ナカミチクロスオーバネットワークのEC-204続けて二台目のメンテナンス機会にめぐまれました。
今回も、muses8820を活かしたピアニシモ仕様にしあげてみたい思います。
はじめに
EC-302やEC-204のクロスオーバ周波数は、5つのスイッチによってデジタル的に、各周波数単位で1~31倍まで設定できます。
設定の説明は、前回の整備録に記載があります。
ナカミチ クロスオーバ EC-204 カスタム・メンテナンス 2022-05 (muses8820) - pp audio blog
外観
外観は、大きなキズもなく
とても良好ですね。
メンテナンス
メンテナンスは、電源の長寿命化及び高調波対策を施します
- 電源コンデンサ低ESR化
低ESRの電解コンデンサや高分子OSコンを組み合わせ低リップル化。 - 高調波対策
電源のノイズ発信源のもとにはチップコンデンサを用いた低ノイズ化対策 - 二次GNDの接続
RCAのGND側とアース(シャシー)の遮断ノイズ対策は、高調波が弱い弱点があります。実験によるパラメータを用いて低周波から高調波まで低減 - OpAmpパスコン+ソケット化
おなじみmuses8920をHigh側用に4つ使用。
SWは、5532DDを使います。とても合理的な選択です。
もちろんソケット仕様で、パスコンも装着します。
改善効果(一次側)
毎回、必ず初期状態を測定し、なにか問題が無いか確認を行います。
EC-204等は、電力が小さいので、大きな問題が起こりにくく、本機体もとても良好です。
いつもの対策、OSコンとチップコンデンサの効果により抑え込みました。
改善効果(二次側)
二次側は、少しリップルが大きめでしたが、
メンテナンスで、きっちり抑え込むことができました。
出力信号の効果
Highは、オリジナルでもとても良好ですしたが、少し高調波が見えます。
電源の高調波対策の効果が前回と同じ様に確認できました。
しっかりメンテナンスができています。
カスタム内容おさらい
- OpAmp (muses8820 x4+ NJM5532DDx2)
High側(LowCut)へは muses8820を使用し極上の音へと。
低域には安定した5532の低ノイズ版を採用。 - 電源入力ノイズ
電源の入力ノイズへのパスコン追加は、外来ノイズの抑制及び反射を抑え
電源ケーブルの伝送経路による高調波発振を抑える合理的な方法。 - 電源高調波対策
EC-204/302の電源はDC/ACでとても優しい作りですが、EC-204は正弦波
尖塔のスパイクノイズに影響があるのが分かってきました。
超低ESRのチップセラコンで最短ルートでノイズを抑制。
その効果は出力波形で明確に現れています。
まとめ
これまでの経験にもとづき、適切な電源の改善で安心できるアナログクロスオーバネットワークにすることができました。
外観が良好でしたので、クリーニングをほどこすと
スッキリしました。
周波数特性
最後に間違いがないかを確認するため、周波数特性を測定します。
いつ見てもきれいな特性です。LowPassのカットオフが18dBがはっきり見えます。
この特性は、ホームオーディオでも、とても便利ではないでしょうか。
フルレンジ+SWとの組み合わせで、メリットが多いと考えています。
フルレンジで低域を頑張って出そうとすると、コーン紙が大きく動いてしまい、磁気回路の美味しいところを使うことができなくなりがちです。
低域をカットすることで、コーン紙の振幅幅が抑えられ、歪が少なくなります。
そんな効果を確認するのに、とてもよいクロスオーバの一つだと思います。
また、LowCut側の音質劣化もあまり気にしなくすみ、さらに、OpAmpの交換が楽しめます。
ぜひ、お手持ちにEC-204等をおもちでしたなら、メンテナンスご検討おすすめします。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。