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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

スピーカー ケーブルのはじめの一歩 抵抗値

スピーカーケーブルも、音への影響が比較的大きいことが知られています。
皆さんも意外と、自分で使ってるケーブルが、どのくらいの抵抗なのか、知らないのでは無いでしょうか。スピーカのインピーダンスとの比率は、どの程度か知っておくと、ケーブルの選択のポイントの一つになると思います。

今回は、スピーカケーブルの抵抗値について、簡単にまとめてみます。

 

 

スピーカケーブルの単位

ケーブルには、太さを示す単位があります。断面積を示すスケア(mm2)や、AWG(ゲージ)を用います。ゲージは、小さくなると、太くなりますので、注意が必要です。

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スピーカケーブル一覧表

AWG18が直径 約1mmを基準にすると、実際のケーブルを見た時に、おおよそのゲージが想定できるようになり、便利です。

スピーカのインピーダンス

さて、スピーカーケーブルですので、接続するのは、もちろん、スピーカーですね。

ケーブルにも、抵抗があります。また、スピーカーには、インピーダンスというスペックがあります。インピーダンスは、抵抗値なのですが、周波数ごとの抵抗値を示しています。このブログでは、インピーダンスを、抵抗値として置き換えて頂いて良いです。

スピーカの公称インピーダンスは、8Ωもしくは、カーオーディオ向けでは、4Ωが多いです。

では、お使いのスピーカケーブルの抵抗と

スピーカのインピーダンスとの比率は、どの程度でしょうか。

ケーブルのインピーダンス例(AWG18 2m)

早速、スピーカケーブル(材質:銅)の抵抗を計算してみます。

 AWG18(0.8スケア)を2m使った場合は、どのくらいでしょうか。

簡単な計算で求めることができます。

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スピーカ抵抗値例

 約84 mΩです。カーオーディオ スピーカが理想の4.000Ωの場合

 4.084Ω = 4.000+ 0.084

計算上の値です。

スピーカのインピーダンスの比は、約2%です。

トータルインピーダンスが、約2%大きくなっています。これが、スピーカーへのエネルギーロスと考えることができます。なるべく少ないほうが良いですよね。

アンプの100%の能力のうち、2%がロスすることになります。

数%ですが、そのまま、歪になるわけではありませんので、あまりシビアに考えなくても良いです。

もちろんオーディオマニアの方の中で、疑問を持たれる方は、詳しい方ですので、説明は、不要でしょう。

ケーブルのインピーダンス例(AWG18 5m)

では、おなじAWG 18で、もっと長く、 5mにした場合 どうなるでしょうか。

  4.418Ω = 4.000 +0. 418

 少し大きいですね。スピーカのインピーダンスの10%程度です。

エネルギーは、二乗になるので、20%程度ロスすることになります。

せっかくの高性能パワーアンプももったいない感じです。

ケーブルのインピーダンス例(AWG14 5m)

どうしても5m引き回したい場合、AWG18の2m程度にするには、何番線にすればよいでしょうか。AWG14ですと、83mΩになり、同等になります。

長いケーブルが必要な場合は、どうやらAWG14(2スケア)程度は、必要の様です。

ケーブルサイズ vs 長さ 抵抗値早見表

これらの関係を、簡単に分かるように表を用意してみました。

どのくらいの長さなら、太さは、どの程度なのかが分かるような表を作ってみました。ご自分の車の配線長で、概ねの抵抗値が分かると思います。

 

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スピーカーケーブル 抵抗値早見表

一般で言われているAWG14から16が良いというのは、車の配線が、2m、長くて3mを想定して、100mΩ程度、約2%の損失に収めたいからのようにも見えます。
皆さんは、いかがお考えでしょうか。

スピーカケーブルの減衰率

抵抗の比率なので、減衰率を求めることが出来ます。

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スピーカケーブル減衰率

AWG18で2mでも、-0.2dB程度ですので、あまり気にしなくて良さそうです。

 

スピーカの種類と線材の太さ

スピーカには周波数で変化する抵抗値、インピーダンスがあります。この抵抗値が4Ω(or 8Ω)より大きい場合は、ケーブルの損失が小さいことになります。

お使いの、ウーファーが4Ωの場合、ツイータが6Ω等ですと、ツイータのケーブルは、少し細くても(AWGだと概ね+2)同じ損失で接続できることになります。

 

アンプのダンピングファクタ

パワーアンプには、駆動能力を示すダンピングファクターという数値があります。
スピーカのインピーダンスと、内部回路のインピーダンスの比率で、x倍とかで示します。

ナカミチパワーアンプの多くは1000倍ありますので、内部インピーダンスは、4mΩということになります。

スピーカケーブルの抵抗値は、100mΩ程度には、なるので、気になりますが、まずは、各抵抗値の割合を把握しておくのが、よいでしょう。

ダンピングファクタが100のアンプから1000倍のアンプに変えた場合、スピーカケーブルの抵抗値を約40mΩ下げたと同じ効果になるというように、考えても良いと思います。

まとめ

今回は、数字だけですが、皆さんのお使いのスピーカケーブルの抵抗値が、おおよそいくつぐらいで、スピーカのインピーダンスの比率がどのくらいかが、初めてわかったのでは、ないでしょうか。

スピーカケーブルを変えた時に、この抵抗値がどの程度変化すると、音がどんなふうになるのかを、楽しまれると、良いと思います。

次回は、実際の線材の構造や、材質の違いで、簡単な測定器を使って、違いを見てみたいと思いますので、お楽しみに。