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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

オーディオと電源回路(PA-2002 KK)

PA-2002 KKの電源回路をカスタムする機会がありましたので、まとめてみました。

PA-2002は、ブランドは、ナカミチですが、USデザインとのことです。日本ナカミチと、違いはあるのでしょうか。

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PA-2002 KK Customaize

電源回路

 一次電源

一次電源回路を見てみました。目につくのは、小さめのコンデンサを12個使っているところです。1000uFx12ですので、PA-302より大きなキャパシタになります。

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一次電源

リップルも大きなスパイクもなく、比較的綺麗です。レベルも200mVと、一般では優れている部類です。

チョークコイルが装着されていないのに、素晴らしい性能です。

一次側カスタム後

少し小さめのコンデンサで、パーツの選定で、かなり悩みました。ようやくたどり着いたのが1800uF/16Vです、インピーダンスの低下でどこまで、改善できるでしょうか。

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一次側カスタム後

約60mVまで、下げることができました。

容量アップだけでなくESRが低いのが効果を出したと思います。

 

二次側 標準状態

二次側は、4700uF 50Vが2つ。二次側は小さなコンデンサを多くすするのが一般的ですが、理由があるでしょうか。

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二次側標準

波形は、良好で、リップルも200mV以下です。よく見ると、パスコンが後付されています。これは、KKバージョンのスパイスでしょうか。

二次側カスタム

大きなコンデンサですので、かんたんに性能の良いコンデンサに交換ができません。

考えた末、低ESRのいつも使っているコンデンサと高分子のハイブリット化です。

どこまで、改善できるでしょうか。

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二次側カスタム

 

これも、半分以下の約90mV以下になりました。あまり極端に下げると、回路の負担が気になりますので、良いところでしょう。

アンプ部カスタム

アンプ部は、変更せずにそのままと当初考えていましたが、音がまだ、スッキリしません。よく見てみると、オーディオ向け電解コンデンサが、カプリングとしてでしょうか使われています。これは、KKバージョンの選定品でしょうか。

これを、測定した所、ぱっとしない結果でしたので、電源用コンデンサに交換してみました。

 

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アンプ部カスタム

一見、黒い通常のコンデンサに見えますが、今の所、スペック上、上回るものを見かけたことがないくらい、いいコンデンサです。

その御蔭で、音が、一変しました。ナカミチらしいサウンドが出ててきました。

その他、数箇所、コンデンサ交換しました。

まとめ

PA-2002KKをカスタムする幸運に恵まれ、KKチューンの内容に触れさせていただけました。フィルタ部の基板を割愛し、電源にもスパイスをいれてあり、音へのこだわりを感じることができました。そんな、アンプを現在手に入る構成の部品でカスタムし、さらに、磨きをかけられたと思います。

最終的に、ご依頼様より、ご報告いただけましたなら、追記してみたいと思います。

 

備考

今回、一番苦労したのが、トランジスタクリップです。鋼で作られていて、治具でセットされており、かんたんに取り外すことができませんでした。

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トランジスタクリップ

 

情けないことに、この取り外しの方法、治具の作成に2週間も費やしてしまいました。

やっと作ったのが、下記のツール

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トランジスタクリップ取り外し治具

ご参考までに。