Ach/Bch 独立した電源を搭載した富士通 TENのα5000M。いろいろ解析、修理をへて、
やっと音声信号の部分のチエックに進めます。そして、カスタムが行えます。
さて、どのような仕様のカスタマイズになるでしょうか。
おさらい
ゲイン用のボリュームを交換したことによりGNDが切れてしまったのを修正、電源のノイズをいつものピアニシモ仕様に対策しました。
今回は、出力波形を確認しつつ、音声信号へのカスタマイズを進めてみたいと思います。
OpAmp電源異常
前回記載が漏れてしまった、OpAmpの電源に問題がありました。
OpAmpの印加電圧が7Vと-3Vとアンバランスでした。調べた所、低電圧生成のツェナーダイオードが不良であることが判明。0.5Wタイプから1Wタイプへ容量もアップして、無事修繕完了です。
電源のコンデンサを高分子タイプに変更し、OpAmp直下にパスコンを追加して、スッキリです。
基板状態
これまでの基板の状態状態です。
無理な部品の装着を適切な状態に。
少し無理に装着されたコンデンサは、金属プレートに接触間近で、セロテープで絶縁(?)されていました。
少し小型のオーディオ様に交換し、スッキリ、これで安心です。
ハンダ面状態
セラミックや、フィルムコンデンサが取り付けられていましたが、各所に適合した、チップコンデンサを取り付けることで
半田面もとてもスッキリしました。標準装備にみえるのではないでしょうか。
出力波形確認
高調波等の対策を行ったので早速出力波形を確認してみます。
もともとの波形と比較してみると
一目瞭然ですね。スッキリしました。
周波数特性
周波数特性を確認してみした。
少し低域が、減衰している様に見えます。
音声信号カスタム
このアンプは、すでにチューニングされており、カップリングにセラミックコンデンサを採用していました。また、ノイズフィルタのセラミックを積層セラミックに交換されています。
カップリングコンデンサ
積層セラミックより、カップリングに向きのコンデンサがあります
圧電ノイズや、周波数帯域が広いで高分子フィルムです。
ノイズフィルタ用の小さな容量のコンデンサも安定したスチロールコンデンサにします。
ゲイン調整
ゲインも少し大きめで、ボリュームも50kΩと大きいので、インピーダンスを下げつつ、ゲインを調整してみます。
ボリュームでのゲインは、-34dBと大きく、OpAmpで約12dBアップしています。
ボリュームの交換は、入手性の関係で難しいので、ボリュームと並列に抵抗を入れて少し落とします。
OpAmpのゲインを下げることで、入力のボリュームの位置を大きくすることができ、音質改善になります。
OpAmp交換
OpAmpは、ディップタイプのFET入力タイプものがついていました。今回、このアンプの素性に合わせたトランジスタタイプを選択。
無理なディップ8PをSIPタイプに変換していたものを、スッキリ装着できる変換基板を用いて対応。
カスタム後確認
音声信号ラインの細かな部分、ゲイン調整、カップリングそして、オペアンプ交換にてしあげました。周波数特性で変化を確認してみます。
低域は、高分子フィルムの効果で改善され、高域も、高分子フィルム+ゲインの調整で改善しています。
無理なく、改善することができました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。単に部品を交換するのではなく、一つずつ効果を確認してカスタムを行うのが当方のカスタム方式です。
測定で確認できない部分は、部品の特性にて確認し、かつ、測定で変化が無いことを確認します。もちろん、その後のヒヤリングで妥当性の確認をしています。
本当のヒヤリングは、もちろんオーナの特権です。
カスタム仕様
今回のカスタマイズの仕様をまとめてみました。
- 高調波対策
電源の入力出力のノイズを抑制。高調波の伝搬の低減。 - OpAmp電源改善
OpAmpの安定化、OpAmp直下にパスコンを追加し電源ノイズを測定限界へ - ゲイン
入力段OpAmpのゲインを下げることで、ゲインボリュームの位置を上げることができ、ボリュームによる音質劣化を削減 - カップリング
高分子フィルムのカップリングにより、低周波数から高周波数まで改善
圧電ノイズ等も抑制 - 信頼性向上
無理な実装をされていた部分を、適合した範囲サイズで特性の部品を選定。
パスコンも、チップタイプをパターンに独立実装
前回のα5000のメンテナンスの様子は、下記よりご覧になれます。
α5000 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたナカミチを中心としたアンプを出品していることがあります。ナ数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。