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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

JBL GTO755.6 II カスタム・メンテナンス②(メンテナンス)

JBL GTO755.6 パワーアンプをチェックするに従って、電源はとても丁寧な作りになっていることが、分かってきました。
その効果がでしょうか、とても良好な電源ノイズ。
カスタム・メンテナンスの経過とともに、丁寧な電源の作りを紹介します。

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 おさらい

GTO755.6の状態は、とても良いものでした。コンデンサ等の劣化も初見では、見つけられませんでした。(詳しく調べると、小さなコンデンサが2つほど、損傷がありました)

スイッチの劣化は、洗浄で修復し、機能としては、問題ない状態になりました。

 

電源構成

このアンプは、2つ電源を搭載しています。サブウーファ用と、フロント+リア用の構成です。また、入力のフィルタや、出力のフィルタも装着されきちんとノイズ対策が施されています。

 

修繕

基板をよく確認すると、コンデンサが2つほど損傷していることがわかりました。

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電解液が飛び散っておらず、助かりました。

OpAmp補助コンデンサ

イコライザ基板の下に隠れてわかりませんでしたが、OpAmpの補助用コンデンサが膨らんでいます。

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どうやらBIAS用抵抗に触れて、熱による損傷の様です。
高さの関係があり、OSコンに。(リップルは小さいので、長寿命も期待できます。)

OpAmp用電源抵抗

OpAmpの電源を別の巻線より生成しており、電圧降下用の抵抗が発熱傾向にああります。

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よく見ると、被覆が剥がれていました。

2Wから3Wの抵抗に置き換え、放熱しやすいように工夫してみました。

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コンデンサもフィルム化。この効果は、下の電源のメンテナンスで紹介します。

 

RCA 入力GND接触不良

測定をしていると、ノイズが大きくなることがありました。RCAのコネクタを抑えるとノイズが小さくなります。

よくコネクタをみると、引っ掛けの足が、Frontのみ短くRearとSWが長い

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なにやら嵌合の跡も確認できました。
どうもこのGNDの金属カバーが抜けてしまい、取り付けたのですが、方向があるように見えないため、GNDの接触が悪くなったと思われます。

方向を全部合わせて、

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抜け防止にエポキシを少し塗布して、完了。

忘れてならないRCAのなくなっていたRCAの赤のリングも別のRCAのコネクタから加工装着しました。

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蘇りましたね。

 

電源カスタマイズ

いつもの電源カスタマイズですが、今回は、電源が良好ですので、スムーズに進もと思い楽しみです。

 

入力側ノイズ

もともと小さいノイズですが(少し倍率が大きい)

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特に入力側は変更していませんが、一次側の変更で、ほとんどノイズが観測できないほど良好に。

一次側

もともと0.1V以下の良好状態でしたが

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20mV以下にすることができました。これは、もともとのフィルタの相乗効果です。

二次側(電力)

二次側も0.1V以下で良好でした。

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すごい効果ですね。無理なく、約80mVから10mV程度まで低減することができました。

OpAmp電源(大元)

OpAmp電源は、ツェナーダイオードで生成する、低ノイズタイプになっています。

f:id:MatsubaraHarry:20210228145140j:plain出力側(C2側)は、ほとんどノイズを観測することができない良好な状態でした。

初段(C1側)は、多少ノイズが測定できましたが、今回は少し変わった対策で。

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温度が高いので、ケースタイプのフィルムコンデンサにて対応しました。

リップルは、若干残っていますが、その緩やかな波形は、後段のツェナーダイオードで十分吸収できるレベルになります。

 

OpAmpパスコン

パワーアンプでは、なかなか見かけることができないのですが、OpAmpの近傍にパスコンが、しかも正負両方に装着されています。

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セラミックコンデンサでしたので、メタライズドフィルムにしておきました。

出力信号

修理も終わり、最終の状態確認をおこないました。

 

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ノイズ対策効果を確認することができました。

 

フロントの波形と比較で、リアも確認してみます。

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最後にサブも確認します。

ローパスフィルタが入っていますが、高調波は、伝搬することがあります。

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大丈夫ですね。

周波数特性

最後に周波数特性を全チャネル測定実施します。

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サブウーファは、Freq.:MAX、100Hzでレベルをあわせて実施しました。

きれいな、申し分のない特性ですね。無理にフラットにせず、使いやすい特性だと考えます。

まとめ

不具合要因

オーナの方が感じられていた、高音が悪い等の症状は

が、要因でした。すべて修繕し、電源を整え、オリジナルの響きを取り戻せたと思います。

 

GTO755。6の大きさの理由

 圧倒される大きさの理由は、出力容量のみならず

  • 独立した2つの電源回路
  • 各電源の随所に設けられた大型フィルタ
  • 二段平滑コンデンサ
  • OpAmp用専用電源
  • OpAmpのパスコン配置

という、設計コンセプトによるものだと、感じました。

みなさんは、どう感じられましたでしょうか。

最後に

最後まで、閲覧ありがとうございます。

JBLは、デジタルアンプのカスタマイズもしています。

 

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もし、当方へ、メンテナンスや、特性の測定のご依頼をご希望の方は、プロフィールに記載されていますアドレスにてご相談承ります。

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オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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