前回に続いて、少し細かい特徴を測定してみたいと思います。

特に矩形波が出力が大きい場合と小さい場合でちがっていたので、それを探ってみたいと思います。

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(ご注意:本測定データは、個人測定になり、実際のアンプの特性と異なる場合があります。あくまでも参考データとして、閲覧お願いいたします。)

 

特徴測定

特徴として、最大出力近辺の挙動や、微小信号時の状態を確認したいと思います。

 

無信号時ノイズ

少し意地悪ですが、無信号時のノイズを拡大して測定してみました。

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これを拡大すると

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870kの正弦波が出てきました。45mV程度あります。また、ゆらぎがあります。
DACでないので、ジッタは、サンプリングと出力との時間差がなければ、大きな影響はないとも考えられ、また、CR発振ゆえの現象が観測できたのではと考えています。

正弦波検証

微小信号

小さな信号時、サンプリングの高調波でわからなくなる手前を測定してみました。

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限界出力調査

限界出力はどの程度か、また、歪み始めるとどんな挙動を示すか見てみたいと思います。

正弦波限界

歪み始めるギリギリのところです。

 

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 5.5Vですので、8Ωですので3W強というところでしょうか。電源の問題かもしれません。4Ωでも6W強となります。少し小さい様です。

正弦波(限界間際)

少し出力を上げてみると

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頂点のところが発振しているように見えます。

正弦波(クリップ)

さらに上げると

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クリップします。DC10Vできっちりクリップします。

限界付近で発振があるものの、致し方ないでしょう。

S/N比計算

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信号が60mVで、周囲のノイズが-30dBですので、10^(30/20)=30ですのでノイズは2mVの計算。

信号の最大が6Vですから20*log10(6000/2)=70dB程度になります。

 

矩形波特性

矩形波を測定してみます。徐々に大きくしてみます。

矩形波 (1V)

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オーバー/アンダーシュートありますが、矩形です。

矩形波 (2.5V)

少し上げてみます。

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平らな部分に段が見られはじめました。

矩形波(5V)

5Vまで持ってゆくと、

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 段が更に大きく。

矩形波限界 (6.8V)

クリップ限界では、

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だいぶ台形になっているのが分かります。

矩形波限界超 (8V)

きついですが、8Vまで上げると

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だいぶ発振が見られます。

矩形波微小時 (約100mV)

概ね100mVに合わせてみました。

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高調波がおおきいのすが、それを除けば100mVの矩形波です。

 

つづく

本アンプの特徴を探るべく少し変わった測定をしてみました。矩形波は、そのアンプの特徴を測定するのにかなり有効で、レベルにより、矩形波の形が変化するのが分かりました。レベルが高いと低域が出にくくなる現象が矩形波の観測で捉えられたと思います。

流石に、高調波は、聞こえないとはいえ、もう少し抑えたいと思います。

次回は、ハイカット等を調整できるか、試してみたいと思います。お楽しみに。

 

 

 

  

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札、ご検討ください。

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D級アンプ その素性を測定(LP-2020A+)

D級アンプは、効率の良さで小型化が可能で、今日の簡単なアンプならばほとんどD級になっていると思います。アナログのアンプを語るには、デジタルアンプも調べておきたいと、少し旧型ですが、LepaiのLP-2020A+を測定してみました。

このLepaiのアンプは、多くの方が、評価や改造を行っていますが、ここでは、まず、測定で、このアンプの思想を見れたらと考えてみました。

さて、簡単な測定でこのデジタルアンプの特徴や、素性が観測できるでしょうか。

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(ご注意:本測定データは、個人測定になり、実際のアンプの特性と異なる場合があります。あくまでも参考データとして、閲覧お願いいたします。)

 

調査測定内容

 測定は、D10の出力を直接アンプに接続し、出力は、抵抗機に接続、オシロで測定します。1KHzの正弦波/矩形波FFT、そして周波数測定等を行ってみたいと思います。

測定環境

 測定は、PCに波形発生プログラムwaveGeneをDACにD10を使い、ダミー負荷は8Ωiのセメント抵抗を用いています。測定器はSDS1102です。

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無信号時

無信号時のレベルをまず測定します。

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オシロスコープのGNDプローブもノーマルで、PCも起動したままですので、暗ノイズはそこそこあるのは既知でしたが、スピーカレベルなので、通常は、デジタルオシロの測定限界程度になると考えていました。ですが、デジタルアンプは少し多めなことが分かりました。

デジタルアンプは、BTLなので、マイナス側がGNDでないのも要因の一つですがそれでも、ノイズが結構観測できます。

基本1kHz正弦波

いつもの1kHzの波形を観測することから始めます。

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波形が太いことがわかります。拡大すると、デジタルアンプのサンプリングが観測できます。少しハイカットが弱い気がします。

 

矩形波(1kHz)

1kHzの矩形波を観測。

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オーバシュートが大きいですね。それに、低周波数が弱いため波形が台形になっています。これは、レベルにより少し変わってくるみたいです。追加でアナログアンプの比較の矩形波は、少し様子が違っています。

アナログとの比較

ここでアナログアンプ(PA-202)と比較してみます。
PA-202はppバージョンでそこそこカスタムしてあります。

正弦波比較

上がD級アンプ、下がアナログアンプです。

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波形は、一目瞭然で、当たり前ですが、アナログアンプには、高調波は見られません。

矩形波比較

比較のため矩形波は、再度測定して、レベルを少し下げてあります。

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デジタルもレベルを落としたからでしょうか。台形ではなく、矩形に近づいています。

ただ、オーバー/アンダーが大きく、波形がサンプリング周波数が載っているため太くなっているのが分かります。

矩形波比較(FFT)

矩形波は、その波形の特性上、基本周波数の逓倍がサンプリング周波数まで積算され構成されています。さて、その特徴が観測できるでしょうか。

 

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デジタルアンプは、ハイカットの為、130kHzで落ち込んで、150kHzでサンプリングの周波数でしょうか、盛り上がりがあります。

一方アナログは、200kHzまできちんと伝搬しています。

周波数特性

さて、周波数はどうでしょうか。

 

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低域も20Hzで-6dB、高域は、逆に20kHzで+1.4dB程度上昇。

ロウカットとハイカットのフィルタに調整の余地がありそうです。

ちなみに少し、意地悪ですが、アナログと比較すると

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となりました。もう少しデジタルも調整できるのではないでしょうか。

ヒアリング

 波形では、だいぶ極端ですが、ヒアリングでは、低域の物足りなさはありますが、パッと聞いた状態では、そんなに悪い印象はありません。

高域は、15kHzからの上昇なので、音質への影響は極端でないことが知らていてます。

それでも、あえてデジタルを選択する意味を見出すことはできませんでした。

 

考察

このデジタルアンプLP-2020A+は、デジタルの特徴がよく観測できるアンプです。普通ならばサンプリングの高調波を嫌いハイカットをもう少しきつくすると思うのですが、周波数をハイエンドの50kHzまで持ってゆくため、抑えているのでしょうか。

ローカットは、コンデンサの容量の関係でしょうか。これも少し改善しても良いかもしれません。

つづく

いかがでしたでしょうか。このアンプは、みなさん、工夫されてオペアンプ交換や、コンデンサ交換されています。アンプ自体も構成が微妙に違っているという話があり、この測定が皆さんのお手元のアンプと同じとは限りません。
でも、OpAmpを交換する前にローカットとハイカットを少し異調整する余地があるのではないでしょうか。

このあたりを調整して、また、皆さんに紹介したいと思いますので、お楽しみに。

 

 

 

 

 

 

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