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pp audio blog

オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

RCAケーブルを簡易測定で比較

RCAケーブルを簡易測定器(LCR測定器)で計測して、違いを比較しようという試みです。 

オリジナルRCAケーブルの特徴、性能、そして作り方を綴りましたが、市販RCAケーブルと、どの程度違いがあるのでしょうか。遅まきながら、綴ってみたいと思います。

 

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測定方法

RCAケーブルは同軸線を使ってピンプラグをコネクタに使用しています。その同軸線をLCR測定器で簡易的に測定し、基本パラメーターで比較してみました。

ケーブルの両端にRCAメスコネクタを接続して、LCRテスターで計測します。

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測定方法

パラメータは、LCRそのもので、抵抗、静電容量、インダクタンスです。

  • 抵抗値
     抵抗が小さいほど信号のロスが少ない。
  • 静電容量
     静電容量も小さいほど、高域のロスが少ない。
  • インダクタンス
     コイル成分で、小さいほど、高域のロスが少ない。

さて、測定結果は、音に影響するれほどの値でしょうか。また、ケーブルによって、大きな違いが測定できるのでしょうか。

ケーブルの長さがまちまちなので、1mに等価計算もしてみました。

標準ケーブル

標準と呼ばれるのは、赤と白の、AV装置に付属していたケーブルです。今回は、それでもOFCを使っているものを測定してみました。

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標準RCAケーブル

 1mにしては、少し大きい気がします。またシグナルとGNDの抵抗値が3倍違います。

まずは、この値を基準にしてみましょう。

オーディオ用RCAケーブル

RCAでもオーディオ用とうたわれているケーブルです。ケーブル自体少し太くて、見た目は、音が良さそうに見えます。

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抵抗値は、 あまり、標準のケーブルと変わりません。ただし、静電容量が小さくなっています。これが、オーディオ向けの証でしょうか。

オーディオ向け(ハイグレード?)

ハイグレードと書かれていた、ケーブルです。

 

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ハイグレード

静電容量が、100pF/m以下になりました。これは、標準品の約1/3です。

この小ささがハイグレードと言われる理由でしょうか。

 

マニア向けケーブル

お客様より、寄付していただいたケーブルです。外皮が、半透明で、高そうです。

だいぶ太めになってきました。

 

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マニア向けケーブル

抵抗値が、小さくなったと同時に、シグナルとシールドの値が同じです。

これは、意図して、ケーブルを設計してあるのでは、と思えます。

でも、静電容量は、大きくなっています。これも故意にしているのでしょうか。

これまでのケーブルと異なり、考えられていると思えます。

 

カナレオリジナル

さて、本題のケーブルです。ppが、ナカミチのアンプの回路をみて、思いついた配線方法を施したケーブルです。ケーブル素材は、カナレのマイクの4芯ケーブルを使っています。(歴史の長いプロ用ケーブル)

 

matsubaraharry.hatenablog.com

(配線方法は、マニアの方では、一つの手法に過ぎなかったですが...。)

 

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カナレ オリジナル

抵抗値が、更に小さくなりました。また、GNDも特殊配線で、信号とおなじになっています。

静電容量は、4芯になったため、少し増えています。

抵抗値の低さ、GNDとシグナルの抵抗値が同じところが、特徴です。

モガミ オリジナル

モガミの4芯シールドケーブルです。違いは、絶縁材の材料と、シールドがストレート
(編み状になっていない。)です。

ハリーは、こちらのほうがケーブル単体のスペックが良いので、期待していました。

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モガミ オリジナル

抵抗値が下がっているのと、静電容量も下がっています。

スペックでは、一番まとまっているのではないでしょうか。

 

まとめ

これまでの値を一覧表にしてみました。

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ケーブルパラメータ一覧

マイクケーブルを使ったカナレ、モガミの抵抗値の小ささが、目立ちます。

同じマニア向けのケーブルは、GNDとシグナルの抵抗値が同じなのには、びっくりしました。これは、リターンラインを考えた設計では、無いでしょうか。

また、インダクタは、ほとんど変わらないです。

ハイグレードは、静電容量が小さいのがわかります。高域まで伝達できそうです。

超高域を綺麗に出したい方には、一度試してみてはいかがでしょうか。

 

結論

pp では、カーオーディオには、カナレをおすすめしています。

それは、シールド密度と柔らかさです。カーオーディオは、ノイズとの戦いでもありますので、シールド性能は、重要です。低抵抗も、理由の一つです。

モガミは、100kHzで盛田容量等を測定した際に、安定しなかったのは、シールドが少し弱いからではと疑っています。超高域のノイズには、カナレの様な高密度の編組シールドが優れているそうです。

(モガミは、密度は、落ちますが、加工がしやすいです。これは捨てがたいですが。)

一方、モガミは、ホームオーディオにはつかいやすいのではないでしょうか。

 

いかがでしたでしょうか。標準から、カナレに変えたときは、こんなにも違いがあるのかと、びっくりしました。高い、マニアケーブルを選ぶときは、一度、このスリーサイズ(LCR)を確認しても良いのではないでしょか。カナレより劣っているのであれば、もう一度考え直してもよいのでは、ないでしょうか。

 

また出力側のインピーダンスと入力のインピーダンスにも影響されます。

なるべく出力側は低くし、入力も低くめにしてあげると、ノイズが小さくなり、音が綺麗になります。

(入力は、せいぜい数k オームがよいでしょうか)

 

 

 下記の廉価版を使っています。LCRの測定時の周波数が100Hzから100kHzまで、4段階で切り替えられます。

三和電気計器 LCRメータ LCR700

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