DACの出力をダミー負荷を使って、インピーダンスを測定、また、信号の安定度や、ケーブルの違いを前回確認してきました。
ラインレベル信号検証 基本編:DAC-X6J確認 - pp audio blog
今回は、入力負荷(インピーダンス)によって、このラインレベルがどの様に変化するかを簡単に確認したいと思います。
前書き
オーディオのラインレベルは、一般的にロー出し、ハイ受けが良いと言われますが、では、いくつがハイでいくつがローでしょうか。
送り出しは、100Ωが理想で、1k以下が基準になりそうですが、入力は、高い方が良い=入力感度が良い。と言われる方もいらっしゃいます。
入力は、50kが普通だと言う話もあります。
でも、私は、伝送経路は、電圧ではなく、なるべく多くの電流にすべきで、伝送経路のインピーダンスも均一に近づけるべきと考えています。なぜ、高くする考えが根強いのか、その理由がしりたいと。
DAC出力特性測定
前回も測定しましたが、測定方法は、下記のように、Line出力にオス-オス後にダミー負荷抵抗を接続して測定。
測定結果は、20kHzまで+/-1dB以内の優秀は波形です。
少し、悪そうに見えますが、傾向が見えるように拡大しています。
ここで、若干ですが10kの負荷(負荷が小さい方)が18kHz付近で高くなっているように見えますが、22kHzの落ち込みが小さいので、総合の変動幅が小さくなっています。
1mケーブル時負荷変動
これを、廉価版標準のケーブルカモンの1mを介し、DACの出力特性誤差を補正し、ケーブルの減衰をグラフ化すると
これでも、受信のインピーダンスが低いと、高域の落ち込みが小さくなることがわかります。
低インピー受信時高域の減衰改善の理由
これは、ケーブル等の伝送媒体には、どうしてもGNDとの間に、静電容量が寄生します。200pFの寄生容量があった場合、おおよそ40MΩのインピーダンスとなります。
等価回路にすると
これと入力インピが並列(R1とC)になるので、入力インピが低い方が計算上で、総合インピーダンスの変動が、わずかに小さくなることになります。
(本来は、ケーブルの成分はLとRですが、省略しています。)
これにより、もともとの低インピーダンスが低いと、Cによるインピーダンスの影響が受けにくなり、高域減衰が改善されます。
ケーブルの違い
廉価版カモンと、プロ用マイクケーブルカナレとの違いを測定してみました。
カナレは、抵抗値が小さいのと、静電容量がわずかに小さいので、改善しています。
高速伝送時との違い
高速伝送の場合、1MHz以上で、PCIe GEN4は、10GHz以上にもなります。
こうなると、伝送路の寄生容量が効いてきて200pFの寄生容量だと、100Ω以下なります。(この時線材のインダクタンスは、考慮していませんが)
低周波数で動作するとケーブルのインピーダンスは、とても高くMΩ台ですので、50kΩでも十分終端となりますので、反射が起きないことになります。
ただし、送信側の高調波ノイズが伝送経路に乗ると、受信側をハイで受けると、ターミネーションできないため、そのまま伝送されてしまいます。
これは、カーオーディオでHUの電源ノイズがアンプから聞こえてしまう原因の一つと考えられるので、例えば50kを10kに下げられると、1/5になることが期待できます。
まとめ
入力インピーダンスの変化の確認は、まだ始めたばかりですが、入力インピーダンス低くした場合まとめてみました。
メリット
- 入力インピーダンスが低い方が、ケーブルの減衰影響を受けにくい。
- 可聴帯域は、低周波数帯域(100kHz以下)の為め、伝送路のインピーダンスは、MΩ以上と大きい。
- 50kの入力インピーダンスでも終端として機能する。
- 入力インピーダンスを低くすると、高調波ノイズの終端効果が得やすい。
デメリット、
- 出力インピーダンスとの比率で、レベルが下がる。
また高いインピーダンスですが、それでも、入力インピーダンスが低い方が良くなる傾向は、測定及び、簡単な理論で検証できたと思います。
また、電流値が大きいことで、SN比は改善されることも用意に導けます。
今回のDACの出力が、少し高めですので、低いDAC(100Ω)により、もっと低い1k、最終的には伝送経路のインピーダンス程度100Ωにするとどうなるかも検証してゆきたいと思います。
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