JBLのClassDのカーアンプ Stage A6004を測定する機会に恵まれましたので、その性能を測定してみたいと思います。
ClassDは、サンプリングの高調波も漏れ対策が不可欠ですが、どのような工夫がされているでしょうか。
はじめに
Stage A6004
オーディオ機器の老舗として有名なJBLです。カーステレオ向けに、高級路線でビジネスを進めていますが、当方では、使う機会がほとんどありませんでした。
クラスDのアンプで、このサイズで60W x4ch 240W定格 最大560W(ピーク)絞り出すことができるとのことです。
外観
D級アンプの特徴で、とても軽量、驚きの小ささです。
サイズは、CDサイズを少し大きくした程度です。
測定
波形測定や、周波数特性の測定、簡易的なのですが、SN比も計算してみたいと思います。
測定環境
測定環境は、PCに波形発生プログラムwaveGeneを使って、DACのD10で発生しています。
基本正弦波(1kHz)
まずは、1kHzの波形の測定から観測してみます。
少し高調波で波形が太くなっているのが確認できます。
最大出力レベル
-20dBから少しずつ大きくしていって、波形がクリップするところまで測定してみました。
真ん中の波形が出力のおおよその限界レベルになります。
右下は、クリップしているのがわかると思います。
(11.97V)*(11.97V)/4Ω = 35.8W
60Wは、少し厳しそうですね。電源が13.8Vなので、もう少し高い電圧であれば、もっと出るかもしれません。
微小レベル正弦波
いつもは-20dBで、2V程度の波形を基本としています。
少し、ClassDのサンプリングが確認できます。
-60dBにしてしまうと、1kHzの波形の確認がきびしいです。
ClassDの波形
ここで、ClassDの波形を確認してみましょう。
サンプリングの300kHzは、とても綺麗な正弦波です。
SN比
FFTで基本波の1kHzが振り切れない程度の出力レベルに調整して、測定しました。
FFTのレベルが振り切れないのが、-30dBの条件でした。
その時のSN比が波形上、SN比が、約60dBに読み取れますので、先程の最大の出力レベル時が-4dBなので
トータル、86dBになります。
出力が倍(+6dB)になっても、90dB程度が実力でしょうか。
高域波形
ClassDでは、厳しい測定になりますが、20KHz以上の波形がどんなふうなのか、確認してみましょう。
かなり高調波が観測できます。これでも人の耳には、高調波の有無が分かるのは、難しいのでしょうが、あまり気持ちの良い波形ではありませんね。
周波数特性
さて、周波数特性を観測してみましょう。
10Hzまでほとんどフラット、これは、低域重視のアンプで有ることが伺えます。
スペックでは20Hz~20kHz(-1dB)とあります。少し、30kHzあたりが大きくなっています。可聴範囲ではありありませんが、ハイレゾのツイータを使った場合、20kHz以上がたくさん含まれているソースの再生には、注意が必要になるかもしれません。
f特(アナログアンプとの比較)
アナログアンプのナカミチと比較してみると
PA-200は30W程度で、サイズも同等程度。最大出力も測定するかぎりでは、35W程度です。
どちらかというとこのA6004は、サブウーファーか、MidLow等の使い方が良さそうだと考えられます。
Lepai LP-2020A+との比較
少し高調波のもれを他のD級アンプと比較してみます。出力容量が違いますが。
どうしても今回のA6004は、高調波の漏れが大きそうに見えます。
まとめ
今回JBLのA6004を簡単に測定してみました。小型で低周波数までフラットで、MidLowやサブウーファー向きではないでしょうか。
意外と高調波のもれがありますので、ツイータを直接接続するのは、注意したほうが良さそうです。
引き続き、改善ができるか内部を調査してみたいと思いますので、お楽しみに。
2020・6・21
出力段のフィルタを2次から4次に対策したがその結果は、下記をご覧ください。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札、ご検討ください。