これまで、LP-2020A+を解析、改善を行ってきましたが、インダクタを変更すると正弦波が変形してしまう問題がありました。
この問題は、インダクタの仕様に起因するのか、容量そのものに起因するのか、解析し、対策したいと思います。
そして、理想のf特と低高調波性能を獲得することが、できるでしょうか。
おさらい
ブロック図
ブロック図を少し、訂正しました。出力は、電源とGNDを切り替えて出力しています。
Zは、ドライバの仮想インピーダンス値です。
測定環境
いままでと、測定方法は、同じです。
理想のハイカット値
インダクタとコンデンサの値を変化させ、理想の値を探ってみました。
計算上でも、前回までの測定でも、標準の10uHと.47uFでは、高域が持ち上がり、またPWM周波数のカットオフも心もとないです。
20uH+1uFのフラットかつ高調波カットの特性を目指してみました。
インダクタ20uH+1uF
20uHは、手元にあったトロイダルコアに0.4mmのニクロム線エナメル線(ポリウレタン線)を使って作ってみました。トロイダルコアの素材スペックがなく、とりあえず巻いて20uHに調整して作成しました。
基本波形確認
結果は、良好なのですが、正弦波に歪みが見られます。
これを20kHzで観測すると
20kHzの波形
正弦波が三角波になっています。
これは、コアに問題があるのか、インダクタの容量に問題があるのかを見極めたいと考え、手元にある10uHを装着して、試してみました。
コア実験(東光10uH)
標準のコアより若干サイズが小ぶりなタイプです。
東光10uHコア 正弦波(1k / 20kHz)
正弦波では、あまり差がはっきりしませんが、20kHzでは、若干良くなっているように見えます。
東光10uHコア 微小信号
非小信号では、高調波が少なくなっているのが分かります。
これは、東光のインダクタは標準のインダクタより、高調波抑制に効果があることが分かり、相性が良さそうです。
東光10uHコア f特
同じ10uHでありながら、高周波の減衰が大きいのが分かります。20kHzまでは、標準と同じで、高調波帯域に効果があることが、周波数特性からも分かります。
波形との関連が成り立っています。
68uHコア実験
20uHインダクタが入手できなかったので、68uHで電流の大きめなものを(3A)使って
容量により波形が歪むか実験してみたいと思います。
(写真はすでに解いて、20uHに調整してあります。)
68uHコア 正弦波(1k / 20k)
68uHでも波形が歪むことがありませんでした。波形の歪はどうやら磁性体にあるようです。
68uHコア 微小信号
さすがに68uHだけあります。かなり高調波が抑制されているのが分かります。
68uHコアf特
流石に周波数は、1kHzで、-5dBになってしまいます。
まとめ
正弦波の歪は、コアの磁性材に依存することがわかりました。最初の20uHのコアは、EMI対策で、強力であるのが起因しているようです。最初のコアは、6巻で20uHですが、68uHは、24巻程度で同じ値の20uHになることが、この後行った、実験で分かりました。磁性体により、4倍も違うことを、実感しました。
恥ずかしながら、インダクタを制作するには、100巻したときのインダクタの値(AL値)が載っているものを使わなくてはならないことを学びました。
つづく
後日、この68uHを20uH程度に解いて、目標の高域をフラットとして、かつ800kHzのPWM高調波の漏れを対策してみたいと思います。お楽しみに。
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