とても扱いやすいサイズのLinear Powerの652 IQが流れ着きました。
残念ながら、音が出ない状態です
幸いなことに出ない原因は、Fuseが切れていた為でした。
Fuseをつけると一応音はでますが、色々といになるところが。
しっかりメンテナンスして、ビンテージアンプの魂を響かせたいと思います。
はじめに
サイズは20cmx15cmくらいのとても扱い安いサイズです。
あまり詳しい仕様はしらべられませんでしたが
さて、実力はどうでしょうか。楽しみです。
外観
外観はとてもシンプル。電源は、ケーブル引き出し
スピーカは、ユーロコネクタタイプの嵌合部取り外し可能な取り扱い安いコネクタです。
内部
早速取り外して、状態を確認。
とてもシンプルな作りで、大きな素子の傷みはなさそうです。
Fuseは切れていたので、交換して、動作確認すると音が出てきました。
出力確認
早速出力の状態を確認。
少し高調波が見られますね。
気になる点
動作確認していると気になる点がいくつかありました。
- ボリュームのガリノイズ
ボリュームを回すと、ガリノイズと、スピーカが前後に動きます。
波形は、直流変動が生じています。 - 左右のバランス
どうも右側の音が小さめです。出力のリレーが原因と思われます。 - 取り付けネジ
ネジがなぜか、タッピングネジなのですが、木ねじに近く鋭角。
一つずつ、対応してみたいと思います。
メンテナンス
今わかっている症状をまず直してみます。
ゲインボリューム
ガリノイズは、ボリュームの劣化です。50kのボリュームがついていますが、今のアンプには少しインピーダンスが高すぎます。10kタイプのものに交換し、修理しました。
ボリュームを回しても、スピーカが前後に動くことはなくなりました。
リレー交換
どうもリレーは、どうやら交換されたようです。
リレーの電源がクロスしています。
また、高容量のリレーですので、小さな音で使い続けた為でしょうか。片側接触不良になっていました。
これも適正な電流容量のリレーに交換して、バランスの問題は、解決です。
固定ビス
オリジナルは、おそらくタッピングビスだったと思いますが、木ねじに変えられているようです。
穴径に余裕があるので、M4のネジを切って、きちんとしたビスで固定しました。
これで、締付けトルクも調整できますので、きちんとトランジスタ等を固定、放熱できます。
カスタム・メンテナンス
いつもの、電源カスタム・メンテナンスを基本に行ってみたいと思います。
- 電源メンテナンス
低ESRの電解コンを状態を観測しながら交換。 - 高調波対策
チップセラコンを用いて高調波を抑制します。 - OpAmp電源
少しOpAmpの電源が高め(20V強)でしたので、18V程度に変更。
また、高分子コンデンサで、ノイズも抑制します。
もちろんOpAmpにはパスコンを追加します。 - OpAmp
電圧がたかくてもしっかりとした特性を発揮する、入手が難しくいなってきたLME49860を採用。スペックも、音も一回り上に仕上げます。 - 高分子カップリング
インピーダンスを低くするので、容量を少しアップした高分子フィルムコンデンサを採用。 - GND接続パラメータ
バッテリーGNDとLine入力GNDを適正なパラメータで接続し、高調波を抑制します。
電源状態(一次側)
アンプの容量が小さめですので、電源のノイズは小さめでしたが
妥協せず、しっかり抑え込みます。
電源状態(二次側)
二次側は、とても優秀でしたが
さらに、ワンクラス上の状態へと。
まとめ
少し高調波がみられましたが、どうでしょうか。
高調波が抑えられているのがわかります。
周波数特性
最後に周波数特性を測定します。
10Hzでも-1dB以内の減衰。高域は100kHzでも-1dB以内。驚くほどフラット。
ビンテージで、高額取引される理由がここに見えてきました。
仕上がりは、とてもシンプル
随所に、これまでのpp Customを施しています。
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いかがでしょうか。マニアに間で人気の高いLinear Powerのパワーアンプ。
きっちりとメンテナンスしましたので、その音を堪能していただける仕上がりになったと思います。
出力リレーは、高用量タイプから適正にすることで、耐久性をアップし、繊細な音を長く奏でてくれるように工夫してみました。
末永く、オーナ様の元で、ビンテージサウンドを奏でてくれると思います。