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ピュアアナログパワーアンプ PA-300II カスタム・メンテナンス(整備録)

ガレージで長年その時をまっていたのでしょうか。少し腐食が見られるPA-300IIが流れ着きました。
腐食は、浸水等であると、内部基板のダメージが懸念されますが、このPA-300IIは幸いなことに、外見のみの腐食。

PA-300IIを、その素直な、広がりのある音に、復活させてみたいと思います。

電源のノイズを抑え、ゲインを調整して、カスタマイズして蘇らせてみたいと思います。

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 はじめに

ナカミチのアンプでもカップリングの入っていない、DCストレートは、このアンプだけでしょうか。
ゲインも入力を絞るのではなく、フィードバックにて対応しています。

(すなわちゲインをいじるとアンプの表情が変わるということにもなります。)

仕様

黒アンプは、後継機より、スペックが良い部分が少しあります。

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出力は75Wで通常に使う分には十分なパワーがあり、歪や、SN比は、後継機種よりも優れています。

外観

フロントパネルに腐食が見られます。

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LowCutの入力のRCAが腐食しているのが、確認できます

底面は、比較的きれいです。

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ネジがサビているのが気になります。よく見ると、パネルも腐食が少し見られます。

底板をはずすと、

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パネルが腐食しているのがわかります。

内部基板

絶縁シートを取り除くと、基板が見えます。

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基板には、著しい、損傷は、なさそうです。

基板取り出し

基板は、電源とアンプ基板(L/R)の三枚構成になっています。

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外装メンテナンス

まずはじめに、外装をメンテナンスしてゆきます。

フロントパネル

フロントパネルから、端子台とヒューズのはんだ付けを外して、とりはずします。

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フロントパネルの腐食がよくわかります。

下地処理

サビが塗装の下に侵食しているので、丁寧に剥がします。

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RCAのシルクは、残すことができませんでしが、後で、シールを作成して、対応してみたいと思います。

 

下地から、塗装までは

  1. 研磨
  2. サビ転換剤塗布
  3. プラサフしょり
  4. 研磨、マスキング
  5. 塗装

の工程を行います。

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シャシーブラックは、シボのような塗装にすることができます。

大事なシルクは、マスキングして、残します。

反対側のパネルも、錆取りから、同じように処理して、仕上げました。

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電源カスタマイズ

電源の動作確認を行っていますが、どうも、うまく立ち上がりません。

修理

コンデンサの腐食は、なさそうでしたが、よく見ると小さな電解コンデンサが、わずかに、いくつか液漏れを起こしています。

電源基板のコンデンサを交換しても、直りません。

どうもアンプ回路のプロテクト信号がご動作しているようです。

調査してゆくと、プロテクト信号のディレイ用電解コンデンサが液漏れしており、その近傍に合ったトランジスタが壊れていました。

トランジスタを交換して、無事に修理完了です。

 

電源入力ノイズ

基板カスタマイズは、高負荷のコンデンサを電源用の長寿命タイプに交換し、その後、高調波対策を施し、ピアニシモ仕様に仕上げました。

 

電源は、入力と一次側(スイッチング直下)の確認です。

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一次側は、1V程度の振幅があったものを、0.3V程度に程々に抑えています。

また、入力端子のノイズは、高分子とセラコンで、ほとんどノイズ漏れがなくなります。

 

二次側(電力)

PA-300は、フィルタが装着されていないので、何度もいろんな方法を試してきました。

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高分子コンデンサと低ESR電解コンの組み合わせで、振幅を抑え、チップラコンで高調波をおさえました。

二次側(電圧)

電圧用もその尖塔波形が厳しいです。

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これも、効果的な、組み合わせ方法で、合理的に抑えることができました。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、誘導と反射のノイズが観測されると考えています。

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エネルギーは小さいので、セラコンで抑えることができます。

出力波形

最後に、微小出力と周波数特性を確認します。

微小出力

ナカミチは、ノイズが少ないので、-80dBの状態で確認できます。

(海外のアンプは-60dBで10倍違いますが、それは、目指しているところがちがうためですね)

標準との比較ですが

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わずかに改善していることが分かります。

周波数特性

最後に周波数特性を確認します。f:id:MatsubaraHarry:20210620131101j:plain

 

標準では、100kHzで-6dB程度ありますが、-3dBまで改善しています。

 

まとめ

何度も取り扱っているPA-300IIを極上の状態にしあげてみました。

少し歴史のあるアンプですので、ゲインを少し落とし、使いやすくしています。

この他細かなカスタムをしています。

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基板状態

基板は、突飛実装はせず、いつものようにスッキリ仕上げています。

追加のコンデンサも、一見すると、どれが追加しているかわからないと思います。

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外観

まだ、端子台とシルクがのこっていますが、かなりきれいな状態になったと思います。

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 シルク添付

シールを作成して、欠落したシルクを補ってみました。

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あとは、端子台の入荷待ちになります。

最後に

最後まで、閲覧ありがとうございます。

いかがでしたでしょうか。PA-300IIは、一台持っていたいアンプになったのではないでしょうか。

これまでのPA-300シリーズは、下記よりご覧になれます。

PA-300 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

 

もし、オークションでPA-300IIやLimitedを見かけたらご検討されてはいかがでしょうか。

 

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カスタムナカミチアンプ


オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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