ナカミチPA-202のメンテナンス機会に恵まれました。
10年ほど保管していたとのことですが、さて、うまくメンテナンスができるでしょうか。
はじめに
PA-202は、比較的小型の約25cmx25cmサイズで、とても扱いやすいアンプです。
MIDやツイータに使うと美味しいパワーバンドにフィットしたときの奏でる音は、たまりません。
内部状態
早速分解して、内部を確認してみます。
ハンダ面状態
裏蓋をあけると、基板のハンダ面状態が簡単に確認できます。
セラミックコンデンサの追加等の工夫がされていますね。
少し、液漏れがあった様で、レジスト(緑の保護皮膜)が剥がれています。
部品状態
いくつか部品がすでに交換されているのがわかります。
電解コンデンサの液漏れがり、修理で交換されたのでしょうか。
最低限の処置ですが、著しく腐食がすすむのは防げたようです。
仮洗浄
基板がまだ腐食液が残っているようですので、洗浄してみます。
パターンは溶断せずに残っていますが、少し侵食されているのが分かります。
電源状態確認
そのまま、電源を入れることができそうですので、簡単に電源の状態を測定しておきました。
入力ノイズ
入力ノイズが大きいと、内部の状態が悪いことが懸念されますが
コンデンサが交換されているので、良さそうです。
二次側(電力用)
電力用も確認してみると
標準的な状態で有ることがわかります。
二次(電圧用)
電圧用は、スパイクが標準でも大きめですが
標準程度のノイズ(ピークで100mV以下)です。
修繕
液漏れは、部品を交換のみでは、電解液が残ってしまい、腐食が進行することがあります。
ジャンパ線が腐食で黒くなっているのがわかります。
基板が一部黒くなっているのは、部品固定の接着剤でしょうか。
部品取り外し
大きな部品を取り外し確認します。
そんなにひどくは無いのですが、接着剤に電解液が染み込んでいるのでしょうか。
黒くなっています。きれいに剥がします。
固定シール材剥離
錆びてしまったジャンパを取り外し、シール材を剥離します。
ジャンパは22本外すことになりました。
パターン研磨
電解液でハンダが酸化してしまい、そのままでは、はんだ付けがゆきません。
面倒ですが、半田を吸い取り、その後、かるく水研ぎします。
部品の穴も一つずつ、ドリルで揉んで、きれいにします。
ジャンパ取り付け
ジャンパを新しいものに交換します
赤丸は、基板が腐食してしまい、パターンが弱くなったところをハトメで強化しています。
部品取り付け
部品を取り付けします。
- 電解コンデンサ
あまり大きなコンデンサではなく、周波数帯域にマッチした低ESRを装着 - 抵抗
赤丸は抵抗が腐食してしまったので、交換しています。 - コイル
コイルは、トロイダルコイルにして、ESRを小さく、かつ磁気漏れを抑えます。
電源の効率化と、低ノイズ化になります。
つづく
これで、電源が新品同等になったので、動作確認とノイズレベルの確認にすすみます。そのご、ピアニシモ・カスタマイズへと進めて、30年前のアンプに音楽を奏でる生命力を吹き込んでみたいと思います。
これまでのPA-202のメンテナンスは、下記よりご覧になれます。
PA-202 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
また、PA-304は、下記よりご参照ください
PA-304 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。