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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

PA-300 II カスタム(基本特性測定、電源カスタム、波形確認)(2020 9・7更新)

PA-300もかなりメンテナンスを行っており、少しずつ進化しています。
一番の進化は、測定の方法が、ノイズだけではなく、実波形を観測し、周波数や、FFTによる歪の観測ができるようになったことだと思っています。

今回も、PA-300IIのメンテナンスの機会に恵まれましたので、これまでの経験を生かしてメンテナンスしてみたいと思います。

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 基本測定

PA-300II 特色

PA-300はPA-300にゲインボリュームとハイパス入力を追加したモデルです。

それにより、回路上は、ほとんど一緒です。

PA-300シリーズは、ストレート(カプリングなし)、出力までフルディスクリートアンプです。(フィードバックにはOpAmpが採用されています。)

DCアンプとは呼べなさそうですが。

基本1KHz(FFT)

1kHzの基本波形をFFT演算とともに測定してみました

 

 

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PA-304との比較

前回PA-304の電源ノイズレスカスタムを行ったので、それと比較してみます。

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まだ、電源をカスタムしていないからでしょうか、PA-304の方が良好に見えます。

この真意は、後日電源カスタム後の結果をお待ち下さい。

 

周波数特性

周波数特性を測定してみました。

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高域は、40kHz手前から少し落ちてきますが、DAC限界まで伸びています。

DACの特性

参考のために使用したDACの周波数特性を比較してみました。

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DACが20k以上になると、少しずつ落ち込むのがわかります。このDACの限界でしょうか。ナカミチのアンプは、高域の伸びがあるので、もう少し、良いDACがそろそろ必要になってきました。

PA-304との比較

PA-304と比較してみました。PA-304は、DCカプリングが入っていますので、違いはあるでしょうか。

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10Hzで1dB程度落ち込むのがわかります。PA-300は、ストレートで気持ちが良いです。

PA-300のアンプのファンが多いのは、この特性も一つの要因なのかと思います。


電源カスタム

電源のカスタムをしてみました。基本的には、長く使えるように電源の電解コンデンサを交換し、高調波ノイズを小さくする工夫を施します。

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一次側

スイッチングノイズが大きく発生する部分です。1V近くリップルがあり、エネルギーが大きいのが一般的です。

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実は、電解コンデンサを2200uF x3から4700uF x3に変えてた結果なのですが、
1V Overがやっと1V切る程度のこうかでした。

気を取り直して、いつものSMTをつけます。

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P-P自体は、さほど落ちていませんが、高調波が激減しているのがわかります。
もう数個22uF追加すればさらに効果でるのですが、入力側に漏れるか確認して対応を決めます。

入力側

入力側の確認も大事です。

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ヘッドユニットの電源に高調波を与えることになると、ラインに高調波が戻ってきてしまうかもしれません。

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少しびっくりの波形です。右肩上がり。高調波の成分が多い。

ノーマルは、こんな状態だったのですね。(いつもすぐ処置してしまったので、わかりませんでした。)

おそらく、これは、電源ラインのインピーダンスが合っていないので、反射が起こっているのでしょう。

これは、ターミネーションとして、コンデンサ追加が必須です。

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コイルが入っているので、インピーダンスが高いので、効果テキメンです。

これならば、一次側の改善は、十分です。

二次側(電力)

以前と同じですので、簡単に。

 上から標準ー>コンデンサ交換->セラコン追加

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二次側(電圧)

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無理なく、落ち着かせることができました。

FFTも参考までに。

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波形確認

出力波形(スピーカ出力)の同等条件での波形比較を行いました。

FFTで電源カスタムの効果は、確認できるとよいのですが。

 

1kHz

上が、オリジナル状態、下が、カスタム後と、オリジナル(白)を重ねてあります。

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大きな変化は、見られません。少し残念です。

5kHz

いくつか周波数を替えて確認してみます。

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数本、ひげがなくなっています。若干高調波も下がっているように見えます。

 

16kHz

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5,6本のひげがなくなっています。

25kHz

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さらに細かなひげがふえていますが、綺麗になくなっています。

40kHz

DACの限界状態です。

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25kHzとほぼ同等の効果があります。

追加測定(2020・9・7)

 オーナ様より、最新の状態にするため、一度戻ってきました。

 Vrの交換と、入力段のリップルの改善です。

一次入力リップル

 高分子コンデンサを追加しています。電解コンデンサ+高分子+セラミックの

あわせ技は、効果的です。

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さらに半分になりました。

微小信号

2020の春すぎより、微小信号の観測で、ノイズを確認しています。

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とても良い状態です。

 

f特

最後に周波数特性を確認しています。

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Vrの交換とゲインの変更が効果を上げています。

まとめ

シグナルは、高調波ノイズが少なくなっているのが分かりました。細かなところですが、この様なことが、音の良し悪しに関わっているのだと、思います。

 

電源カスタムを行うことで、電源ラインへの放射ノイズが激減することがわかりました。また、出力ラインの高調波ノイズも小さくなっていることも確認できました。

これからも、電源と音の関連を、なるべく簡単な測定で、確認してゆきたいと思います。

  

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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