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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

SANSUI SM-A907DL パワーアンプ メンテナンス

ホームオーディオのアンプでファンの多い山水のカーアンプが流れ着きました。
オルタネータノイズ等が大きく、ゲインが上げられないとのこと。

早速調べてみたいと思います。

はじめに

シンプルな2chアンプ 30AのFuseから想像すると、80Wx2程度でしょうか。

外観

外観は、美しい曲線のフォルム

高放熱効率なのに、高さを感じさせない構造です。

内部

早速内部をあけてみると

電源とアンプが完全分離しています。

出力状態

オルタネータ等のノイズが大きいとのことでしたが

多少高調波は見られますが、大きなノイズが発生する状態ではなさそうです。

メンテナンス

最初に基板をみてみると、液漏れで腐食しているところがあります。

一度クリーニングして、接触等を確認します。

電源制御部

腐食部は、洗浄後、研磨して、レジストを塗布します。

同時に抵抗の足が腐食していたので、2本ほど交換です。

(腐食のコンデンサは、交換されているようでしたので、足を洗浄し取付)

一次側コンデンサ

外見は大丈夫だったのですが、

一次側の電解コンデンサは劣化、液漏れしていました。

腐食が進む前に交換できて、よかったです。

アンプ側コンデンサ

アンプ側のコンデンサの状態を確認し、寿命が近いものは交換します。

アンプ側の電解コンデンサも容量が半分程度になっていましたので、交換。

電源状態

一次側

一次側は、フィルタがきちんと装着されていて

ノイズが伝搬されていないのがわかります。

 

二次側

二次側は、4つのコンデンサを10倍ずつ違えて装着しています。

フィルタが装着されていない状態ですが、良い状態です。

 

カスタマイズ

今回は、ノイズがきになるとのことでしたので、スパイクノイズを少し対策しました。

一次側

一次側は、高分子とセラコンで対策

きちんと交換が現れています。

二次側

二次側も高分子と、セラコンを追加

半分以下におさえることができました。

BIAS調整

長きにわたり音楽を奏でていたので、調整も少しズレてくることがあります。

電流が増えるポイントから少し戻した位置に調整します。

まとめ

今回ノイズが生じるとのことでしたが、アンプ自体は、経年変化はみられるものの、故障しているまでには至っていませんでした。

カーオーディオは、ホームオーディオとは異なり、GNDとアース、FGの接続がメーカにより考え方が異なることがわかっています。

 

今回のSANSUIは、電源とGNDとを分離していることがわかりました。

 

二次側やRCAのGNDは、フレームに接続されていますが、アースにはコンデンサを介して接続しています。高調波は、流れますが、比較的低いオルタネータノイズが乗ってしまう場合があります。

  • アンプのシャシーとGNDを接続
    入力のGNDとアンプシャシーを接続してみる
  • RCAケーブルのGNDと確認
    ヘッドユニットからのRCAケーブルのGNDとボディアースとの抵抗値
    (数Ω以下が目安となります)
  • ヘッドユニットのRCA出力GND
    ヘッドユニットのRCA出力GNDとヘッドユニットのシャシーの抵抗値
    (もし高い抵抗値であれば、アンプのシャシーとGNDを繋げる必要があります。)

これらの対策で、ノイズが抑制出来ると良いのですが。

出力状態

高調波がきになるところでしたが

大幅に抑制できています。

周波数特性

周波数特性も20kHzまできれいに

とても良い特性です。

仕上げ

最後にクリーニングします。

トップの部分もはずして、洗浄

四半世紀の汚れをスッキリさせて、オーナーの元へ。

 

****

 

このアンプはホームオーディオのアンプで名高いメーカのものの技術が継承されていることが、基板のパターンや、コンデンサの容量分散に見て取れます。

実際の音も、長く聞いていられるゆったりした音です。

なかなか出回りませんが、見かけたらぜひ手に入れたいアンプです。

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

OWON ハイコストパフォーマンスデジタルオシロスコープ 1Gs/s 100MHz帯域 薄型軽量 SDS1102

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