EC-200に続いて、MID/ツイータ用のEC-200Hをカスタム・メンテナンスしてみたいと思います。
EC-200も数が少ないですが、EC-200Hはさらに少なく、なかなか見かけることがありません。当方の取り扱いも、数台程度です。
小型ですが、電源が優しい回路で、内部の状態はほぼ問題ないのが嬉しいです。
はじめに
EC-200Hは、システムにツイータを追加するためのクロスオーバです。
純正オーディオにツイータを追加する際にレベル調整とカットオフを手元に簡単に切り替えられ、とても重宝します。
EC-200H仕様
外見は、EC-200とほぼ同じで、周波数の数値が異なるだけです。
切り替えは、1.8kから、6kまでの5種類を選択でき、とても実用的に作られています。
外観
幅が120とコンソールD1サイズより、小さく薄いので、スペースが無い車にも工夫次第で取り付けられます。
裏面にシルクが施されています。
表面は、QCのシールのみです。
操作部
シンプルで、とても使いやすい操作パネルです。
状態確認
早速状態を確認してみます。
微小信号
High側出力は4kHz、Low側は1kHzの微小信号を確認しました。
とても良好です。
電源状態
一次側
EC-200Hの電源入力には、コンデンサがついていました。
それにより高調波ノイズは抑制されていて、僅かなリップルが確認できるだけになっています。
二次側(フィルタ前)
二次側は、きれいな三角波が確認できます。
とても良好です。
二次側(フィルタ後)
フィルタ後も念の為確認します
測定限界状態で、とても良好です。
カスタマイズ
カスタマイズは、電源のノイズの抑制を中心に行います。
その後、良好な環境が整ったところで、OpAmpを載せ替えます。
一次側
セラコンがついていたので、高調波はありませんでしたが、
小さめの容量の高分子コンデンサに交換し、高調波もなく、かつ振れも抑えることができました。
二次側(フィルタ前)
電解コンデンサを低ESR品で、少し容量を小さくし、対策。
かなり良好になりました。
二次側(フィルタ後)
フィルタ後は、もともと良好でしたが、念の為確認します。
良好で、異常な変動は生じていません。
OpAmp電源
OpAmpの電源もパスコンでしっかり整備します。
これで、安心です。
出力確認
カスタム後の出力を確認します。
周波数特性
ネットワーク設定を
Low側:8k
High側:1.5k
として測定しました。
グラフでは高域が落ちているように見えますが、40kHzで-1dBいないですので、とても優秀です。
高域の減衰は、回路上意図的に取り入れているようです。ノイズを考慮した結果と考えています。
また、-18dBの減衰特性が、きちんと確認することができました。
微小信号
はじめに1kHz(Low側)を確認します。
もともと良好だったのですが、
オリジナル同等であることがわかります。
同じ様にHihg側も
同等です。
まとめ
EC-200Hは、電源のノイズ対策がほどこされ、オリジナルでも良好でした。カスタマイズを行うことで、大きな出力での改善は、確認できませんでしたが、各所の測定で改善が確認できていますので、安心してOpAmpを交換できます。
底板補修
外観はとても良好でしたが、底板を強く磨いたのでしょうか、少し気になりましたので、シボ塗装でしあげしてみました。
満足な仕上がりですが、残念ながら、裏側ですし、おそらくコンソール内部に隠れてしまうでしょう。
OpAmp
OpAmpは超低歪、低消費電力のOPA1652を採用しました。
とても小型で低消費電力ですので、ACアダプタをつかって、ホームオーディオのマルチアンプ化にも、つかいいやすいと思います。
あまりお見かけできないのが、とても残念です。
でも、もし見かけたら、外見は、多少くたびれていても、壊れるところが少ないので、てに入れてみては、いかがでしょうか。
これまでのクロスオーバのメンテナンスは下記よりご参照いただけます。
クロスオーバネットワーク カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。