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D級アンプ高調波対策(Lepai LP-2020A+)

廉価版のデジタルアンプをいろいろな角度で測定してきましたが、高調波の対策が必要なことが分かってきました。

ご承知のとおり、デジタルアンプは、高周波でPWMにて音声信号を出力しています。そのPWMはこのLP-2020Aでは800kHzととても高周波で行っております。
スピーカにも、耳には聞こえない高音ですが、この高調波がどうしても漏れてしまいます。

さて、その漏れをどこまで抑えることができるか、試してみたいと思います。どうなるでしょうか。

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 はじめに

ブロック略図

今回の測定箇所を簡単にブロック図で書いてみました。
デジタルアンプのTA-2020はFET等でスイッチングされ、その出力は、ハイカットフィルタを介してスピーカに接続されています。

 

 

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PWM信号(TA-2020出力波形)

まず、TA-2020からの出力信号、PWM信号とは、どんな信号か見てみました。

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音声に何も接続しないときのコントローラからの出力です。

常に、Duty50%の波形がスピーカへ出力しようとしています。ただ、ハイカットフィルタが入っていますので、ほとんど出力されません。

20kHz時のPWMとスピーカ信号

緑がPWM信号、黄色がスピーカへの信号です。

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信号の幅と20kHzの正弦波の波形の関係がおわかりになりますでしょうか。
高いレベルのときに、PWMはLowの時間が長く、低いレベルのときは、Highの時間が長くなっています。なんか逆では?

じつは、測定の関係上 PWMはマイナス側信号を観測しているからです。

 

イカットフィルタ

もう一度ブロック図をみてください。単純にLとCで-12dBのハイカットネットワークになっています。
(他にもインピーダンス・マッチング回路が追加していますが省略しています。)

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このパラメータでどの程度のハイカットになっているか調べてみます。

WEBで調べたのですが、比較的低周波数のスピーカの略式のものしかなく、角速度まで含めたのがなかったので、あとで、Excelで計算しやすいようにまとめてみました。

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コンデンサとコイルのインピーダンスとCRの合成インピーダンスを元に求められます。これをエクセルで解析してみると。

標準のハイカット特性

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 PWMの周期で約-40dBの減衰のフィルタになっていました。

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それでもPWMは、12Vあり-40dBでは、1/100程度にしかなりません。100mV程度の高調波が漏れている計算です。

少し残念な値です。

イカットパラメータ調整

少しハイカットのコンデンサやコイルを変更してみてどの程度効果があるか計算してみたいと思います。コンデンサを0.47uFから1uFに、そして、コイルは10uHを20uHで計算してみました。

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コンデンサだけで変更すると、一部上昇してしまうところがあるのがわかります。

面白い結果です。LとCの角速度により一部フィルタで出力が上がっている箇所があります。合成のインピーダンスが下がり、見た目上の出力が増えるためでしょうか。

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それぞれ、800kHzで、8dB、14dB改善しますので、半分、1/4程度が期待できます。

高調波対策結果測定

微小電圧時の波形

100mV程度の1kHzの正弦波と矩形波を測定してみました。

標準では、結構な高調波で、波形が太くなっているのが分かります。

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正弦波効果観測

 

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だいぶきれいになりました。(それでもアナログアンプと比較すると...)

矩形波効果観測

矩形波も同じ様に観測してみます。

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随分よくなりました。

周波数特性

周波数測定を確認の為行いました。

標準では、100Hz以下が下がっていましたが、カップリングコンデンサの容量不足であることが、分かっておりましたので、同時に交換しています。
(10uFのmuse BPを使用)

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ほぼ、シミュレーション通りです。

正弦波確認(1kHz)

ところが、1kHzの波形をよく見てみると、コイルが20uH時の波形が、歪んでしまっています。

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一番下の波形が20uHの手巻きコイルの場合です。

この原因は、おそらくコイルを手巻きした為、振動により歪んでしまっているのではないかと想定しています。

コイルの歪対策を追加しています。

D級アンプ インダクタ歪対策(Lepai LP-2020A+) - pp audio blog

 

 

つづく

高調波は、概ね1/4約20mV程度になりましたが、手持ちに20uHがなく、手巻きで作成した為、波形が歪んでしまうという現象が発生してしまいました。

この20uHのパラメータは、正しいと思いますので、発振、振動防止コイルで試してみて、またご報告したいと思います。

 

 

 

 

  

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