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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

ピュア アナログパワーアンプ PA-300II カスタム・メンテナンス(整備録)21-07

先日、PA-300を2台ほどサルベージして、復活させました。
もう一台、眠っていたのを思い出しましたので、慣れているうちに続けてメンテナンスしてみたいと思います。
少し分解され、修繕を試みた機体ですが、外見も小綺麗にメンテナンスできました。
もちろん、内部は、ピアニシモ仕様で、ゆったりと聴けるカスタム仕様になっています。
そんなPA-300IIのカスタム・メンテナンスの整備録になります。

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 はじめに

ナカミチのアンプでもカップリングの入っていない、DCストレートは、このアンプだけでしょうか。
ゲインも入力を絞るのではなく、フィードバックにて対応しています。

(すなわちゲイン調整は、アンプの表情が少し変化します。)

仕様

黒アンプは、後継機より、スペックが良い部分が少しあります。

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出力は75Wで通常に使う分には十分なパワーがあり、歪や、SN比は、後継機種よりも優れています。

外観整備

もともと、外観は、ダメージが少なかったので、タッチアップと、フロント、リア、底板パネルの塗装でしあげました。

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端子台は、代替品に交換しました。

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底板も、シャシーブラックで塗装し、耐環境性をアップしました。

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基板状態

基板はとても良好で、腐食等は、ありませんでした。

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パターンが一部剥がれていたところがありましたが、補修で対応。

  • 電源配線補強
     オリジナルは、線材で補強していましたが、銅線にて処理
  • GND配線
     ヒートシンクを経由してアースが接続されていましたが、配線接続に変更
  • 高調波対策
     いつもの高調波対策を随所に施工しています。
     OpAmpにもセラコンを追加しています。

 

実装部品

無理のない実装を心がけています。

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素子の交換効果を確認しながら、最適な容量を、適切なサイズで実現しています。

電源カスタマイズ

PA-300の後継機の電力用電源には、フィルタが装着されているのですが、PA-300IIには、ありませんが、十分な特性を実現しているので、必要なかったのではと思います。

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電源入力ノイズ

入力側は、高負荷なので、予めいつもの高寿命、低ESRの部品と交換ずみです。

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最初から、いい感じの状態になりました。

さらに高調波対策を施し、標準のデータと比較してみると。

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メンテナンスの効果がはっきりと確認できます。

二次側(電力)

PA-300は、フィルタが装着されていないので、多少スパイクが観測できますが

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いつもの

 高分子コンデンサ+低ESR電解コンデンサ+セラコン

にて施工すると

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落ち着いた状態になります。

二次側(電圧)

電圧用もその尖塔波形が厳しいです。

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これも

 低ESR電解コンデンサ+チップセラコン

にて抑えます。

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効果的な、組み合わせ方法で、合理的に抑えることができました。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、誘導と反射のノイズが観測されると考えています。

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エネルギーは小さいので、セラコンで抑えることができます。

出力波形

最後に、微小出力と周波数特性を確認します。

微小出力

ナカミチは、ノイズが少ないので、-80dBの状態で確認できます。

(海外のアンプの多くは-60dBで同様の波形になります。10倍違いますが、それは、目指しているところがちがうためと。)

標準機との比較になりますが

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わずかですが、確実に改善していることが分かります。

周波数特性

最後に周波数特性を確認します。

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いつ見ても、素直な音が見えてきそうな特性です。

まとめ

連続で、PA-300IIをメンテナンスして、極上の状態にしあげてみました。

少し歴史のあるアンプですので、ゲインを少し落とし、使いやすくしています。

この他細かなカスタムをしています。

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基板状態

基板は、突飛実装はせず、いつものようにスッキリ仕上げています。

追加のコンデンサも、一見すると、どれが追加しているかわからないと思います。

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セラコンをスチコンに変更等、少しおまじないも行っています。

突入電流測定('21 Jul28)

PA-300IIは、ガラス管ヒューズが使われています。念の為、突入電流を観測し、ディレーティングがどの程度あるのかを測定してみました。

最初に通常のリモートでの突入です。

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ゆっくりと電流が流れていて、きちんと制御されているのがわかります。

 

続いてコールドスタート。

アンプの内部回路を放電させ、車載した時を想定しています。

内部のコンデンサチャージ分の電流が一気に流れますが、コイルのフィルタが装着されているので、突入はある程度、抑えられます。

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それでも瞬間100Aを計測しています。

突入の電流のマージンは、熱量のジュール計算で確認することができます。

 

短い時間の条件で、電流x電流x時間が、一定になります。

管ヒューズは、0.1秒以内であれば、一定になることが、グラフから読み取れます。

15Aのヒューズは、900 A^2 tで

突入は、放電電流の為、ピークの電流が38%になる時間を求めします。

約88  A^2t

となり、10倍のマージンがあることになり、安心して使えることがわかります。

 

最後に

あくまでもPA-300IIの整備録ですが、なにか、ヒントになるポイントがありましたでしょうか。最後まで、閲覧ありがとうございます。

やっぱり、PA-300II と言いたいアンプです。

もし、運良く巡り合わせることができましたら、ぜひ、一度、聞いてみてはいかがでしょうか。

これまでのPA-300シリーズは、下記よりご覧になれます。

PA-300 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

 

もし、オークションでPA-300IIやLimitedを見かけたらご検討されてはいかがでしょうか。

 

今までのPA-300のメンテナンスは、下記よりご覧になれます。

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カスタムナカミチアンプ


オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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