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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

パワーアンプ 簡単 おいしいゲイン調整方法(改訂版)

パワーアンプを使っている方も多いと思います。プリメインにパワーアンプを追加した場合や、カーオーディオならヘッドユニットにパワーアンプを追加して、音質アップをしている方も多いかと思います。

その際にパワーアンプのボリューム調整がわからずに、困ったり、大まかに調整していませんでしょうか。

今回は、テスターと調整用の音源で簡単に調整する方法 パワーアンプ、フリアンプをおいしくつかう 調製方法 を綴ってみたいと思います。

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パワーアンプのゲインとは

パワーアンプのゲインとは、アンプの増幅率です。ですが、パワーアンプにゲインを謳っているものが少ないです。必ず記載があるのは入力感度と最大出力容量です。では、ゲインは一体どのくらいなのでしょうか。それを、知らなくてもつなげて鳴らすことはできますし、あまり不自由は感じませんが。

アンプのゲイン

アンプ仕様書を見渡しても、ゲインが、なかなか見つかりませんが、実は、この入力感度と最大出力容量から計算できるのです。

 

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実は、入力感度と出力容量とで、計算できます。(以前投稿した表を再度記載)

 

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40Wのアンプで、0.2Vの感度の場合

入力 0.2Vで 40W出力

するということです。

この場合 

 dB = 20x log10 (√(40/4)^0.5)

     = 36dB

となります。

 

ちなみに 簡単式は

 dB = 20 x log10 (√(W/R)/ V)

  (W:出力容量 V:入力感度電圧 R:公称負荷)

となります。

 

ヘッドユニットの出力レベル

ヘッドユニットは、どのくらいのレベルの信号を出しているのでしょうか。

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仕様書にあるプリアウト最大出力の電圧がポイントです。

この最大出力電圧は、CDの最大音量時 (0dB) の電圧を示しています。これが重要です。

 

スピーカ効率

スピーカ効率は、皆さんご承知ですね。90dB近辺でしょうか。

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これは、スピーカから1mの距離で1Wの電力を供給した時の音圧レベルになります。

 

 

音圧の計算

スピーカまでの流れ

カーオーディオならヘッドユニットからアンプに接続し、スピーカに接続します。

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ホームオーディオならば、DACやCDプレイヤーをプリアンプに接続し、パワーアンプからスピーカの流れになります。

それぞれ、増幅され、最終的にスピーカで音に変換します。

 ソースから音圧計算

音圧は、ソースからアンプすべてのゲインを加算すると計算できます。

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ここでは、カーオーディオを中心にしているのと、計算を簡略化するため、スピーカとの距離を1mと仮定しています。

ソースのレベル

 ソースの平均レベルは、音楽ジャンルにより異なるのですが、-20dBから-10dBあたりでしょうか。これを判断するには、1kHzの正弦波をいつも聞いている音楽の音量を比較すると、レベルが把握でき、計算をより正確にできます。

この時に、いつも聞いているレベルの1kHzの正弦波を見つけておきます。ゲインの調整の時に必要になります。

ボリューム位置

ボリューム位置のレベルは、アナログのボリュームを参照して、算出しました。

(15Aという特性のボリュームが一般的ですので、大まかですが参考にしました)

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簡単計算方法

ボリュームを半分の位置で鳴らした時に、ヘッドユニットやプリアンプの特性が良好になる傾向があるので、その位置を目標にします。

  • 音圧は90dB
     音楽の視聴平均音圧を目安として90dBとしました。
    (じつは、スピーカの効率と同じ90dBを都合上同じにしています)
  • ソースレベル
     ソースのレベルは、ジャンルにもよるのですが-10dB程度
  • ボリューム位置
     半分あたりは、最大の出力から、約-15dB程度としています。

 

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2Vのヘッドユニットの場合

2Vのヘッドユニットは、とても計算上都合が良いことがわかりました。

4Ωのスピーカの場合1Wを出すには、2Vを印加

すれば良いことで、ぴったり、ヘッドユニットの出力の電圧と同じになり、ヘッドユニットの減衰率と、アンプの増幅率が相殺されるようにすれば良いことになります。

表計算でとても都合がよくなります。

 

パワーアンプゲイン = ー(ヘッドユニットボリュームレベル+ソース平均レベル)

 

先のボリュームの表で、半分のボリューム位置は  -15dB

ソースの平均を                 -10dB

合計                      -25dB

 

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アンプのゲインは、25dBを目安にできることになります。

 

4Vハイレベルヘッドユニット時

2Vを基準にすると計算が楽で、4Vの場合は、6dBを加算してあげれば良いので

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 となります。

 

パワーアンプゲイン調整方法

以前も紹介しましたが、必要になるのは、下記の3つのみです。

  • 電圧計(テスター)
     ACレンジの測定できるもの。(デジタルが良い)
  • 基準音源
     waveGene等で作成した、1kHzの-10dB音源データ
     もし、聞いているジャンルの音楽の平均レベルがわかっていれば、そのレベルのデータをご用意ください。
    (waveGeneで簡単に製作できます。)
  • ドライバー
     パワーアンプのゲインは小型のドライバーが必要になります。
     アンプに添付されていることもあります。自分で小さめのものを探して求めるとよいです。ただし、細いドライバーは調整しにくいので、先が細くても持つところは太いものが良いでしょう。時計用の金属の精密ドライバーは、ショートの危険が高いのでおすすめしません。

