前回PA-202をメンテナンスして、かなり良好な状態になりました。では、このアンプは、どの程度の性能になっているのでしょうか。
周波数特性は、何度も測定していますが、SN比率や、歪率は測定したことがありません。特に歪率は高価な計測器が必要になります。
少し無謀ですが、8bitのSDS1102で果たしてどこまでできるでしょうか。
測定
測定は、PC、DAC、そしてSDS1102です。あとは、ダミー負荷等です。
測定環境
高額な機材は一切ありません。
S/N比
まずは比較的かんたんな方から。S/N比率は、シグナルとノイズの比率を調べて算出します。
-60dBの1k正弦波をアンプに与え、FFTで他の帯域の信号との差を観測します。
厳密にいうと、歪率も含まれてしまうかもしれませんが、最大値ということで採用します。
シグナルと50kHzまでの範囲との差が50dBあります。
このときの、出力が34mV(RMS)です。
このPA-202の最大出力は、11,210mVまで確認できたので
S/N比 = 20*log10(11,210/34)+50
= 50.8+50
= 100.8dB
100dB以上確保できていることが、この測定環境でもわかりました。
もう少し外来ノイズ等を考慮した環境で行うと更に良くなりますが、スペックの110dBですから、この環境を考えると妥当ではないでしょうか。
歪率
歪率は、正弦波を与え、その出力からBEF等で高調波をフィルタして、その差分から導き出す方法があります。今回は、入力波形を元に計算で正弦波を作成、その差分を取って計算してみました。
出力波形vs比較正弦波
左上が、出力波形、右下が、計算で導いた波形です。
拡大すると、8bitのサンプリングの粗がみえてきます。
歪率(単純計算)
この差分を単純に計算すると、
1%近い歪率になります。これは、サンプリングノイズと、50kHz以上の高調波が原因です。
歪率(100kHzフィルタ)
100kHz以上を高調波をフィルタしてみると
だいぶ落ち着きました。どうしても頂点付近は、分解能の誤差が大きく歪みが大きく見えてしまいますが、この8bitの分解能では限界でしょう。
それでも、概ね0.1%程度の歪以内にはなっていそうです。
まとめ
当初から8bitの分解能では、0.01%以下の歪を観測することは難しいことはわかっていましたが、著しい歪が無いことがわかると思います。FFTと合わせて見てゆけばよいのでは無いでしょうか。
また、これらの測定データをサンプルとして、他のアンプ等を測定してみると、違いがわかるかもしれません。
ゆくゆくは、もう少し分解能の高いオシロスコープで測定してみたいと考えています。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札、ご検討ください。