いつも整備して楽しい、PA-302のカスタム・メンテナンスの整備録になります。
今回はPA-302Sバージョンです。随所にSバージョンが散りばめられています。
今回も、ピアニシモからフォルテシモまでしっかり奏でるとびっきりのPA-302に仕上げてみたいと思います。
はじめに
PA-302は、80W x2chの余裕の出力アンプです。
その性能は、出力だけではありません。
以前のブロック接続図引用になりますが、
電力用のコンデンサがアンプ基板にもふんだんに搭載されているのが特徴です。
これにより、ピアニシモでもノイズが小さく、かつフォルテシモも対応できる仕様になっています。
カスタム・メンテナンス
今回は状態がよいので、そのままカスタム・メンテナンスを行います。
- 電源強化
電解コンデンサを低ESR品と交換、容量アップしかつ、高周波特性を改善 - 高調波対策
チップセラコンを用いて、高周波のスパイクノイズを低減 - GND接続係数変更
アースとRCAのGND間インピーダンスを変更し、低域から高域までノイズ低減 - OpAmp電源
様々なOpAmpの適切な様に電源電圧を16Vに調整。 - 高分子フィルム・カップリング
癖のない、超低歪の高分子フィルムを採用。低域から高域まで単一でカバー - スチロールコンデンサ
1000p以下をスチロールへ交換。一つずつは僅かな違いですがトータルでは
大きな効果をもたらします。 - 大型密閉VR
ゲインボリュームに大型シールドタイプVRを採用 - OPA627AU
孤高のOpAmp627を採用。ダブルチップを駆動可能なよう電源容量もアップ
入力ノイズ
入力ノイズは、一次側や二次側の対策の相乗効果がみられます。
一次側は、いつもの約0.3V程度になり、とても、良好です。
二次(電力用)
フィルタをトロイダルコアに交換、アンプ基板側に大きめのコンデンサを装着できるので初段は、容量を程々にし、高周波数を低減します。
低ESRかつ、小さめの電解と、セラミックコンデンサの仕上げで、20mV程度に仕上げました。
二次側(電圧用)
電圧用は、フィルタが割愛され、スパイク少しありますが、後段に定電圧回路があるので、さほど気にしなくてよいのですが
伝搬しやすい高調波を、チップセラミックでしっかり抑えました。
OpAmp電源
OpAmpの電源もいつもどおり、仕上げました。
- 電圧変更 19V->16V
musesを装着するので、16Vに落とします。
電圧を落とすことで、電流容量もアップします。 - トランジスタ、抵抗
供給電圧を落とすことで、降下電圧が上昇、それにより抵抗の電流が上昇。
供給電流がアップします。 - 平滑コンデンサ
オリジナルでは、セラコンですが、高分子の電解コンを採用、
高周波と、低周波改善させています。 - パスコン
OpAmpの直下にセラコンを取り付け、高調波のターミネーションを実施
OpAmpの電源は、とても重要なので、きちんと対策します。
出力確認
最後にピアニシモカスタムの確認として、出力信号を確認し、カップリングを交換します。
微小電圧
PA-302はオリジナルでも優れたSN比を誇りますが、拡大すると少しノイズが見られることがあります。
ピアニシモ・カスタマイズで、きっちり高調波ノイズを抑えることができました。
周波数特性
カップリングに、高分子フィルムを採用します、色付けがほとんどなく、歪も感じられ、かつとても小型で搭載が合理的にできます。
小型なので、容量も4.7uから倍以上とし、低域も改善できます。
電解コンデンサをカップリングに使う場合、高域のタレを防ぐため、小さなフィルムコンデンサを並列に使います。
この、高域補正のコンデンサを今回も、取り除いていますが、高域特性を保持しながら、容量アップで、低域を改善ができました。
大きなフィルムコンデンサを無理に装着するより、シンプルで、合理的な施工です。
まとめ
外見もきれいに整備し、端子も磨いて、耐電流の高い、ニッケル端子端子ネジと交換。
正面も小キズ程度
底板、側板も、塗装しなおしました。
完成です。
OPA627AU
最初から、独特の響きが聞こえてきます。
エコーが少ない、歴史的な名演奏を聞くと、その奏者の気持ちが伝わってきます。
表現が乏しくなかなかお伝えすることが出来ません。ぜひ、一度試してみてください。
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このアンプは、使い方一つで、びっくりするような音を奏でてくれます。
PA-302シリーズは、内部に余裕がありますので、状態のよいPA-302を見つけられたら、ぜひ、手にしてみてください。ご自分で、カスタムしても良いですし、難しかったら、当方まで、お気軽にメールでお願いします。
(迷惑メール防止の為、メールアドレスはプロフィールより探してください。)
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カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。