PA-30xシリーズ システムのシステム一式をメンテナンスする機会に恵まれました。
今回は、PA-302に続いてPA-304です。
前回のPA-302に劣らないピアニシモ仕様に仕上げてみたいと思います。
はじめに
仕様
PA-304は、クラスABの45Wx4chを引き出すアナログ・パワーアンプ。
このPA-30xシリーズは、Class Aを彷彿させるピュアなサウンドが特徴です。
今日では、デジタルアンプが話題ですが、大人のサウンドを奏でる、このナカミチPAシリーズを一度は使って聞いてみていただきたいです。
状態確認
外見は、大きな傷みはなく良好です。
傷も少なく
エンブレムも磨くと
見違えるようにきれいになりました。
基板状態
PA-304は負荷が大きいため基板の傷みが多いのですが
本機は、液漏れもなく、良好です。
VRの高域補正用のコンデンサがRCA入力に絡まっていましたので、
これもしっかり補修します。
カスタム・メンテナンス
今回のアンプのカスタム仕様は
基本メンテナンス
- 電源
耐久性アップ、安定性アップ、低ノイズ化を施します。 - 電源チョークコイル
電源のチョークコイルは、トロイダルコアを採用。
リップル低減と効率アップをもたらします。 - 高調波対策
チップコンデンサや高分子コンデンサを用いて、高調波ノイズを抑制 - OpAmp電源
使用する素子は、高熱容量のもに交換、温度上昇を防ぐとともに、
電圧の安定性を図ります。 - GND係数変更
入力のRCAのGNDと内部GNDの接続係数を見直します。
これにより、出力に見られる高調波をさらに低減できます。 - アンプ基板電源強化
アンプ基板の電源強化の為、電解コンデンサを追加。 - 初段ゲイン補正
近日のヘッドユニットの高出力に合わせ、初段のゲインを-6dB低減。
出力が2VクラスのHeadUnitにもマッチ。
基本を抑えたメンテナンスを中心に実施します
オプション
最新の素子を用いることで、さらにナカミチサウンドに磨きをかけます。
- OpAmp(muses8820)
スペックより音を聞かせる、Tr入力のオペアンプを採用 - 高分子フィルムカップリング
DCカップリングは、通例有極電解コンデンサを用い、高域をフィルムで補正していますが、高分子フィルム単一で、ワイドレンジかつ低歪を実現。
また、振動によるノイズ(圧電ノイズ)の心配もなくなります。 - 密閉VR
接触不良を起こしやすい、ゲインボリュームは密閉型へ。
メンテナンス検証
カスタム・メンテナンスは、各部の状態を観測し、妥当性をきっちり確認します。
電源(一次側)
標準の一次側は、スパイク、変動が気になりますが
きっちり抑え込みました。
二次側(電力用)
少し電解コンデンサの容量が抜けていたのでしょうか、標準より変動が大きめでしたが、
トロイダルコアのコイル、超低ESRの電解コンデンサ、セラコンで抑え込みます。
二次側(電圧用)
スパイクがきになるところですが
しっかりと抑え込みます。
電源電圧
意外と見落としがちですが、電力用、電圧用、OpAmp用のそれぞれの電圧を確認します。
バランスが取れていない場合も結構見受けられます。
製品の確からしさは、ヒヤリングだけでは、難しく、エビデンスも残しにくいです。
当方では、各部の電圧値を測定、記録も実施しています。
出力確認
妥当性の確認として、出力観測と周波数特性を見てみます。
微小信号
標準のPA-304では、
正弦波の確認が厳しいですが
いつも通りのピアニシモ仕様の、きれいな波形が出てきました。
周波数特性
最後に周波数特性
いつものうっとりするような、周波数特性が観測できました。
まとめ
本PA-304は、ブリッジで使う予定です、PA-302は80Wx2ですが90Wx2の高出力を引き出します。
その能力を発揮するため、アンプ基板の電源強化が効果的です。
またOpAmpの電源も強化して安定化を図っています。
ブリッジでも4chでも、しっかりとそのパフォーマンスを発揮します。
歪の少ないスチコンに交換しました。
全体のしあがりも、いつもの様に過度な実装はせず
耐久性の仕様になっています。
基板の絶縁シートも液漏れがなく清掃のみで
良好です。
全体的にクリーニングを施し
とびきりのPA-304に仕上がりました。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。
使用した機器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
オシロスコープ(SDS1102)
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。