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ナカミチ 振動アイソレーション 100dac 整備録② カスタム・メンテナンス

前回、振動アイソレーションの100dacの状態は良好でしたが、現代のマテリアル等を駆使し、末永使えるようにメンテナンスしてみたいと思います

 

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おさらい

100dacを調べてゆくと、18bitのD/A (PCM1700P)が4つも搭載しているDACになります。18Bit のD/Aを4つ使用して、2Bit増やし20BitのDACの仕様を実現させており、電源もデジタル系とアナログ系(DAC)を分けているほどの力の入れようです。

 

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また、実際の再生は、PCからのテスト条件ですと、16bitか、24bitの切り替えになります。24bitで、24kHzまで出力が確認できました。

もちろん、重厚なボディは、振動アイソレーションに必要不可欠です

電源メンテナンス

前回電源関係の状態と一部メンテナンスを行い、ノイズの低減を行いました。

一次側

一次側は、電力が小さいため、小さめのノイズでしたので

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OSコンとチップセラコンで

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抑え込んでいます。

二次側

二次側は、少しうねり(電解コンの容量が少ない?)がみらました。

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  • 低ESRの電解コン
  • OSコン
  • チップセラコン

の処置をおこなうと

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理想的な電源状態になりました。

デジタル回路

デジタル回路の電源は、スパイクノイズや、貫通電流の為、厳しいことが多いです。

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HCU04は、ロジックICで、クロックバッファとして用いられることが多いICです。

UはUn-bufferの略で、出力段のドライブ能力が小さいタイプで、ノイズは小さめになりますが、少しきになります。

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コンデンサの組み合わせにて、対応しました。

DAC電源

このPCM7800P(BB)のチップを調べると、電源やCAP(Servo-Amp Decoupling Point)という端子があります。

100dacでは、少し推奨回路と異なるコンデンサを使用していることがわかりました。

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特に、注目したのはCAPの端子が、0.1uFのところ3.3uFの電解コンデンサを使用しているところです。おそらく、何らかの意図や、評価結果の反映と考えます。

当方のカスタムもそのままの値を継承しました。

 

電源の端子は、もともと良好でしたが、配線距離があるので、高調波がわずかに観測。

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チップコンデンサで、抑え込みました。

 

ICの下にGNDのベタパターンがあるため、チップコンデンサがきれいに取り付けできました。

 

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16個取り付けをおこないました。

OpAmp電源

最後にOpAmpの電源です。

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ラジアルリードタイプのセラコンでおさえました。

 

結局ほとんどの電解コンデンサを交換してしまいました。

 

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コンデンサの交換は、古い機種であれば、大きな容量はぜひ交換をおすすめします。

液漏れの危険性と、性能の劣化があります。(容量抜けというよりも、内部抵抗が大きくなる傾向が測定上分かっています。)

 

一方、小さな容量は、あまり無理して交換は必要ないと思います。

今回は、コンデンサの特性を測定した結果、交換すべきと判断しました。

 

 

通常有極性のカップリングは、バイアスがかかっているところに使われるのですが、どうもほとんどバイアスがかかっておらず、正負にふれる可能性があります。

電圧が小さいのですが、極性の反転時の特性の変化が気になりますので、バイポーラを使います。

もちろん、外して測定すると、tanδがmuseの無極性方が良好でした。

 

物理メンテナンス

今回、その他、物理的なメンテナンスを行っています。

電源シールド板

スイッチング電源にシールド板が設けられていますが、振動防止の為ゴムがありましたが、その周りが腐食しているのを確認。

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ゴムは、生成時に硫黄を加硫剤として使用していることがあり、硫黄系のガスが発生スルことがあります。今回は、シールド板のみの影響でしたので助かりました。

 

シールド板は、サビを落として、プラサフで防錆を施しました。

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少し、地味ですが、これで安心です。

 

RCAコネクタ

RCAコネクタは、時折傷んでいることがあります。

今回、外見は、きれいなのですが、なぜかガタガタです。

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汎用品のRCAのコネクタは、接続PINの位置が合わず、うまくつけられません。

金メッキ品も少ないので、100dacには、似合いません。

当方が使うRCAは、削り出しor鋳造でしょうか、頑丈で、安心感があります。

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ちょっと大変ですが、アクリル板を削って、取り付けに挑戦してみました。

 

取り付け位置を、ケースより、マーキングして、穴を開けます。

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2枚使用することで、うまくゆきそうです。

一枚目に、RCAをとりつけ、もう一枚を本体とのスペーサとして使用。

直接パネル板金に接触しないようにしています。

 

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取り付けネジのGNDの引き出しが銅箔テープをそのアクリル板の間に入れ、引き出しました。

配線は、銅線でダイレクトに接続が可能でした。

仕上がりは、

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写真でも、重厚さがつたわるのではないでしょうか。挿抜感触もしっかりしています。

他のPA-304等でも、同じ方法で対応ができ、RCAのグレードアップが可能です。

出力確認

微小信号

電源や、DACのデジタルノイズには、著しいものは、確認できませんでしたが、それでも、各所を対策したので、効果を期待したいところです。

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わずかですが、確かに、ノイズが小さくなっているのが分かります。

周波数特性

周波数特性に影響が生じるのは、カップリングコンデンサを有極性から無極性に交換したところです。

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周波数特性は、測定誤差でしょうか、多少変動がありますが、フラットと言って良いでしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。いまではPC DACは、手のひらや、ミントケースサイズでハイレゾ対応がありますが、この当時として、18Bitを4つつかって20Bitにした、力の入った製品です。随所にノイズ対策が施され、出力レベルも1.5Vと、当時としては高出力の部類です。

現代では、スペックとしては、多少見劣りしてしまいますが、その重甲なボディから出てくる音は、デジタルなのですが、どこか、アナログに近く、ゆったり、永くいいていられる音楽を奏でてくれると 感じました。

仕上がり

あとは、クリーニングを施し

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エンブレムも磨いて

 

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Fuseの端子、端子ネジを磨き

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完了です。

ライン出力コネクタの重厚さが、わかるのではないでしょうか。