小型で使いやすいクロスオーバネットワークEC-200のカスタマイズを行いました。
2Wayのクロスで、サブウーファを追加する際、シンプルな機能でとても使いやすくデザインされています。
はじめに
ナカミチのクロスオーバは、周波数の切り替えは、全てスイッチにより設定します。
本EC-200もボリュームに見えますが、セレクタスイッチで的確に周波数を切替えます。
実は、上記の写真は、底面側で
正面のつまみは
整然と配置され、直視せずに操作も容易です。
ボリュームに、クリック感があるタイプで、とても調整がしやすいです。
仕様
EC-204の仕様を調べてみました。
同じ2WayのクロスオーバのEC-204と比べてみました。
わずかに違いがありますが、基本性能歪や、SN比は、同等で素晴らしい仕様です。
入力インピーダンスは高めですので、高めのインピーダンスのヘッドユニットもきっちり受け取ってくれるでしょう。
素性確認
簡単に、状態を確認してみます。
周波数特性
周波数特性を簡単に測定してみました。
設定
High:50Hz
Low:220Hz
コンパクトながらとても素晴らしい性能です
微小信号(-60dB)
SNを見るため微小信号-60dBを観測してみます。
拡大していますので、少しノイズが見えます。ですがとても良好な状態です。
電源確認
一次側
電源回路を確認してみます。
電源はプッシュプルのDCコンバータが搭載されています。ACが出力され、外部で整流し、DCを生成してます。
入力のコンデンサは、省略されていました。
電源状態を確認してみると
多少みられますが、良好です。コンデンサを割愛しても実質問題は無いでしょう。
二次側
二次側を確認してみます。
リップルが観測できますが、とても良好な状態といえます。
二次側(フィルタ後)
フィルタを介した後、OpAmpに供給されます。
ノイズは、殆ど消え、良好です。
OpAmp電源
実際のOpAmpの電源を観測します。
少し見られますが、パスコンを追加することで、測定限界になりそうです。
カスタマイズ
カスタマイズは、波形を観測しながら、部品交換をしてみます。
一次側
コンデンサを取り付けられるようになっていますので、高分子タイプをつけてみました。
良好ですね。
二次側
コンデンサを電源用低ESRに変更
想定の効果が確認できました。
二次側(フィルタ後)
フィルタ後のコンデンサも高分子タイプに変更。
念の為フィルタ後の波形を行いました。
測定限界ですので、同等ですが、問題が無いことが確認できました。
(時折、発振等が起こる場合があります)
OpAmp電源
いつものようにOpAmpの電源にセラコンを取り付けました。
ラジラルリードタイプのセラコンは、取り付けが簡単で効果バツグンです。
微小信号
さて、これまでの地道な対策が出力波形に現れるでしょうか。
僅かですがノイズが小さくなったと思います。測定のプローブで拾うノイズが小さくなったかもしれませんが、放射ノイズが小さくなった証として判断して良いと思います。
まとめ
じつは、EC-204を中心に扱ってきたので、あまりEC-200を注視していませんでした。
ですが、測定結果をみると、そのサイズを超えた実力が隠されていたことが分かりました。
なかなか、見かけることができないEC-200ですが、小型で、手元において調整が簡単にできるのはとても良いと思います。
最後に、OpAmpを低歪でリーズナブルなOPA1652に交換して、仕上げました。
注意点
- ボリュームは、あまり絞らず
これらのEC-200のボリュームは出力に装着されているので、パッシブボリュームと同じで、絞ってしまうと、音に良くないことがわかっています。
絞る量は、2,3割程度で調整し、その後、パワーアンプのゲインを調整して、1割以下にすると、理論的に良い方向になります。
- 入力近傍の大きな電解は、ディレイ用
入力に大きめの電解コンデンサがついていますが、これはリモートの遅延用です。電源用ではないので、大容量の電解コンデンサは、厳禁です。
ご参考になれば、幸いです。
EC-200Hもメンテナンスしました。
ナカミチ クロスオーバ EC-200H カスタム・メンテナンス 2021-06 - pp audio blog
同じ様にとても良い性能です。
これまでのクロスオーバのメンテナンスは下記よりご参照いただけます。
クロスオーバネットワーク カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。