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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

アンプのゲインって? ゲインの調整方法

少し、電源回路とはななれますが、アンプのゲインについて、綴ります。
パワーアンプのカタログには、ゲインの値が載っていないのがほとんど(?)です。

ゲインは、入力の信号を何倍に増幅するのかを示す値です。
(アンプなので、出力の負荷は、4Ωもしくは8Ωが一般です。)

この増幅量を、アンプごとで同一にすると、その後の調整が楽になります。
新しいアンプに交換する場合でも、
せっかく、パワーアンプにゲインボリュームがついているのでしたら、ぜひ、調整して使ってみてください。

 

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アンプのゲイン って?

 

パワーアンプの入力レベル?

パワーアンプは、Line入力された信号を増幅して、スピーカを駆動できる電圧、電力で駆動します。

その増幅率を調整するボリュームが、パワーアンプには大抵、ついています。

(ついているものをおすすめします。)

このボリュームを調整することで、アンプの増幅率をちょうどよいところに合わせられます。

アンプのゲインは、入力電圧が。何倍の出力電圧になるかを数値で表します。

マルチアンプの場合、アンプを複数台使うので、それぞれのゲインを合わせたいですよね。また、同じアンプなら良いですが、違うアンプの場合、なんとなく調整してしまいますよね。それも楽しみの一つですが。

超簡単 ゲイン測定、調整方法

一番簡単なのは、スピーカを外して、ライン入力に基本波をいれて、出力を電圧計で測定する。

用意するもの
  • 基本波
     基本波形は、単音のサイン波形のことです。ネット上で、いろいろ出回っています。これを、WAVデータに落として再生すれば良いです。

    http://www.op316.com/tubes/tips/wav2.htm
    ppは、waveGeneを使って、1kHzの-20dBをWAVで作成して使っています。
  • 電圧計
     デジタルテスターと言われいるものが、良いです。
     精度は、そんなに必要ありませんので、廉価版で大丈夫です。
     ACのmVが測定できることが、条件になります。

  

Sanwa(三和電気計器) デジタルマルチメーター PM-3

Sanwa(三和電気計器) デジタルマルチメーター PM-3

 
✦事前準備

事前に、パワーアンプのゲインを大まかに調整します。

この大まかな調整が、ゲインの調整のポイントになります。

  1. パワーアンプのゲインを最小
    パワーアンプのゲインボリュームを最小にします。
  2. ヘッドユニット(プリアンプ)のボリュームを、半分程度に
    その時に、音が大きすぎる場合は、いつも聞いている音量の7割 程度の音量に
    (おおまかの感覚で大丈夫です。)
  3. パワーアンプゲインを調整
    少しずつパワーアンプのゲインボリュームを大きくして、通常聞かれる音量までゲインのボリュームを調整します。
    この時ヘッドユニット(プリアンプ)のボリュームはいじりません。

ボリュームを半分にするのは大きすぎると思われるかもしれませんが、アンプの歪特性は、最大出力の7~8割が歪が低くなるのが一般的です。
(OpAmpの歪特性をご覧になると納得できると思います。)
もし、違うと思われる方は、お持ちのアンプに詳しい方なので、その特性の美味しいところにボリュームを合わせてください。

また、パワーアンプのゲインが最小に近い場合も、ゲインボリュームでの音のロスがきになりますので、すくなくとも、3割 程度の位置に合わせます。

✦微調整(左右のバランス調整)
  1. スピーカを外す
  2. アンプにプリアンプ(ヘッドユニット)等を接続
     携帯のヘッドフォン出力でも良いです。
  3. 電源を入れます。
     プリから入れます。
  4. 基本波を再生
     この時、ボリュームの位置は、通常聞く音量程度で良いです。
     デジタルならば、値を控えておくことをおすすめします。
     アナログですと、あとでプリアウトの値を測定するのをおすすめします。
  5. アンプの出力 R を測定
     スピーカのR 出力をテスターのACレンジで測定します。
     デジタルなので、少し切りの良い数値に合わせます。
     (例 246mVならば250mVとかに)
  6. アンプの出力Lを調整
     スピーカのL 出力をテスターで測定して、Rと同じ値にします。

これで、左右がぴったり同じゲインに調整出来たことになります。

このプリのボリューム位置と、アンプの出力の値をメモしておくのをおすすめします。

この値が、基準になりますので、もう少し大きくとか、小さくした時にどう変わるかチェックするのに、もとに戻すのに、とても有効です。人の耳の感覚では、同じ条件にするのは、難しいので。

ボリュームカーブ

ヘッドユニットのボリュームカーブは、機種により、違っています。

ボリューム位置が中央付近ですと、微妙な調整ができなくなる場合があります。

クラリオンのヘッドユニットの例です。

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対数カーブになっており、半分をこえてからのピッチが大きくなり、微妙な位置合わせが難しくなることになります。

