メンテナンス、チョークコイルの効果で電源の高調波ノイズが程よく、抑制できました。出力のノイズも見違えるようにきれいになりましたが、まだ少し定在波がきになります。
どうやらアンプ回路ではなくプリ部のノイズの様です。うまく改善して、きっちり仕上げたいと思います。
おさらい
前回電源のカスタマイズで、出力にチョークコイルを挿入
電源を行い出力のスパイクを抑制できました。
ですがどうも発振気味です。
プリアンプの電源を切るとこの発振は止まります。どうやらプリアンプに原因がありそうです。
カスタマイズ
プリアンプの初段を解析して、発振の原因を解明してみたいと思います。
プリアンプカスタマイズ
一般的にパワーアンプはライン入力に1Vrmsで最大出力になるように設定されています。そのため、パワーが大きなアンプほど、ゲインが大きくなります。
このアンプも125W出力ですので、アンプのゲインは大きめであることになります。
初段アンプ回路
初段のOpAmp回路を調べてみると
ゲインが22倍の大きめの値になっていることがわかりました。
OpAmpのゲインは、10倍以下に抑えたいところです。
入力が3Vの時に最大になるように計算すると
OpAmpのゲインを約7倍程度にすれば良いことになります。
出力波形確認
出力波形の変化をFFTを用いて確認してみました。
1kHz(左の一番大きなヒゲ)と他の周波数のレベルが大きくなっているのがわかります。
重ねてみると
電源ノイズ対応ではっきりしてきたOpAmpの発振と思われるノイズがなくなり
全帯域において改善されていることがわかります。
最初と比べて、20dBは、改善していそうです。
出力確認
微小信号
微小信号はスパイクが目立ちましたが。
抑えることができました。
周波数特性
最後に周波数特性を確認して、回路の変更に問題ないか確認します。
実は、ゲインを落とすと、ノイズ抑制用のコンデンサの影響が大きくなり、高域特性が減衰することがわかっていますので、予め補正しました。
高域はオリジナル同等の特性を保持し、低域は、カップリングコンデンサの交換で改善しました。面白いことに、フィルムコンデンサは、意外と低域特性の改善が顕著です。
まとめ
大きなボディで圧巻されましたが、なんとか、カスタマイズ完了することができました。
- 一次側電源メンテナンス
入力総コンデンサ容量アップ(11mF ->16mF)
高分子電解コン装着
チップセラコン追加 - 二次側電源メンテナンス
ブロックコンデンサ交換
(一部容量アップ) - 高調波対策
チョークコイル追加
チップセラコン追加
パスコン容量変更 - OpAmp部
ゲイン補正
パスコン追加
ICソケット化 - カップリングコンデンサ
高分子フィルムコンデンサ化
オリジナルの音を継承しつつ、ノイズをきちんと抑制し、電源を強化したカスタマイズが実現できました。
トランジスタ固定ブラケットもしっかり腐食防止を施しましたので、末永く使っていただけ様にになったと思います。
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カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札を
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使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。