車載のプリアンプとして、このSTP-480kは、こだわり抜いた一つではないでしょうか。
コントロールユニットからのリモートでボリュームやトーンコントロールを制御し、振動アイソレーションも対応。
バブル時代だから製品化できたのではと思えます。
そんなSTP-480Kが新古品として流れてきました。
早速状態を確認して、カスタム・メンテナンスしてみたいと思います。
はじめに
STP-480のブロック図を再度見てみましょう
ヘッドユニット(コントロールユニット)とプリアンプのユニットに分かれています。
CDやAUXは、プリアンプにダイレクトに入力し、パワーアンプへ接続。音質の劣化を最小限に抑えることができるように設計されています。
状態確認
ヘッドユニットは、未使用品でしょうか。
とてもキレイな状態です。
プリアンプは、少し使われた形跡があります。
動作確認
早速電源を入れたのですが、コントロールユニットは、きちんと通電しますが、プリアンプの電源が入らないことが判明。
電源は、コントロールユニットから供給されスタンバイ時には電源が来ているのですが
Power Onすると、印加電圧が3V程度にしかなりません。
少し厄介です。
色々調査したところ、
コントロールユニットのコネクタが溶け、接続が切れていました。
樹脂本体も少し溶けていましたが、なんと補修することができました。
GNDが切れてしまったため、リモート制御のトランジスタも交換となりました。
故障モード
通常GNDに流れる電流は、
プリアンプの消費分(0.5A程度)ですが
パワーアンプのGNDの接続が切れてしまうと
RCAのGNDを介しておおきな電流が流れてしまったと、考えられます。
パワーアンプのGNDの接続は、しっかり確保することが、重要であることを再認識しました。
カスタマイズ
今回のカスタマイズはヘッドユニットが未使用でしたので、プリアンプを中心に行います。
- 電源カスタマイズ
高負荷の電解コンデンサを低ESR品に交換
リップルの低減を行います - 高調波対策
チップセラコン及びOpAmpには、一つずつセラコンを取り付けます。 - カップリング
出力段のOpAmpのカップリングには、高分子コンデンサを採用 - OpAmp(muses8820)
ディスクリートのOpAmpはソケット化、ナカミチピッタリのmuses8820を装着 - OpAmp入力コンデンサ
OpAmpの差動入力にコンデンサが装着されていますが、高周波数が逆に上昇していしまうことがわかっていまので、調整を施します。
OpAmpパスコン
チップのOpAmpにも
一つずつパスコンを取り付けます。
電源確認
プリアンプは省電力ですので比較的リップルノイズは小さめです。
いくつか調整を行い
リップル低減を実施。
状態確認
微小信号(CD入力)
微小信号を少し拡大して確認。
低歪の波形であることが確認できました。
(右側が高調波が若干大きいのは、STP-480の傾向です)
微小信号(AUX2,Tuner)
同じ様にAUX2とTunerも確認
Tunerは、Tunerからの出力が高めのため、プリアンプのゲイン他より-6dBになっています。
周波数特性
周波数特性を最後に確認します。
3バンドのトーンコントロールが装着されていますが、100kHzまでフラットな見事な特性です。
AUX2も同じ様に
Tunerは、-6dBなのでノイズマージンが大きいため、高域の補正はオリジナルのままとしています。
まとめ
車載用プリアンプの最高峰であるSTP-480(TP-1200)は、やはり歴史のあるアンプですので電源のメンテナンスは必須です。
パワーアンプの近傍にプリアンプを配置できるシステム設計からは、オーディオへのこだわりが感じられます。
そんなアンプをカスタム・メンテナンスすることにより、現在のマテリアルで、さらなる低歪化を実現。
末永く、オーナの元でナカミチサウンドを奏でてくれると思います。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用した機器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
オシロスコープ(SDS1102)
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。