その場合は、ノイズや音には少し不利ですが、ボリューム位置を調整しやすい、ゲインの大きめのボリューム位置で行う必要があります。

クラリオン ヘッドユニット DXZ385USB (素性確認) - pp audio blog

 

✦応用方法(マルチアンプの方)

マルチアンプの方は、それぞれのアンプを一旦同じプリ出力を接続して、合わせるのが良いでしょう。その後、クロスオーバネットワーク等を介して、クロスオーバネットワーク上のボリュームを調整します。

  • パワーアンプのゲイン統一
     それぞれのパワーアンプを1kHzの基本波を使って、同じゲインに調整します。
     これにより、メーカが違う、出力が違うアンプでも同じ音量にすることができます。
  • それぞれのバンド帯域の中心周波数の基本波を用意
    waveGene等で、基本波の中心の周波数の波形(ー20dB)を作成、準備します。

  • クロスオーバのボリュームを中央に
    事前にクロスオーバのボリュームをすべて中央にします。

  • クロスオーバのボリュームを調整
     プリアンプとパワーの間にクロスオーバを接続して、バンド域の中央の基本波を再生、MIDもしくはMIDーHighのパワーアンプの出力レベルを基準に他のパワーアンプをゲインボリュームで、同じ値に調整します。

この状態で、パワーアンプからの出力は、すべておなじになったので、

  1. スピーカの能率を考慮してクロスオーバーボリューム調整
    スピーカの能率(カタログスペック)で大丈夫ですので、下の表を参考にして
    電圧レベルを調整します。
    調整したら、その位置をマークしておくと良いでしょう。
  2. お好み調整
    音場の環境(車だったり、リスニングルームだったり)に合わせて、各帯域のゲインを調整します。MID(もしくはMID High)を基準にして(調整しない)他の帯域を調整します。

各スピーカの能率がわかっているのでしたなら、MIDレンジ(MidーHigh)のスピーカを基準にして、各スピーカの能率差を演算して、出力を調整する、少し高度な方法もあります。結構スピーカの能率は、倍半分ありますので、ボリュームを大きく調整することがあります。

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スピーカ能率差補正

スピーカの能率の差より上記の表の係数をかけて、能率の低いスピーカのアンプのゲインを上げて上げます。

フルレンジ+サブウーファ等でしたなら、低音は、お好みになりますので、ヒアリングで調整で良いと思います。

✦アンプの出力とアンプの増幅率について

一方、パワーアンプは、種類によって、出力が大きく差があります。

同じメーカならば、ライン入力の最大電圧を入れた時に最大出力になります。

例えば、0.5Vの入力時に最大出力のアンプで、10W、20W、40W、80W、及び120Wがあったとします。(4Ω負荷の条件です。)

それぞれの増幅率(ゲイン)は、

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アンプ容量とゲイン

計算上は上記になり、傾向を把握するのに、役に立ちます。

パワーアンプを交換した際に、出力容量と、入力レベルの範囲より、概ねのゲインの調整位置を把握することも、できますね。

✦アンプのゲインとトレードオフ

アンプのゲインを大きめにしたほうが良いか、小さめにしたほうが良いか、悩みどころです。アンプのゲイン調整の回路や、プリの特性にもよりますが、

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アンプのゲインとトレードオフ

概ねの傾向は、上記の様になると思います。(青が良い方向です)

アンプのゲインの調整を大きく搾ってししまう場合には、多少ゲインを大きめにする方が良い場合があります。(上図のパワーアンプ情報量欄)
ゲインのボリュームを絞ると、入力ラインの直列抵抗の値が大きくなるからです。
この場合、、プリのボリューム位置と、パワーのゲインでバランスをとって、出力電圧を一定にします。
システムのゲインを一定にした状態で、音の比較が出来ますので、どちらを大きくしたほうが良いかは、結局、お好みになりますね。

これが、オーディオの楽しいところです。

✦まとめ

いかがでしたでしょうか。テスターでアンプの出力の値を測定するなんて、ppも最初は、考えられませんでした。ですが、パワーアンプをたくさん整備していると、どうしても同じ条件で鳴らしてあげる必要があり、行き着いた方法です。

もっと、精度のある方法もありますが、お手頃な、基準調整になれば嬉しいです。

 

 ✦補足

アンプやスピーカのゲインや能率にdB単位が使われますが、なぜ、x倍とかの表記にしないのでしょうか。これは、アンプの内部構成が多段になることが多く、増幅率を掛け算ではなく、足し算で単純化するためだそうです。

アンプが内部が3段構成で

x1.4 x2.0 x2.8 =7.84 倍

ですが、dB計算だと

3+6+9 =18dB

とできるからだそうです。

ですので、アンプのゲインを調整したら、dB変換しておいたほうがよいですね。

 

*2020/4/9 

パワーアンプ 簡単ゲイン調整方法(改訂版)

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