ナカミチのPA-202のメンテナンス記録です。
状態が不明でしたが、運良く手に入れることができました。中を確認するととてもきれいな状態でした。
いつものように、とっておきのナカミチに仕上げたいと思います。
はじめに
PA-202は、ナカミチのパワーアンプの中でも数少ない単一基板のアンプです。
構造がシンプルで、使いやすい出力で、比較的小型に作られています。
仕様
40Wの出力はフルレンジや、ツイータ、ミッドバス等ならば十分にドライブできます。
外観
かんたんなクリーニングをおこなったところ、とても状態がよいことがわかりました。
(Topのヒートシンクとエンブレムに僅かな傷のみです。)
端子も状態がよく
ネジがれ等は殆どありません。大事にされてたアンプに違いありません。
内部
内部をあけてみても
液漏れ等は、見当たりません。基板もとても良い状態です。
実装
今回は、状態がよかったので、早速カスタムしてみました。
- 電解コンデンサ長寿命化
- 電源、一次、二次の高調波対策
- 電力用フィルタにトロイダルコア採用
- GAINボリュームに密閉型のメタル大型品
- カップリングに高分子フィルムを採用
- MAX18VのOpAmp搭載可 仕様へ(デフォルトは19Vから電圧ダウン)
- OpAmpの電源容量のアップ
- OpAmpのICソケット化(OPA627等可能)
実装は、じつにシンプルです。
動作確認
早速動作確認を行いました。単純な音出しでは、カスタムの検証になりませんので
- BIASや電源電圧調整
- 電源ノイズ確認
- 出力波形確認
- 周波数特性確認
最低限必要な項目を実施します。
確認環境
かんたんな設備ですが、きちんと確認が行えます。
電源確認
いつものブロック図になります。
入力と、出力の電源の状態を測定します。
入力電源ノイズ
入力ノイズは、僅かですが
ほとんど確認できない状態になりました。
電源(一次)ノイズ
スイッチングノイズが大きい一次側ですが
いつものようにきっちりと押さていることが確認できました。
二次側(電力)ノイズ
フィルタが効いているので、良好ですが
トロイダルコアのフィルタへの交換と、チップコンデンサの追加できちんと抑えています。
- コイル tanδ:0.09->0.05
理想のコイルとの差ですが、これが0に近いほど、実抵抗値が小さいことが分かります。また、磁力の漏れがトロイダルコアですと少ないことも利点です。
二次側(電圧)ノイズ
電圧用は、後段に電圧安定回路が入るため、スパイクはゆるされるのですが
高調波は抑えておきます。
出力確認
出力の状態を確認します。
微小信号
もともと、ノイズの少ないアンプですが
僅かですが、ノイズ対策が、確認できました。このわずかな差ですが、数mVレベルの音量の場合、この影響は、大きいです。
f特
周波数特性もきちっと確認しておきます。
いつみても、使いやすい特性です。高域はよくばらず、でも、ハイレゾの対応はちゃんと網羅されていますね。
まとめ
このPA-202モデルは、とても扱いアンプで、かつ、きっちりメンテナンスすれば、末永く使えるアンプです。
デジタルアンプで小型化が進んでいますが、このサイズのアンプであれば、アナログでも車に搭載可能ではないでしょうか。
一度このアナログの心地よさに包まれてしまうと、もう戻れませんので、ご注意ください。
もし、当方へ、メンテナンスや、特性の測定のご依頼をご希望の方は、プロフィールに記載されていますアドレスにてご相談承ります。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。