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アンプの事前確認

アンプにスピーカがつながっていても、何もなくても同等の電圧が出るかどうか確認します。D級アンプ等、負帰還回路がない場合、無負荷の場合と有負荷の場合電圧が異なる場合があります。もし、スピーカを繋いだときと電圧が異なった場合は、スピーカを繋いで小さめの音量で調整することになります。

  1. 1kHzを再生します。
     いつもの聞く音量程度で、1kHzを再生します。
  2. 電圧を測定
     その時のアンプの出力電圧とボリューム位置メモします。
     ノートや手帳が良いです。(スマフォで写真でも良いのです。)
  3. アンプの電源を切り、スピーカ接続を外します。
  4. 再度電源を入れ1kHzを再生、電圧を測定
  5.  2.の時の電圧と変わりないことを確認します。

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ゲイン調整

いよいよゲイン調整です。

  1. 1kHz再生
      スピーカの端子を外した状態で、1kHzを再生

    1 _1kHz -20dB.mp3 - Google ドライブ

  2. ヘッドユニットのボリュームを約半分にする
     デジタルでボリュームの数値が表示される場合は、必ずメモします。

  3. 電圧をそのまま測定
     この電圧が現在のゲインの電圧です。
     左右の電圧を測定して、必ずメモしておきます。
  4. 電圧を調整(R側)
     事前調査で測定した電圧に合わせます。
     測定した電圧を合わせやすい切の良い数値で良いと思います。
     
  5. 電圧を調整(L側)
     同じ様にL側を同じ電圧に合わせます。
ゲイン確認
  1. 電源を切りスピーカをつなぐ
     ボリュームも最小にしてから、電源を切ります。
  2. 電源を入れて1kHzを再生
     1kHzの音がボリュームの半分の位置でいつも聞いている音量くらいに
     なっているか、確認。
  3. お気に入りの音楽を再生
     以前と音の比較を確認(楽しんで)ください。 

 

これで、一般的に聞くレベルに調整できるはずです。もし、実際に聞いていてボリュームの位置が大きかったり小さかった場合は、この電圧を数割程度増減して、わかりやすい値に調整することができます。

 

調整のメリットは、

  • いつでも、以前の調整位置に戻すことができる
  • 左右のボリュームを合わせることができる
     これは、精神上安心です。
  • ヘッドユニットの美味しいところが使える
     ボリュームの半分の位置なので、歪の少ないところで使うことができます。
  • ノイズマージンが増える
     パワーアンプのゲインを絞ることになった方は、ノイズマージンが増えます。
     オルタネータ等のノイズが小さくなります。

オーディオは、耳を頼りに調整しがちですが、だれもが生身ですので、その日の体調や、気温、周りの騒音で左右されます。電圧で記録しておけば、ほとんど誤差は出ません。これは、何よりも安心感に繋がります。

 

*注意点

 パワーアンプが大きい場合、ゲインも大きいので、ゲインボリュームを大きく絞ることになってしまう場合が、発生します。その場合は、どうしても、ボリュームによる音の劣化が大きくなりますので、その際は、パワーアンプのゲインを中心に調整することになります。
その場合でも、ゲインのレベルを記録、書き留めておくことができ、再現性をメリットとして、活用いただけると良いと思います。

パワーアンプ容量

出力音量がわかると、パワーアンプの必要な容量の目安を求めることができます。

 

パワーアンプピーク必要容量計算

ヘッドユニットの最大出力電圧は、とても便利な数値で、それ以上電圧が出ないことを示しています。

平均-10dBの音楽の場合は、絶対ピークが+10dBなので、90dBならば、100dBの音量になります。

このとき-10dB で90dB(1W)の出力なので、+10dBなので、

1Wx10倍=10W

 (このときの10倍は、10^(10/20)=3.16より、3.16x3.16=10)

パワーアンプであれば、ピークに耐えうることが容易に計算できます。

仮に-10dBの音楽でピークに耐えうるパワーアンプの出力は、

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40Wのパワーアンプがあれば、96dB(ビークでは106dB)まで対応できますので、十分という計算です。

一方、110dBの爆音を歪みなく聞くためには1000Wのピーク対応のアンプが計算上必要になります。(ですが実際120dBの音量を人が正しく聞けるかどうかは別です。)

 

クラッシク等平均レベルが-20dBぐらい場合

クラッシック等は、音量のレベル差が大きく、平均として-20dBは大きすぎるかもしれません。その状態を90dBで聞くための、ピーク耐力のパワーアンプは、大きくなります。

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スーパーウーファ等の場合

  ウーファ用は、低い周波数の能率がどうしても80dBくらいになりますので、それでも90dBの音量を出すためには、やはり100Wクラスがほしいところです。

 

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 まとめ

パワーアンプのゲイン調整の改訂版として、綴ってみました。

数値から計算する方法もありますが、1kHzのデータを使って、合わせるのが簡単です。

 

ポイントとしては

  • お気に入りの音楽の平均レベルを知る
     -10dB程度か否かで良いと思います。
  • 聞きたい音圧を知る
     概ね90dB程度の効率のスピーカですので、1m離れたところで聞く音量が
     90dB程度(少し大きめ)なのかどうかを知ることができます。

  • ヘッドユニットの有効活用
     ヘッドユニットやプリアンプの美味しいところを使うことができます。
  • 再現性
     同じゲイン、コンディションにすることができます。
     パワーアンプが大きい場合、ゲインをしぼることができない場合でも、
     再現性として、活用頂けます。

自分でも、ヘッドユニットの減衰率と、パワーアンプの増幅率の関係式が得られたのは大きな発見でした。(初歩的ですが)

参考になれば、嬉しいです。

 

 

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